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【コラム】「酒はコスパの低い娯楽」…日本人、「しらふ」で生きる(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
日本文学界でも似たような現象があった。「名うての大酒飲み」として広く知られていた芥川賞作家の町田康氏が書いたエッセイ集『しらふで生きる 大酒飲みの決断』がベストセラーになった。30年という飲酒経歴に終止符を打ち、ある日突然酒をやめた後の日常を記録したエッセイ集だが、3カ月で9刷りとなり売れ行きは好調だ。町田氏は「酒をやめた理由はない。なんとなく」と言った。

おもしろいのは、町田氏の本が決して「断酒」を勧める啓蒙書ではない点だ。むしろ「酒を飲む人がまともな精神状態、飲まないほうが気が狂っている」という。だが「酒をやめて仕事に没頭する時間が長くなり、生産性が良くなった」というようなさまざまな長所を紹介する。

町田氏は日本経済新聞のインタビューで「以前は人生の目的が仕事と酒だった。仕事が終わって酒さえ飲めばよかった。夕方の酒の約束時間に合わせて仕事も全て終わらせた。ところが今はすべてのことがフラットに同じ重要度を持ってあると思えるようになった。一言で日々にゆとりが生まれた」と話した。


単に酒をやめたという話に人々が関心を持つ理由は何か。この本の編集者の竹村優子氏は「最近は酒を飲むのが時間の無駄とか、酒の力を借りて話をすることを恥ずかしいと考える若者が多い」と話した。酒による快楽とここに費やされる時間とコスト、副作用(二日酔い、飲酒事故など)を計算すると、一言で飲酒はコストパフォーマンスの低い娯楽ということだ。

若者層だけではない。40代以上の中年層を中心に「私も真似して酒をやめてみる」という反応が出ているという。竹村氏は「年配の人は『残りの人生をこのように酒を飲むことに費やしてもかまわないのだろうか』と振り返る契機になったという読者の反応が多かった。酒をたくさん飲む韓国も事情が似ているのでは」と話した。

酒に対する関心が落ちても、コミュニケーションに対する欲求そのものが消えたわけではない。日本能率協会が実施した「2019年度新入社員意識調査」では、約6割が「上司と一緒に会食や社内イベントに参加したい」と答えた。

立命館アジア太平洋大学(APU)の筒井久美子准教授はFNNに対して「以前は酒が緊張をほぐして本音を言いやすくすると考えたが、最近、コミュニケーションはインターネットでも代替できる。体を傷つけながら、相手の機嫌を取りながら酒を飲むことを特に好まなくなってきた」と分析した。

ユン・ソルヨン/東京特派員


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