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【時視各角】韓国大統領の訪中、絶好の機会

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
先週、米カリフォルニアを訪問した。新型肺炎が地球的な災難になった時期だった。近隣のサンタクララで新型肺炎の感染者が確認された。武漢と上海を訪れた男性だった。この男性は2回だけ外出した。付近の病院を訪れた時だった。そして自ら隔離した。自分が感染していれば隣人に伝染するかもしれないと心配したからだ。結局、この男性は米国で7人目の感染者となった。サンタクララの保健所長、セラ・コディ博士は「彼が接触した人は極めて少なく、伝染病が広がる心配は大きくない」と述べた。その日、米国政府は非常事態を宣言し、中国を訪問した外国国籍者の入国を全面禁止した。主要国では最初だった。

2つの顔の米国がそこにあった。サンタクララの感染者は市民らしい米国的な価値を見せた。一方、米国政府の措置は「米国優先主義」を赤裸々に表した。中国はそのような米国を「インフルエンザで数千人が死亡する国が新型肺炎にかんぬきを掛けた」と激しく非難する。

日常的になっているパンデミック(地球的伝染病)の本当の恐ろしさはウイルスではない。恐怖だ。恐怖は人間の群像の底辺を一つ一つ見せている。武勇伝も一部あるが、ほとんどの場合は卑劣な利己主義ばかりだ。マスクの買い占めはその素顔の非常に小さな部分にすぎない。恐怖は隣人や陣営はもちろん国家間の葛藤を深めたりする。中国の隣国の韓国は特に敏感になるしかない。政権ごとに疫病と戦争をし、韓中関係も変わった。


2002年11月にSARS(重症急性呼吸器症候群)感染が中国で拡大し、翌年7月まで大陸はパニックだった。世界各国が駐在官・企業のほか、自国国民を一斉に撤収させた。韓国は違った。当時の金夏中(キム・ハジュン)駐中大使の著書によると、現地の韓国人は撤収しなかった。「SARS対策委員会」を設置して寄付を集め、中国に渡した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領はSARS発生後、国家元首では最初に中国を訪問した。参謀が引き止めたうえ、中国政府も「来なくてもよい。理解する」と伝えたが、盧大統領は訪中を強行した。参加政府時代に中国との関係が深まったのにはこうした「インフルエンザの政治学」があった。

インフルエンザの政治学は逆行もある。2015年6月、今度は韓国にMERS(中東呼吸器症候群)が上陸した。香港・台湾・中国など中華圏のネットユーザーは一斉に韓国たたきを始めた。MERS接触者の韓国人が香港行き飛行機に乗ったという理由で「利己的な韓国人」「MERS輸出国」と非難した。香港防疫当局は医療スタッフの交流を中断した。中国国務院は「韓中言論人交流」を無期限延期した。それも前日に「MERSのため来るな」と一方的に通知した。当時、中国で寄付金を集めたとか、医療スタッフを派遣したとか、韓国を助けようという声は全く聞こえなかった。

5年ぶりに立場がまた入れ代わったが、文在寅(ムン・ジェイン)政権はむしろ逆風を受けている。中国の反応を意識して右往左往し、支持率までが急落中だ。このような時は逆発想が必要となる。過去から学ばなければいけない。文在寅大統領が中国を訪問して首脳会談をすることだ。習近平主席の4月前の訪韓は現実的に難しくなった。これにこだわれば得るものより失うものの方が多くなるかもしれない。文大統領の訪中にはいくつか利益がある。習近平主席の訪韓=総選挙用という非難を免れることができ、率先垂範の姿勢を見せて中国人に2倍の感動を与えることができる。「中国の困難は我々の困難」という言葉の誠意も証明できる。300万枚のマスクより百倍、千倍も効果が大きいはずだ。我々も足りないのに中国に与えてばかりだという国民の不満も減らすことができる。

その代わりジェスチャーに終わってはいけない。誠意が重要だ。どうせなら夫人と共に新型肺炎完治患者と抱擁する姿を見せればもっとよいだろう。マスクをした中国の庶民と一緒に食事をするのもよい。手洗いさえ徹底すればいかなる問題もないはずだ。韓国の医療スタッフと会う時のようにマスクをしたまま握手もしなければ問題になるかもしれない。

イ・ジョンジェ/中央日報コラムニスト



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