トランプ大統領のメッセージは短くて明確だった。新型コロナ事態が生じると中国人の入国を禁止し、飛行路線を断った。「米国を伝染病から保護するのが我々の目標」として防疫最優先を確実に実行した。中国の習近平国家主席も国内の事態が落ちつき始めると、韓国人の入国者を徹底的に隔離した。韓国人が住むマンションの入口を封鎖したりもした。韓国外交部が抗議すると反論だけが返ってきた。「中国は外交より防疫が優先だ」。両強大国の指導者の似たリーダーシップだ。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領のメッセージはあいまいだった。「防疫と経済、二兎を追うべき」と述べた。「中国の困難は我々の困難」という発言もした。防疫と経済、外交の三兎を追えという不可能な注文だ。先月12日の「防疫は徹底的にするものの、行き過ぎた萎縮は避けなければいけない。予定された行事は計画通りに進めるべき」という丁世均(チョン・セギュン)首相の指示はその延長線だ。官僚らはすぐにコロナに緩く対処すべきという真意を汲み取った。その結果、適当に防疫をして災難を迎えたのだ。大統領の表情ばかり眺めて、感染学会・医師協会など専門家の意見は黙殺された。マスク不足も同じだ。台湾は2月4日から輸出を禁止し、事実上の配給に入った。マスクを戦略物資と判断したのだ。
文大統領は正反対に向かった。所得主導成長で繰り返し市場に介入してきたが、いざマスク不足の時は政府の姿が見えなかった。2月1日-20日のマスクの対中輸出は1億1845万ドルだった。KF94マスクの普段の卸売価格(1枚300ウォン)の3倍の900ウォンとしても1億5000万枚が中国に流れたということだ。国内マスク生産能力(一日1200万枚)をフル稼働しても5000万人の国民に足りなかったが、毎日700万枚以上が中国に出て行った。その結果、マスク1枚を購入するために数時間、数百メートルの行列ができる。世界11位の経済大国の悲しい自画像だ。
最近、文大統領は「診断能力は我々が最高」と自慢する。実際、米国のトランプ大統領が韓国人を入国禁止にしない理由も韓国の外交力や同盟関係のためではない。米食品医薬品局(FDA)と米疾病対策センター(CDC)の責任者らが「韓国の診断能力には驚く」と述べ、これをトランプ大統領が認めたのだ。韓国を入国禁止にすれば、日本とイタリアなど欧州全体を封鎖しなければいけない難しい状況になり得る。トランプ大統領は先週の演説で「伝染病に対応する先進国」として米国-英国-オランダ-豪州-カナダ-タイ-スウェーデン-デンマーク-韓国-フィンランドという順序を正確に羅列した。この研究報告書を作成したジョンズ・ホプキンス大学など専門家の意見を十分に聞いているのだ。政治論理と科学論理が衝突すれば政治論理に従う文在寅政権とは違う。
実際、韓国の新型コロナ検診能力は一日1万5000件を超える。圧倒的だ。日本は国際感染症センターと呼吸器専門病院2カ所などで一日1700件、米国は一日500件のテストをする水準だ。韓国も市道環境保健院だけで検査していたが、2月7日から民間部門を参加させて検診能力が爆発的に高まった。90カ所に検診を任せ、一日1万件以上を処理する。現在の診断の相当部分は緑十字・シージェンなど民間企業が担当している。
中国のウイルス専門家の鐘南山氏は「新型コロナ解決法は早期診断と早期隔離」と述べた。こうした点で判定に2-3日かかる日本や3-4日が必要な米国と比べて韓国の競争力は圧倒的だ。担当者が3交代で24時間非常勤務し、遺伝子抽出に1時間、増幅に3時間など計4時間で判定できるからだ。診断検査医学会のクォン・ケチョル会長は「今の流れなら3月中旬までに変曲点を迎えるだろう」と自信を表した。
しかし文大統領がこうした競争力を自画自賛するのは恥ずかしいことだ。その検診能力は新型インフルエンザとMERSの経験から李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権が整えた。2009年から平時にも現場検査を通じて診断の正確性を点検し、認証業者を管理してきた。
新型コロナを通じて「4流政治・新天地-3流政府-1流専門家・民間企業」というきまり悪い真実が表れた。独裁体制の中国は武漢を封鎖し、医療スタッフ4万人を動員する人海戦術で火を消した。一方、韓国は信頼できるのが民間部門だけだった。文大統領のリーダーシップはみすぼらしくなった。政府が政治論理にとらわれアマチュア政策で空転する間、民間だけでも合理的・現実的に進化してきたのは幸いだ。今回も官軍の代わりに民間義兵が国を救っている。
2016年、文在寅野党代表は連日「朴槿恵大統領の厚かましい自画自賛…反省なく他人のせいにする」と非難した。同年12月のろうそく集会では「朴槿恵=連鎖談話犯」として弾劾を要求した。遅い国民向け謝罪で国民の感情を何度も傷つけたということだ。文大統領は4年前の自身の言葉を完全に忘れているようだ。昨日初めてマスク不足を謝罪したが、タイミングを逃したようだ。このままでは「連続談話」惨事が他人事でないかもしれない。
イ・チョルホ/中央日報コラムニスト
文在寅(ムン・ジェイン)大統領のメッセージはあいまいだった。「防疫と経済、二兎を追うべき」と述べた。「中国の困難は我々の困難」という発言もした。防疫と経済、外交の三兎を追えという不可能な注文だ。先月12日の「防疫は徹底的にするものの、行き過ぎた萎縮は避けなければいけない。予定された行事は計画通りに進めるべき」という丁世均(チョン・セギュン)首相の指示はその延長線だ。官僚らはすぐにコロナに緩く対処すべきという真意を汲み取った。その結果、適当に防疫をして災難を迎えたのだ。大統領の表情ばかり眺めて、感染学会・医師協会など専門家の意見は黙殺された。マスク不足も同じだ。台湾は2月4日から輸出を禁止し、事実上の配給に入った。マスクを戦略物資と判断したのだ。
文大統領は正反対に向かった。所得主導成長で繰り返し市場に介入してきたが、いざマスク不足の時は政府の姿が見えなかった。2月1日-20日のマスクの対中輸出は1億1845万ドルだった。KF94マスクの普段の卸売価格(1枚300ウォン)の3倍の900ウォンとしても1億5000万枚が中国に流れたということだ。国内マスク生産能力(一日1200万枚)をフル稼働しても5000万人の国民に足りなかったが、毎日700万枚以上が中国に出て行った。その結果、マスク1枚を購入するために数時間、数百メートルの行列ができる。世界11位の経済大国の悲しい自画像だ。
最近、文大統領は「診断能力は我々が最高」と自慢する。実際、米国のトランプ大統領が韓国人を入国禁止にしない理由も韓国の外交力や同盟関係のためではない。米食品医薬品局(FDA)と米疾病対策センター(CDC)の責任者らが「韓国の診断能力には驚く」と述べ、これをトランプ大統領が認めたのだ。韓国を入国禁止にすれば、日本とイタリアなど欧州全体を封鎖しなければいけない難しい状況になり得る。トランプ大統領は先週の演説で「伝染病に対応する先進国」として米国-英国-オランダ-豪州-カナダ-タイ-スウェーデン-デンマーク-韓国-フィンランドという順序を正確に羅列した。この研究報告書を作成したジョンズ・ホプキンス大学など専門家の意見を十分に聞いているのだ。政治論理と科学論理が衝突すれば政治論理に従う文在寅政権とは違う。
実際、韓国の新型コロナ検診能力は一日1万5000件を超える。圧倒的だ。日本は国際感染症センターと呼吸器専門病院2カ所などで一日1700件、米国は一日500件のテストをする水準だ。韓国も市道環境保健院だけで検査していたが、2月7日から民間部門を参加させて検診能力が爆発的に高まった。90カ所に検診を任せ、一日1万件以上を処理する。現在の診断の相当部分は緑十字・シージェンなど民間企業が担当している。
中国のウイルス専門家の鐘南山氏は「新型コロナ解決法は早期診断と早期隔離」と述べた。こうした点で判定に2-3日かかる日本や3-4日が必要な米国と比べて韓国の競争力は圧倒的だ。担当者が3交代で24時間非常勤務し、遺伝子抽出に1時間、増幅に3時間など計4時間で判定できるからだ。診断検査医学会のクォン・ケチョル会長は「今の流れなら3月中旬までに変曲点を迎えるだろう」と自信を表した。
しかし文大統領がこうした競争力を自画自賛するのは恥ずかしいことだ。その検診能力は新型インフルエンザとMERSの経験から李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権が整えた。2009年から平時にも現場検査を通じて診断の正確性を点検し、認証業者を管理してきた。
新型コロナを通じて「4流政治・新天地-3流政府-1流専門家・民間企業」というきまり悪い真実が表れた。独裁体制の中国は武漢を封鎖し、医療スタッフ4万人を動員する人海戦術で火を消した。一方、韓国は信頼できるのが民間部門だけだった。文大統領のリーダーシップはみすぼらしくなった。政府が政治論理にとらわれアマチュア政策で空転する間、民間だけでも合理的・現実的に進化してきたのは幸いだ。今回も官軍の代わりに民間義兵が国を救っている。
2016年、文在寅野党代表は連日「朴槿恵大統領の厚かましい自画自賛…反省なく他人のせいにする」と非難した。同年12月のろうそく集会では「朴槿恵=連鎖談話犯」として弾劾を要求した。遅い国民向け謝罪で国民の感情を何度も傷つけたということだ。文大統領は4年前の自身の言葉を完全に忘れているようだ。昨日初めてマスク不足を謝罪したが、タイミングを逃したようだ。このままでは「連続談話」惨事が他人事でないかもしれない。
イ・チョルホ/中央日報コラムニスト
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