プロサッカー全北現代の邦本宜裕は全北のKリーグ4連覇に挑む。
昨年4月、慶南はアジアチャンピオンズリーグで鹿島アントラーズと対戦し、アウェーで1-0で勝利した。決勝ゴールを決めた邦本は涙を見せた。[写真 プロサッカー連盟]
全羅北道完州郡(チョンラブクド・ワンジュグン)にあるプロサッカー全北現代のクラブハウスで2日に会った全北の日本人MF邦本宜裕(23)は淡々と語った。かつて「噂の悪童」だったというのが信じられないほど礼儀正しく、落ち着いていた。
慶南(キョンナム)FCから移籍した邦本は今季の全北の4試合のうち3試合に先発出場した。左利きのテクニシャンの邦本は中盤の責任を担う。全北はKリーグ1で首位(3勝1敗)を走る。
邦本は日本で「悪魔の才能」と呼ばれた。16歳だった2013年、Jリーグの浦和レッズで最年少出場と得点をマークした。しかし喫煙で懲戒を受けた。アビスパ福岡では秩序風紀を乱す行為があったとして放出された。2017年末の入団テストで慶南に入団した。そして2018年に慶南のKリーグ準優勝に貢献した。
昨年4月にはアジアチャンピオンズリーグで鹿島アントラーズとアウェーで対戦し、1-0の勝利に導く決勝ゴールを決めた。試合後、応援に来た日本の友人と熱い涙を流した。邦本は「福岡から鹿島まで飛行機でも1時間半ほどかかる距離だが、友達10人が来てくれた。慶南の応援席から90分間終始、大きな声で応援してくれて頑張ることができた。サッカーをやめた時は友達に励まされた。つらかった時期を思い出して涙が出た」と振り返った。
邦本は日本バスケットボール漫画「スラムダンク」の三井寿のキャラクターを連想させる。漫画の中で中学MVPだった三井は悪い友人と付き合ってバスケットをやめたが、後に復帰する。邦本は「私も漫画を読んだ。韓国のファンが私と似ているからと三井寿の絵を送ってくれたりもした」と言って笑った。
全北の球団関係者は「邦本は(全北に来てから)問題を起こしたことがない。寡黙だ」と伝えた。邦本は「自分の人生はジェットコースターのようだ。4年前はサッカーから離れて暮らそうとした。ところがエージェントが韓国チームでテストを受けることを提案してくれた。人生で重要な決定だった。心を強く決めたので、いま強いチームにいることができる」と話した。
全北は今季Kリーグ4連覇に挑戦する。邦本は「もう少しレベルが高いチームで自分を試したかった。(韓国の)代表レベルの選手と一緒にできてうれしい。アジアチャンピオンズリーグまで6試合に出場したが、まだ足りない。小さなことでもミスに対するプレッシャーもある。6試合でチームメート5人が退場処分を受けた。うまくやろうという意欲が先に立つからだ。それでも全員が高いレベルの選手で、チームはリーグ1位」と語った。
今季のアジアチャンピオンズリーグで全北は横浜マリノスと対戦する。邦本は「日本のチームだからといって特別なことはない。すべてが同じ相手チームにすぎない」と話した。
朴智星(パク・チソン、39)がJリーグの京都パープルサンガからイングランドプレミアリーグにまで進出した。邦本には韓国が飛躍の舞台だ。邦本は「私はまだ成功したのではない。韓国で優勝してこそある程度成功したといえる」と語った。新型コロナやさまざまな外交的問題で韓日関係は良くない。韓国と日本を行き来するのも容易でない。3月に豪州シドニーのアウェー試合を終えた後、しばらく日本に戻った。邦本は「韓国での生活は3年目で、ホームシックはなく、特に問題はない。それでも新型コロナが終わってオフになれば日本に行って家族と会いたい」と話した。
1997年生まれの邦本は1年延期された来年の東京オリンピック(五輪)男子サッカーに出場可能な年齢だ。日本五輪代表チームの森保一監督は昨年、慶南-鹿島戦を現場で観戦した。邦本が決勝ゴールを決めた試合だ。邦本は「可能性はあるので欲がある。五輪に行きたいという気持ちが強い。しかし試合に出ていなければ選ばれない。まずは所属チームで良いプレーを見せることが大切だと思う」と語った。
この記事を読んで…