「米中貿易戦争が終わりそうで期待感が高かったが、今度は目に見えないウイルスまで気を遣わなくてはいけない状況だ」。
旧正月連休最終日の27日、受話器の向こうから聞こえるある大手企業役員のため息は大きかった。彼は「地政学的危機に加えバイオ危機まで襲ったこれまで経験したことのない悪材料が訪ねてきた。年末に立てた事業計画を立て直さなければならないかもしれない」と話した。
新型コロナウイルスの恐怖が韓国企業を襲っている。不確実性が大きくなった上に、中国の消費市場萎縮が大きな心配に浮上した。SK総合化学など韓国企業の中国・武漢脱出も続いている。
石油化学業界の特性から社員の中国出張が頻繁なSKイノベーションは、事実上中国出張禁止令を下した状態だ。必要な場合は最小限の人数に限り、担当役員の決裁を得なくてはならない。LGエレクトロニクスも28日から武漢だけでなく中国全域への出張を禁止することにした。現地法人にいる既存出張者もやはり早期帰国することにした。
ポスコグループは中国政府などの対応を見守りながら駐在員撤収の検討に入った。ポスコは武漢で自動車用鋼板を加工する加工センターを2015年から運営している。広州に工場を運営しているLGディスプレーも役員社員の中国出張を自制することにした。ハンファと暁星(ヒョソン)グループなども武漢をはじめとする中国出張を自制することを社員に勧告した状態だ。サムスン電子も外交部の旅行警報第3段階(撤収勧告)に合わせ該当地域への出張を自制することにした。
企業は特に中国市場の萎縮を心配する。韓国企業の対中輸出比率は絶対的だ。貿易協会によると2018年基準で中国を相手にした輸出額は韓国の全輸出額のうち26%を占めた。
韓国政府としては予想できなかった悪材料にぶつかった。大型伝染病は直接的・間接的に経済成長率を引き下げる要因だ。企画財政部は先月19日、今年の経済成長率を2.4%と予想した。昨年の2.01%より0.39ポイント上げた。政府が今年の景気を楽観した根拠は外部環境の改善だったが新型肺炎が発生したのだ。予想できない変数のため景気回復動向には障害になりかねない。
特に限韓令(韓流制限令)緩和の兆しが見られる中で中国人観光客の韓国訪問に冷や水を浴びせた。実際に中国人団体観光客が韓国旅行を取り消す事例も起きた。忠清南道(チュンチョンナムド)が27日に明らかにしたところによると、2月に訪韓する予定だった3000人規模の中国人団体観光客がこの日訪問日程を電撃的に取り消した。
漢陽(ハニャン)大学観光学部のイ・ヨンテク教授は「中国が自国民の海外団体旅行を制限し、流通の書き入れ時である春節連休期間に訪韓する中国人観光客が減る見通し。緩やかな増加傾向を見せていた小売り販売をはじめ、観光や流通業種を中心としたサービス業に打撃を与えかねない」と話した。新型肺炎の韓国国内での拡散速度が速くなる場合、国内消費・余暇活動まで萎縮する恐れがある。
今回の新型肺炎はさまざまな面で、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と比較される。SARSは中国、台湾、香港、マカオで発生したが、交通手段の発展と世界化で予想よりはるかに速く拡散した。
SARSの経済的衝撃は相当だった。直撃弾を受けた香港の場合、SARSによる社会的費用を17億ドルと推定した。シンガポールはSARSにより2003年の国内総生産(GDP)が1~1.5%減少したと推定した。対外経済政策研究院のイ・スンシン中国経済室長は「韓国の2003年4-6月期、特に5月の輸出増加率が一時的に大きく萎縮したのをすべてSARSの影響だと仮定する場合、4-6月期のGDP成長率を1ポイント(年率0.25ポイント)下落させたと推定される」と話した。
単純に経済成長率の問題だけではない。1999年から増え続けていた両国間の観光客数がSARS発病直後ともに減少した。2002年に中国を訪問した韓国人観光客数は212万人だったが2013年には194万人に減った。同じ期間に韓国を訪問した中国人観光客数も53万9400人から51万2700人に減った。
◇SARSは0.25ポイント、MERSは0.2ポイント…「伝染病リスク」が成長率引き下げる
韓国だけで患者186人、死亡者38人が発生した2015年の中東呼吸器症候群(MERS)では外国人訪問者規模が2015年5月の133万人から6月には75万人に急減した。その上で消費が直撃弾を受けた。2015年6月の小売り販売額指数は前月比3.2%急減した。2011年2月の7.3%減から4年4カ月ぶりの下げ幅だった。その余波で同年4-6月期のGDP成長率は0.4%にとどまった。米疾病予防管理センター(CDC)によると、MERSの影響で2015年に韓国のGDPは0.2%減少した。
延世(ヨンセ)大学経済学部のソン・テユン教授は「伝染病は国同士の交流や貿易を妨げるため輸出主導国に大きな影響を及ぼす。特に新型肺炎のように中国が核心発病地の場合、中国依存度が高い韓国に及ぼす副作用が大きい」と分析した。続けて「(新型肺炎が)拡散しない場合短期的に否定的な影響を及ぼした後に景気が反騰するだろうが、反対の場合、経済に相当な後遺症を及ぼすだろう」と付け加えた。
韓国政府は金融市場不安が拡大する場合、コンティンジェンシープラン(非常計画)に基づき市場安定措置を断行すると明らかにした。韓国政府は企画財政部のキム・ヨンボム第1次官の主宰により27日にマクロ経済金融会議を開き、中国の新型肺炎拡散動向と対応状況を点検した。出席者は国際金融市場が証券市場などで変動性がやや拡大したが、国内市場と関連し過度に懸念する必要はないという認識で一致した。
ただ新型肺炎の今後の展開様相は速断しにくいため当分内外の金融・外国為替市場の変動性は拡大する可能性があると予想した。これに伴い、韓国政府は市場不安が拡大する場合、市場安定措置を断行することにした。
24日の米国ダウ平均は0.58%下落し、27日には日本の日経指数が2.03%下落した。これに対し連休期間にドルや円など安定通貨をはじめ代表的な安全資産に挙げられる金の価格は上昇した。
旧正月連休最終日の27日、受話器の向こうから聞こえるある大手企業役員のため息は大きかった。彼は「地政学的危機に加えバイオ危機まで襲ったこれまで経験したことのない悪材料が訪ねてきた。年末に立てた事業計画を立て直さなければならないかもしれない」と話した。
新型コロナウイルスの恐怖が韓国企業を襲っている。不確実性が大きくなった上に、中国の消費市場萎縮が大きな心配に浮上した。SK総合化学など韓国企業の中国・武漢脱出も続いている。
石油化学業界の特性から社員の中国出張が頻繁なSKイノベーションは、事実上中国出張禁止令を下した状態だ。必要な場合は最小限の人数に限り、担当役員の決裁を得なくてはならない。LGエレクトロニクスも28日から武漢だけでなく中国全域への出張を禁止することにした。現地法人にいる既存出張者もやはり早期帰国することにした。
ポスコグループは中国政府などの対応を見守りながら駐在員撤収の検討に入った。ポスコは武漢で自動車用鋼板を加工する加工センターを2015年から運営している。広州に工場を運営しているLGディスプレーも役員社員の中国出張を自制することにした。ハンファと暁星(ヒョソン)グループなども武漢をはじめとする中国出張を自制することを社員に勧告した状態だ。サムスン電子も外交部の旅行警報第3段階(撤収勧告)に合わせ該当地域への出張を自制することにした。
企業は特に中国市場の萎縮を心配する。韓国企業の対中輸出比率は絶対的だ。貿易協会によると2018年基準で中国を相手にした輸出額は韓国の全輸出額のうち26%を占めた。
韓国政府としては予想できなかった悪材料にぶつかった。大型伝染病は直接的・間接的に経済成長率を引き下げる要因だ。企画財政部は先月19日、今年の経済成長率を2.4%と予想した。昨年の2.01%より0.39ポイント上げた。政府が今年の景気を楽観した根拠は外部環境の改善だったが新型肺炎が発生したのだ。予想できない変数のため景気回復動向には障害になりかねない。
特に限韓令(韓流制限令)緩和の兆しが見られる中で中国人観光客の韓国訪問に冷や水を浴びせた。実際に中国人団体観光客が韓国旅行を取り消す事例も起きた。忠清南道(チュンチョンナムド)が27日に明らかにしたところによると、2月に訪韓する予定だった3000人規模の中国人団体観光客がこの日訪問日程を電撃的に取り消した。
漢陽(ハニャン)大学観光学部のイ・ヨンテク教授は「中国が自国民の海外団体旅行を制限し、流通の書き入れ時である春節連休期間に訪韓する中国人観光客が減る見通し。緩やかな増加傾向を見せていた小売り販売をはじめ、観光や流通業種を中心としたサービス業に打撃を与えかねない」と話した。新型肺炎の韓国国内での拡散速度が速くなる場合、国内消費・余暇活動まで萎縮する恐れがある。
今回の新型肺炎はさまざまな面で、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と比較される。SARSは中国、台湾、香港、マカオで発生したが、交通手段の発展と世界化で予想よりはるかに速く拡散した。
SARSの経済的衝撃は相当だった。直撃弾を受けた香港の場合、SARSによる社会的費用を17億ドルと推定した。シンガポールはSARSにより2003年の国内総生産(GDP)が1~1.5%減少したと推定した。対外経済政策研究院のイ・スンシン中国経済室長は「韓国の2003年4-6月期、特に5月の輸出増加率が一時的に大きく萎縮したのをすべてSARSの影響だと仮定する場合、4-6月期のGDP成長率を1ポイント(年率0.25ポイント)下落させたと推定される」と話した。
単純に経済成長率の問題だけではない。1999年から増え続けていた両国間の観光客数がSARS発病直後ともに減少した。2002年に中国を訪問した韓国人観光客数は212万人だったが2013年には194万人に減った。同じ期間に韓国を訪問した中国人観光客数も53万9400人から51万2700人に減った。
◇SARSは0.25ポイント、MERSは0.2ポイント…「伝染病リスク」が成長率引き下げる
韓国だけで患者186人、死亡者38人が発生した2015年の中東呼吸器症候群(MERS)では外国人訪問者規模が2015年5月の133万人から6月には75万人に急減した。その上で消費が直撃弾を受けた。2015年6月の小売り販売額指数は前月比3.2%急減した。2011年2月の7.3%減から4年4カ月ぶりの下げ幅だった。その余波で同年4-6月期のGDP成長率は0.4%にとどまった。米疾病予防管理センター(CDC)によると、MERSの影響で2015年に韓国のGDPは0.2%減少した。
延世(ヨンセ)大学経済学部のソン・テユン教授は「伝染病は国同士の交流や貿易を妨げるため輸出主導国に大きな影響を及ぼす。特に新型肺炎のように中国が核心発病地の場合、中国依存度が高い韓国に及ぼす副作用が大きい」と分析した。続けて「(新型肺炎が)拡散しない場合短期的に否定的な影響を及ぼした後に景気が反騰するだろうが、反対の場合、経済に相当な後遺症を及ぼすだろう」と付け加えた。
韓国政府は金融市場不安が拡大する場合、コンティンジェンシープラン(非常計画)に基づき市場安定措置を断行すると明らかにした。韓国政府は企画財政部のキム・ヨンボム第1次官の主宰により27日にマクロ経済金融会議を開き、中国の新型肺炎拡散動向と対応状況を点検した。出席者は国際金融市場が証券市場などで変動性がやや拡大したが、国内市場と関連し過度に懸念する必要はないという認識で一致した。
ただ新型肺炎の今後の展開様相は速断しにくいため当分内外の金融・外国為替市場の変動性は拡大する可能性があると予想した。これに伴い、韓国政府は市場不安が拡大する場合、市場安定措置を断行することにした。
24日の米国ダウ平均は0.58%下落し、27日には日本の日経指数が2.03%下落した。これに対し連休期間にドルや円など安定通貨をはじめ代表的な安全資産に挙げられる金の価格は上昇した。
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