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【コラム】コロナ対処の成功を外交安保分野にも=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国は新型コロナウイルス感染症への対処で世界の模範と評価されている。多くの政府とメディアは韓国の成功モデルを自国にも適用できないかと注目している。経済封鎖をせずウイルス拡大の遮断に成功したのは、政府・医療界・国民がそれぞれの役割を果たしたからだ。

政府は新型コロナの初期、中国発の感染を統制できず事態を拡大した側面があったが、その後、疾病管理本部が中心となって広範囲な診断検査と攻撃的な感染者追跡・対応で感染拡大を防ぐのに成功した。医療界は2015年の中東呼吸器症候群(MERS)失敗を教訓にして新型コロナ隔離病棟を確保し、感染者の動きと他の患者が重ならないようにするなど治療・予防に注力した。国民は社会的距離とマスク着用、手洗いなどを実践し、感染を防ぐのに最善を尽くした。個人の自発的防疫実践は米国・欧州でも見られないほどであり、韓国が地球村の辺境ではなく世界先導国になったことを見せる証拠となった。

韓国はもう新型コロナの成功モデルを国家の全分野に拡大する必要がある。1997年の国際通貨基金(IMF)通貨危機が経済・産業分野を一段階飛躍させたように、コロナ危機を名実共に先進社会に成長する機会に変えることができる。政府はコロナ事態の収拾と共に国家アップグレードにも積極的に取り組む必要がある。


特に外交・安保分野は政策の転換が急がれる。文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交・安保政策は対北朝鮮交渉に傾き、韓国の立場を脆弱にしている。文大統領は27日にも「板門店(パンムンジョム)宣言の実践の速度を出せないのは、現実的に存在する国際的な制約を越えることができないため」と述べた。北朝鮮非核化のための国連安保理の対北朝鮮制裁を南北関係の障害物と見なすような発言であり、米国など国際社会との認識と違いを表した。政府は新型コロナ対応の成功方程式を外交・安保分野にも適用する必要がある。

まず、外交・安保政策も先制的でなければいけない。疾病管理本部は新型コロナが拡大する前、緊急使用承認制度を通じて迅速に診断キットの臨時使用を承認した。これを通じて感染者を速やかに識別して感染を最小化しただけでなく、米国など約100カ国から韓国産診断キットの輸出要請を受けた。外交・安保政策も先制的であってこそ効果が大きい。状況発生後に収拾するのは対応が容易でなく、代償が大きい。中国がTHAAD(高高度防衛ミサイル)韓国配備に激しく反発したのは、韓国政府が中国との事前議論なく突然配備した点も作用した。

もちろん米国と中国が北東アジアの覇権をめぐり競争する状況で、韓国が先制的に対応しにくい側面はある。こうした状況で韓国は米国・中国のどちらか一つに便乗するよりは、韓国の憲法が掲げる自由民主主義と市場経済という原則を主軸にして対処するのが望ましい。我々と似た状況の日本・豪州・インドなどと緊密な協力体制を構築すれば、米国・中国に振り回されず国家の利益を守るのに役立てることができる。

また、科学的・現実的な外交・安保政策が必要だ。コロナ対応に成功したのは、疾病管理本部を中心にした専門家の意見を重視したからだ。その半面、文政権は対北朝鮮交渉にこだわり、専門家の懸念にもかかわらず北核の脅威を過小評価している。外交・安保では相手国の意図よりも能力に注目しなければいけない。北朝鮮の核能力は韓国の生存を脅かすが、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が核を廃棄すると期待して対北朝鮮政策を展開するのは、国民生命を守る最高指導者の姿勢ではない。対北朝鮮交渉への支援を期待して中国に傾倒し、韓米同盟を軽視する姿勢も、韓国の立場を狭めた。中国は強まった国力を基礎に北東アジア覇権を握ろうとするため、韓国は米国・日本などと連合して中国を牽制するのが国益になると、現実主義国際政治学者のジョン・ミアシャイマー・シカゴ大教授は診断する。

外交・安保政策でも国民の共感が必要だ。コロナ事態で国民は成熟した市民であることを立証した。外交・安保分野も青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)や政府が一方的に推進すれば、正しい政策を出して進めることはできない。理念・陣営に偏らず国民の合意を基盤とした政策を樹立する必要がある。盧泰愚(ノ・テウ)政権当時の1989年9月、保守・進歩を問わず超党派的な協力と国民的な共感の中で自主・平和・民主の3原則を掲げた韓民族共同体統一案が樹立され、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)政権の対北朝鮮政策につながった。コロナ事態は、国民が中心になった時に大きな力を発揮するという点を悟らせた。

チョン・ジェホン/国際外交安保エディター



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