日本のコロナウイルス感染症への対応については、発生初期段階から政府がウイルス検査を十分にしていないという指摘があった。検査を受けることができなかった軽症者や無症状者が日常生活をしながらウイルスを広めた。もう陽性判定を受けてもどこで感染したかが分からない比率が東京や大阪では80%に達している。「院内感染」も相次いで発生し、ある病院では174人が感染、20人が死亡するという事例も出てきた。感染者が急増しているが、病床が不足し、医療現場では「医療崩壊」の直前だ。総体的難局を迎えている。
結局、東京の医師らが動き始めた。保健所を通さず医師の判断だけでも検査を受けられるよう東京にウイルス検査施設30カ所を設置することにした。日本厚生労働省もようやく「ドライブスルー」方式の検査を公式的に追認し、検査を拡大することにした。東京都の変化は全国にも影響を及ぼす。
厚生労働省を動かした東京都医師会の尾崎治夫会長に会った。尾崎会長は「東京の状況はまだピークでない。一日100人台の感染者が発生する状況が10日間は続くだろう」と述べた。また、新型コロナ発生初期に新型インフルエンザ程度と状況を楽観していた点を日本の初期戦略失敗の原因に挙げた。続いて「米疾病対策センター(CDC)のような組織を作るのが今後の日本の課題」と語った。
インタビューは16日に千代田区東京都医師会の事務室で行った。以下はインタビューの全文。
--日本全国の感染者数がもうすぐ1万人に達する見通しだ(※16日当時、クルーズ船感染者を含めて9434人)。現在の日本はどのような状況なのか。
「初期に中国武漢から入国した感染者はよく防いだ。しかし欧州や米国などから流入したウイルスが広がった段階で検査を十分にしなかった。気づかない間にウイルスが入ってきたが、人の接触をまともに防げず、今のような状況になった」
--日本はウイルス検査の件数がなぜ少ないのか。
「日本の初期戦略は感染経路が確実に把握される人たちを検査するというものだった。新型コロナ感染者の80%は軽症または無症状で、20%だけが重症になり、この中から死者が出てくる。したがって重症患者を優先的に検査し、人工呼吸器やECMO(人工心肺装置)がある病院に送って命を救うという考えだった。しかしいくつかの意味で制限が緩かった」
--日本政府の戦略に最初から問題があったということか。
「韓国はSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の経験から、国が初動対応を直ちに取れる体制を整えていた。日本はSARSやMERSをほとんど経験しなかった。2009年の新型インフルエンザ当時を考えて『この程度なら大丈夫だろう』と楽観した。新型コロナのような新しい感染症に国が対策を立てることができなかった。対応態勢をまだ準備する前に感染が想像以上に広がった。当時、日本政府が取ることができる戦略としては間違いがなかったが、今は違う。感染が疑われる人はすべて検査するシステムに変えなければいけない」
--東京都医師会が検査を拡大すると明らかにした。
「感染症の問題は、国が安全保障の側面で国民の健康を守るために十分に体制を整えて闘うべきだった。日本は米国の疾病対策センター(CDC)のような組織を設けていない。政府が動くには時間がかかるため医師会が動き出した」
--ウイルス検査をどれほど増やす計画か。
「医師が必要だと判断すればすべて検査を受けることができるシステムを作ろうとしている。現在10カ所ほど別の検査所を設置し、東京全体に最終的に30カ所まで増やす計画だ」(東京の一日の検査件数は9日以降、最大500件を超えていない)
--「ドライブスルー」や「ウォーキングスルー」方式も考えているのか。
「東日本大震災で病院が崩壊し、臨時病院、臨時診療所を作った。陰圧テントで診療をしたり、医療スタッフのトイレ、休息空間が一体化したキャンピングカーにもなる。各病院の事情に合わせて運用すれば、ドライブスルー、ウォーキングスルーなどの方式も当然導入されるだろう」
--東京の新たな感染者数は先週と比べると減ったようだ。ピークは過ぎたと見ているのか。
「そうではない。緊急事態宣言以降、実際に休業が始まったのは11日からだ。2週間後の25日までは少なくとも今のように一日100人以上の感染者発生状況が続くだろう。10日間に少なくとも1000人、場合によっては2000人さらに出てくる可能性がある。現在、東京の病床は2000床程度だが、すでに埋まっている。東京都が最終的に病床を4000床まで増やすと述べたが、今後10日以内にすべて埋まるだろう。コロナ患者だけを担当する病院を指定し、80%の軽症患者を急いで自宅や別の隔離施設(ホテルなど)に送る必要がある。日本には経済を優先しようとする人たちが多いが、少なくとも今後2週間はすべての店を閉めて休業しなければいけない」
--最悪のシナリオは。
「今のように一日140人、170人の新たな感染者がずっと発生するケースだ。必ず医療崩壊がくる。今後2、3週間に真剣に人の接触を80%減らす努力をしなければ非常に危険な状態を迎える。患者が増えれば多数の重症患者を救えなくなることも考えられる」
--東京だけでも院内感染が6カ所で発生した。
「実際にはさらに多いと思う。日本は深刻な高齢化社会で糖尿病、高血圧、心臓病など持病がある人が多い。新型コロナのために手術が延期されたり、心臓カテーテル手術を受けられない状況が生じている。マスクや防護服など医療装備を過度に外国に依存してきた構造も確認された。国内にも一部の生産ラインを維持したり、直ちに生産態勢に転換できる構造に変えなければいけない」
--緊急事態宣言は来月6日に終わるだろうか。
「延長するかどうかは専門家委員会に諮問して決めることになる。現在は人の接触が最大60%程度しか減っていない。こうした状況なら緊急事態宣言の期間は延びる可能性がある。必ず2次感染の増加はどの地域でも起こる。中国、韓国、台湾などの状況が落ちついたという見方もあるが、ここで緩めばまた感染は発生する。抗体がまともにできると断定することはできない。新型コロナウイルスはインフルエンザのように単純ではない。ワクチン開発に成功しても変移が生じればそのワクチンは効かない。現在ではアビガンのような有効な薬を使うことが最善だ」
--新型コロナ事態の完全な収束はいつ頃と思うか。
「ハーバード大が2年ほどかかると予想した(ハーバード大保健大学院研究陣は14日に発表した論文で『社会的距離』を2022年まで維持すべきだと明らかにした)。第2波、第3派は必ずくる。今よりもピークは低くなるかもしれない。その時ごとに外出自粛を強めたり緩めたりしなければいけない。こうした期間は1年で終わらないだろう」
結局、東京の医師らが動き始めた。保健所を通さず医師の判断だけでも検査を受けられるよう東京にウイルス検査施設30カ所を設置することにした。日本厚生労働省もようやく「ドライブスルー」方式の検査を公式的に追認し、検査を拡大することにした。東京都の変化は全国にも影響を及ぼす。
厚生労働省を動かした東京都医師会の尾崎治夫会長に会った。尾崎会長は「東京の状況はまだピークでない。一日100人台の感染者が発生する状況が10日間は続くだろう」と述べた。また、新型コロナ発生初期に新型インフルエンザ程度と状況を楽観していた点を日本の初期戦略失敗の原因に挙げた。続いて「米疾病対策センター(CDC)のような組織を作るのが今後の日本の課題」と語った。
インタビューは16日に千代田区東京都医師会の事務室で行った。以下はインタビューの全文。
--日本全国の感染者数がもうすぐ1万人に達する見通しだ(※16日当時、クルーズ船感染者を含めて9434人)。現在の日本はどのような状況なのか。
「初期に中国武漢から入国した感染者はよく防いだ。しかし欧州や米国などから流入したウイルスが広がった段階で検査を十分にしなかった。気づかない間にウイルスが入ってきたが、人の接触をまともに防げず、今のような状況になった」
--日本はウイルス検査の件数がなぜ少ないのか。
「日本の初期戦略は感染経路が確実に把握される人たちを検査するというものだった。新型コロナ感染者の80%は軽症または無症状で、20%だけが重症になり、この中から死者が出てくる。したがって重症患者を優先的に検査し、人工呼吸器やECMO(人工心肺装置)がある病院に送って命を救うという考えだった。しかしいくつかの意味で制限が緩かった」
--日本政府の戦略に最初から問題があったということか。
「韓国はSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の経験から、国が初動対応を直ちに取れる体制を整えていた。日本はSARSやMERSをほとんど経験しなかった。2009年の新型インフルエンザ当時を考えて『この程度なら大丈夫だろう』と楽観した。新型コロナのような新しい感染症に国が対策を立てることができなかった。対応態勢をまだ準備する前に感染が想像以上に広がった。当時、日本政府が取ることができる戦略としては間違いがなかったが、今は違う。感染が疑われる人はすべて検査するシステムに変えなければいけない」
--東京都医師会が検査を拡大すると明らかにした。
「感染症の問題は、国が安全保障の側面で国民の健康を守るために十分に体制を整えて闘うべきだった。日本は米国の疾病対策センター(CDC)のような組織を設けていない。政府が動くには時間がかかるため医師会が動き出した」
--ウイルス検査をどれほど増やす計画か。
「医師が必要だと判断すればすべて検査を受けることができるシステムを作ろうとしている。現在10カ所ほど別の検査所を設置し、東京全体に最終的に30カ所まで増やす計画だ」(東京の一日の検査件数は9日以降、最大500件を超えていない)
--「ドライブスルー」や「ウォーキングスルー」方式も考えているのか。
「東日本大震災で病院が崩壊し、臨時病院、臨時診療所を作った。陰圧テントで診療をしたり、医療スタッフのトイレ、休息空間が一体化したキャンピングカーにもなる。各病院の事情に合わせて運用すれば、ドライブスルー、ウォーキングスルーなどの方式も当然導入されるだろう」
--東京の新たな感染者数は先週と比べると減ったようだ。ピークは過ぎたと見ているのか。
「そうではない。緊急事態宣言以降、実際に休業が始まったのは11日からだ。2週間後の25日までは少なくとも今のように一日100人以上の感染者発生状況が続くだろう。10日間に少なくとも1000人、場合によっては2000人さらに出てくる可能性がある。現在、東京の病床は2000床程度だが、すでに埋まっている。東京都が最終的に病床を4000床まで増やすと述べたが、今後10日以内にすべて埋まるだろう。コロナ患者だけを担当する病院を指定し、80%の軽症患者を急いで自宅や別の隔離施設(ホテルなど)に送る必要がある。日本には経済を優先しようとする人たちが多いが、少なくとも今後2週間はすべての店を閉めて休業しなければいけない」
--最悪のシナリオは。
「今のように一日140人、170人の新たな感染者がずっと発生するケースだ。必ず医療崩壊がくる。今後2、3週間に真剣に人の接触を80%減らす努力をしなければ非常に危険な状態を迎える。患者が増えれば多数の重症患者を救えなくなることも考えられる」
--東京だけでも院内感染が6カ所で発生した。
「実際にはさらに多いと思う。日本は深刻な高齢化社会で糖尿病、高血圧、心臓病など持病がある人が多い。新型コロナのために手術が延期されたり、心臓カテーテル手術を受けられない状況が生じている。マスクや防護服など医療装備を過度に外国に依存してきた構造も確認された。国内にも一部の生産ラインを維持したり、直ちに生産態勢に転換できる構造に変えなければいけない」
--緊急事態宣言は来月6日に終わるだろうか。
「延長するかどうかは専門家委員会に諮問して決めることになる。現在は人の接触が最大60%程度しか減っていない。こうした状況なら緊急事態宣言の期間は延びる可能性がある。必ず2次感染の増加はどの地域でも起こる。中国、韓国、台湾などの状況が落ちついたという見方もあるが、ここで緩めばまた感染は発生する。抗体がまともにできると断定することはできない。新型コロナウイルスはインフルエンザのように単純ではない。ワクチン開発に成功しても変移が生じればそのワクチンは効かない。現在ではアビガンのような有効な薬を使うことが最善だ」
--新型コロナ事態の完全な収束はいつ頃と思うか。
「ハーバード大が2年ほどかかると予想した(ハーバード大保健大学院研究陣は14日に発表した論文で『社会的距離』を2022年まで維持すべきだと明らかにした)。第2波、第3派は必ずくる。今よりもピークは低くなるかもしれない。その時ごとに外出自粛を強めたり緩めたりしなければいけない。こうした期間は1年で終わらないだろう」
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