中国で始まった新型コロナウイルスによる肺炎が急速に拡散している。患者が発生した国だけで1日基準25カ国に達する。患者は1万1937人で、いまも増加が続いている。これに伴い、中国旅行を制限する国が相次いで現れている。だが韓国政府は「追加議論が必要な事案」として旅行禁止に慎重な立場を維持した。
世界保健機関(WHO)は先月30日、新型肺炎と関連した国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言した。その一方で貿易と移動の制限は勧告しないと明らかにした。WHOのテドロス事務局長は、「国際的旅行と貿易を不必要に妨げる措置がある理由はない。われわれはすべての国が科学的根拠に基づいた決定を施行するよう望む」話した。
それでも米国と日本などさまざまな国が自主的な旅行制限措置に急いで乗り出している。米国務省は先月30日を機に中国全域の旅行等級を「旅行禁止勧告」水準である4段階に引き上げた。北朝鮮とリビア、イラン、シリアなどが含まれる4段階の国に中国が追加されたのだ。また、翌日には過去2週間以内に中国を訪れた外国国籍者に対し米国への入国を暫定禁止することにした。AP通信とロイター通信などによるとデルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空の米主要航空3社も中国への運航を全面中断することにした。
日本は安倍晋三首相が直接旅行制限措置を発表した。安倍首相は先月31日、入国申請日前14日以内に中国・武漢と湖北省に滞在したことがある外国人、湖北省が発行した中国旅券を所持した人の入国を全面禁止すると明らかにした。シンガポールもこの日中国人と14日以内に中国を訪問した外国人の入国などを禁止した。欧州では大手航空会社が中国便の運航を減らしたり一時中断している。
韓国もやはり中国との交流人数が多い国のひとつだ。地理的に隣に接している上に、経済的・社会的移動も多いためだ。毎日仁川(インチョン)国際空港にやってくる中国発の航空便入国者だけで2万人前後だ。
だが韓国政府は新型肺炎患者増加にともなう入国者制限には出ていない。関係官庁と専門家などの議論がさらに必要という理由からだ。現在武漢からの直行便は中断された状態だが中国の他の地域からの航空便に対する検疫が強化されただけで入国を防いではいない。
1日に開かれた新型肺炎対策本部の定例会見でもこの問題と関連した取材陣の質疑が続いた。これに対して保健福祉部の金剛立(キム・ガンリプ)次官は「WHOから出た決定では交流を制限することを勧告していない」として慎重論を展開した。WHOの決定内容は「勧告」水準だが、これを参考すべきという意味だ。
金次官は「(外国の)出入国制限措置の有無は現地大使館などを通じ一部確認しており、一部は外信を通じて把握している。まず新型肺炎に対する危険評価を基にさまざまな議論と検討が必要な事案だ。まだ具体的に申し上げる段階ではなく、疾病管理本部と民間専門家の意見取りまとめ、政府官庁間の協議が進められるべき事案とみている」と話した。今後中国入国者制限の可能性を完全に排除してはいないが、当分韓国政府の強力な措置は出てこないものとみられる。
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