京畿（キョンギ）高校に陸軍士官学校３７期。ネイティブスピーカーのように英語を駆使する代表的な「米国通」将軍。予備役陸軍中将であるチョン・インボム元特殊戦司令官は２０１７年２月に大統領選の文在寅（ムン・ジェイン）候補陣営に合流し本格的に世間に名前が知られた。特殊戦司令部兵士出身の大統領候補が特殊戦司令官出身将軍を迎え入れたという話が出た。

文在寅政権が発足すれば重責を引き受け軍改革を主導するだろうという話も出た。だがいくらもたたずに彼は文候補の安保諮問委員の肩書きを外して陣営を離れた。５・１８光州（クァンジュ）民主化運動関連の発言と夫人の問題が足を引っ張った。初級将校時代に合同参謀議長専属副官として格別な親交を結んだイ・ギベク元国防部長官が他界した１６日、ソウルの中央日報で彼と会った。

Ｑ：国防・安保の側面で文在寅政権がうまくやっているとみますか。


Ａ：「李明博（イ・ミョンバク）・朴槿恵（パク・クネ）政権よりできていないとは思いません。しかし私と多くの人が期待した水準には至っていないと考えます。特に韓米の軍事関係で不必要な対立をたくさん作り出すようで残念でもあり、失望的でもあります。こういうことでは大変なことが起きそうですが、何がしたくてあのようにするのかと思う時もあります」

◇韓米の不必要な対立生まれ残念

Ｑ：本当に期待が大きかったですか。

Ａ：「陣営に加わる前に２人で１５回ほど会いました。したい話を直接的にすべてしましたがすべて受け入れられました。それでこんな方ならどんな話でもできるだろうと期待をたくさんしたのは事実です。ところがいまは疎通ができないという話が出ているので私が判断を間違ったのかもしれませんね」

Ｑ：大統領だけの責任ではないのではないですか。下の人々も所信に従って言うべきことは言わなければならないのではないですか。

Ａ：「そうですが、疎通の問題は基本的に上の人の問題であり下の人の問題だとは思いません。上の人が先に疎通できる雰囲気を作らなければなりません」

Ｑ：韓米同盟危機論に対してはどう思いますか。

Ａ：「韓米間にはいつも摩擦がありました。保守政権の時も摩擦がありましたが、進歩政権では小さな摩擦も大きく感じられる側面があるようです。真剣に討議し、すでに解決していなければならない問題を先送りし続けたためもあると思います。戦時作戦統制権転換のようなものが良い例です。米国と仲が良くなければ韓国はもっと大きな損害を受けます。米国の人たちをしっかり扱って私たちが望む方向で説得すべきなのにそうした努力がちょっと不足しているようです。どうすべきなのかよくわからないようでもあります」

Ｑ：米朝非核化交渉が結局失敗に終わりそうな雰囲気です。

Ａ：「簡単ではないだろうということは初めから予想していたので驚くことではないとみます。来年は雰囲気が別に良くないと思います。果たして米国がどんな方法で出てくるかが問題ですが、２年前のように『火炎と憤怒』の局面に戻りはしないと思います」

Ｑ：何を根拠にそのように見るのでしょうか。

Ａ：「これまでトランプ大統領がしてきたことを見ると、軍事的オプションを簡単には選択しないと思います。北朝鮮がハワイやグアムに向けミサイルを発射するなど米国を直接狙わない限り先制打撃や鼻血作戦のように軍事的に対応はしないと思います。多くの人が予想する通り、人工衛星発射で包装して長距離ロケットを撃ったり大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）試験発射に出ても米国は国連安保理次元の制裁強化で対応する可能性が大きいとみます」

Ｑ：韓国も核武装をすべきという声が大きくなっています。

Ａ：「韓国国民の１０人中７人が核武装に誘惑を感じるようです。私も生涯軍生活をした人なので北朝鮮が核兵器１００個を持っていれば韓国は２００個持つのが最も確実な抑止力という考えを心情的には理解します。しかししっかりと考えてみればやはり現在としては最上の方策は韓米同盟を強固にして米国の拡張抑止力を提供されることです」

Ｑ：拡張抑止力を１００％信頼できないから問題なのではありませんか。

Ａ：「信頼が壊れるなら韓国もどうにか核を開発しなければなりません。その場合、韓国経済が完全に破綻しかねないというのが問題です。まさかと考える人たちもいるがそうではありません。韓国が突然核拡散防止条約（ＮＰＴ）から脱退すれば大学研究室や病院から原子力発電所まで韓国の日常生活と経済活動がすべて影響を受けることになります」


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