米バイオ企業モデルナのワクチン候補物質が臨床第1相試験で全員抗体形成という意味のある結果を得た。世界が新型コロナウイルスと死闘を行う渦中に聞こえてきた鼓舞的な知らせだ。ワクチン早期開発の期待が大きくなり米国だけでなく韓国の証券市場も急騰傾向を記録した。
しかし楽観は早い。トランプ米大統領が「年内のワクチン開発完了」を目標に掲げたが、大多数の専門家は慎重論を堅持している。肯定的な1次臨床結果はまだ始まりにすぎないとみなければならない。国際ワクチン研究所のジェローム・キム事務局長によると、通常ワクチン開発には5~10年という歳月と5億~15億ドルの費用がかかる。
各国がワクチン開発戦争を行って政府支援を惜しまないのもこうした難度のためだ。米国は「超高速作戦」という名前で政府、軍、民間製薬会社が合同開発を進めている。中国も習近平国家主席が直接乗り出して国有企業と人民解放軍まで動員している。欧州でも民間製薬会社に対する政府支援を強化しろとの要求が高まっている。各国が各個戦闘式の速度戦を展開する理由は明確だ。「ワクチン覇権」のためだ。開発されたワクチンを自国民に優先使用できるだけでなく所有するワクチンの配分権は外交・通商で有用な武器としても使える。
問題は韓国の立ち位置だ。すでにワクチンと治療薬を特定国や製薬会社が独占する可能性に対する懸念は大きくなっている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は数日前に世界保健機関(WHO)総会の基調演説で「治療剤・ワクチン開発のために国境を超えて協力しなければならない」と話した。成功的防疫経験を基に国際連帯の価値を強調したという意味がある。しかしこうした声が当為にとどまらないようにするならワクチン・治療剤開発で意味ある成果が裏付けられなければならない。世界的新薬覇権戦争から韓国だけ疎外されることがないよう国家的努力を傾けなければならない。
もちろんわれわれも手をこまねいていることはない。韓国の製薬会社がそれぞれワクチンと治療剤開発に積極的に乗り出しており、政府も支援団を構成するなど動いている。しかし客観的に遅れを取っているのが事実だ。世界有数の製薬会社がすでに人間を対象にした臨床試験に入った状態だが、まだ韓国では動物対象試験にとどまっている。韓国は検査キット開発で世界の賛辞を受けたが、ワクチン開発は技術的難度と投資規模などから次元が異なる問題だ。
政府支援が十分なのか振り返る必要がある。ワクチン実用化事業団予算119億ウォンを新型コロナウイルスワクチン開発に最大限投じる計画だと明らかにしたが、すでに決まった予算を回すにすぎない。新たに投入された予算は予備費と追加補正予算を合わせて60億ウォン程度だが恩着せがましい水準だ。米国では今回成果を出したモデルナ1社が連邦政府から支援された金額だけで5億ドルだ。予算項目や研究開発順位調整などで投資規模を増やす必要がある。新薬開発のファストトラックが可能になるよう関連許認可規定も果敢に手を入れなければならない。成功的防疫経験で積んだ自信をワクチン開発に積極的に活用するよう望む。
しかし楽観は早い。トランプ米大統領が「年内のワクチン開発完了」を目標に掲げたが、大多数の専門家は慎重論を堅持している。肯定的な1次臨床結果はまだ始まりにすぎないとみなければならない。国際ワクチン研究所のジェローム・キム事務局長によると、通常ワクチン開発には5~10年という歳月と5億~15億ドルの費用がかかる。
各国がワクチン開発戦争を行って政府支援を惜しまないのもこうした難度のためだ。米国は「超高速作戦」という名前で政府、軍、民間製薬会社が合同開発を進めている。中国も習近平国家主席が直接乗り出して国有企業と人民解放軍まで動員している。欧州でも民間製薬会社に対する政府支援を強化しろとの要求が高まっている。各国が各個戦闘式の速度戦を展開する理由は明確だ。「ワクチン覇権」のためだ。開発されたワクチンを自国民に優先使用できるだけでなく所有するワクチンの配分権は外交・通商で有用な武器としても使える。
問題は韓国の立ち位置だ。すでにワクチンと治療薬を特定国や製薬会社が独占する可能性に対する懸念は大きくなっている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は数日前に世界保健機関(WHO)総会の基調演説で「治療剤・ワクチン開発のために国境を超えて協力しなければならない」と話した。成功的防疫経験を基に国際連帯の価値を強調したという意味がある。しかしこうした声が当為にとどまらないようにするならワクチン・治療剤開発で意味ある成果が裏付けられなければならない。世界的新薬覇権戦争から韓国だけ疎外されることがないよう国家的努力を傾けなければならない。
もちろんわれわれも手をこまねいていることはない。韓国の製薬会社がそれぞれワクチンと治療剤開発に積極的に乗り出しており、政府も支援団を構成するなど動いている。しかし客観的に遅れを取っているのが事実だ。世界有数の製薬会社がすでに人間を対象にした臨床試験に入った状態だが、まだ韓国では動物対象試験にとどまっている。韓国は検査キット開発で世界の賛辞を受けたが、ワクチン開発は技術的難度と投資規模などから次元が異なる問題だ。
政府支援が十分なのか振り返る必要がある。ワクチン実用化事業団予算119億ウォンを新型コロナウイルスワクチン開発に最大限投じる計画だと明らかにしたが、すでに決まった予算を回すにすぎない。新たに投入された予算は予備費と追加補正予算を合わせて60億ウォン程度だが恩着せがましい水準だ。米国では今回成果を出したモデルナ1社が連邦政府から支援された金額だけで5億ドルだ。予算項目や研究開発順位調整などで投資規模を増やす必要がある。新薬開発のファストトラックが可能になるよう関連許認可規定も果敢に手を入れなければならない。成功的防疫経験で積んだ自信をワクチン開発に積極的に活用するよう望む。
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