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【中央時評】国民の血・汗・涙、大統領の無限責任=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅(ムン・ジェイン)大統領へ、ウイルスは都市の空気を掌握し、コロナは私たちの生活を人質にしました。細菌はベッドと食卓、街中と職場で私の命を狙います。隣人と友人はお互い忌避する潜在的保菌者となりました。いつか愛する人と生き別れの瞬間が来るのではないかと不安を抱いています。マスク1枚に自身の運命をかけて、ウイルスに自分だけはどうか避けてほしいという哀願するあきれる現実です。

目が冷めれば数百人ずつ増えている患者の数に驚き、刻々と時間が経過することに恐怖を感じます。世界保健機関(WHO)によると、SARS(重症急性呼吸器症候群)の基本再生産数(RO)は2-5でした。患者1人が2-5人を感染するということです。2002年11月に広がったSARSは9カ月間に37カ国で約8000人を感染させ、774人の生命を奪いました。

新型コロナウイルス感染症は、すでに80カ国余りで感染者が10万人を超え、約3300人の死者が出るほど強力です。新型コロナの伝播力(RO)がSARS並みとして単純比較する場合、防疫がまともに作動しなければ、現在の国内感染者5000人は1万-2万5000人に急増し、さらに2万-10万人、4万-20万人…。考えるだけでぞっとします。「よく対処している」という政府の自画自賛はのんきな姿です。


パンデミック(世界的大流行)の恐怖が広がっていますが、「まもなく終息する」という根拠のない楽観は災難を招く傲慢です。16世紀初期にスペインの侵略者が伝播した天然痘・インフルエンザなど伝染病のためにラテンアメリカのアステカ・インカ文明が滅亡したという本『銃・病原菌・鉄』の分析が他人事とは思えません。5000万人-1億人の命を奪った1918年のスペイン風邪の悪夢を扱ったドキュメンタリー『パンデミック-インフルエンザとの戦争』を見ていると、私たちがこのようになるのではと怖くなります。

世界9位の貿易大国の韓国が世界から孤立しています。国連加盟国193カ国のうち半分以上が韓国を病原菌扱いして受け入れず、海外では国際ホームレスという屈辱を受けています。同盟の米国までが韓国を避けることになれば、フランスやドイツなど欧州主要国に「コリアフォビア」が拡大するでしょう。自発的に国境封鎖を宣言すべきだという国際的な圧力も出てきています。

大統領が話した「韓中運命共同体」とはこういうものなのかと失望しています。「中国の困難は我々の困難」と配慮しても中国は私たちを捨てるでしょう。「上半期中にどうか一度韓国を訪問してください」と機嫌を取りましたが、「すべての韓国発入国者を隔離すべきだ」という薄情な言葉ばかり返ってきます。習近平主席がウイルス発生地を探すよう指示したという話には驚かされます。武漢肺炎が「大邱(テグ)肺炎」に、コロナウイルスが「コリアウイルス」に化ける工程が心配になります。

経済は深刻です。不幸は弱者から襲います。「景気は最悪」という市場の商人の訴えは愚痴ではありません。街中に出て誰にでも尋ねてください。人員削減・廃業・倒産の暗い影が見えます。臨時職・日雇い労働者はすでに苦しんでいて、先日まで順調だった飲食・宿泊業の自営業者は次々と閉鎖して生業をあきらめています。会社員は有給・無給休暇をすべて使い果たし、解雇通知書が送られてくるのではと心配しています。IMF経済危機当時よりも強い危機感に包まれています。

すべてが混乱している状況です。コロナの襲撃の前で無策の外交、所得主導成長とやらで崩れた経済、30代の女性から「おじけづいた犬」と言われる対北朝鮮政策、陣営と対決で目がくらむ社会、ウイルスと同居する「イブニングタイムのある生活」…。

512兆ウォン(約46兆円)の予算と11兆ウォンの補正予算を投入してもマスク不足も解決できず、「コロナ拡大は中国から入った韓国人のため」としてコロナ工程に免罪符を与え、外国人出入国管理責任者が「新天地イエス教会たたき」に没頭する、このような長官らに存在理由を尋ねたくなります。国民が次々と感染していく中で、自らの責任を回避し、自国民を「殺人者集団」とする魔女狩りに血眼になり、コロナよりもさらに厄介な分裂・憎悪ウイルスをまき散らす集団は追い出さなければいけません。

大統領は国政に無限の責任を負います。「過激な新天地教会のせい」「外を歩き回る国民のせい」「無能な政府のせい」。いかなる理由であれ、旅客船セウォル号のように躊躇してゴールデンタイムを逃したのは明白な事実です。瞬間の油断と誤った判断が取り返しのつかない災いを招きました。コロナが触発した大混乱は単なる偶然ではないと思います。悪性ウイルスが広がって病気になった私たちの社会を宿主にしようと攻撃し、潜伏していた不条理と不信感が結び付いて表れた結果です。

文大統領が最悪の国家的災難について謝罪し、責任を取る姿を見せるべきだと考えます。そうしてこそ国民も血と涙、汗を快く捧げるでしょう。その統合の力で人間とウイルスの戦争、我々の内部の不条理との戦争を同時に克服することができます。残忍な時間を乗り越えてウイルスに奪われた春を取り戻してくれることを期待します。その選択は大統領にかかっています。

コ・テフン/主席論説委員



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