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【コラム】ラグビー日本代表の具智元

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
「記者様、本当に申しわけないのですが、記事をインターネットから削除することはできないでしょうか。息子の具智元(ク・ジウォン)があまりにも負担を感じています」。

夕食中にかかってきた電話に当惑した。電話をかけてきた具東春(ク・ドンチュン)先生は2017年8月13日付の中央日報に掲載された「父は韓国代表、息子は日本代表、ラグビー家族」という記事に出てくるその「父」だった。12年間にわたりラグビー韓国代表でプレーし、日本のホンダヒートでプレーした具先生は、2人の息子をラグビー選手に育てた。長男の智充(ジユン)と次男の智元はともにホンダに所属し、智元は当時、日本代表に選出された。ラグビーは該当国に一定期間居住さえすれば国籍を変えなくても国家代表として国際大会に出場できる。

具先生は「中央日報の記事には私たちを励ましてくれるコメントも多いが、智元に悪口をいうコメントも多い。さらに日本語に翻訳されて日本のインターネットに掲載された記事にも悪性の書き込みがあり、智元が少し衝撃を受けたようです」と話した。韓日両国で非難を受けているということだった。


私は「記事のファクトが違っていたり名誉毀損の余地がなければ書き込みのために記事を削除することはできません」という原則を伝えた後、「一度は経験することになるのなら堂々と解決するのがよいと思います」と助言した。具先生は感謝の意を伝えて電話を切った。

それから2年が経過した。2019年秋、日本はラグビーワールドカップ(W杯)で盛り上がった。ラグビーW杯は大会期間の観客数でサッカーW杯を上回る大きなイベントだ。具智元はニュージーランド、サモア、トンガなどラグビー強国の選手たちと共に日本代表のメンバーに選ばれた。身長183センチ、体重122キロのタンクのような体格を持つ具智元は8人が組むスクラムの最前列で相手選手と直接ぶつかり合う「3番」(タイトヘッドプロップ)のポジションだ。具智元はスコットランド戦でわき腹を痛めながらも強い精神力で自分の任務を遂行した。開催国の日本はグループリーグ4戦全勝で史上初めて8強入りを果たした。日本代表の試合の視聴率は50%を超えた。サッカー2002韓日W杯以上の熱気だった。

日本は準々決勝で世界最強の南アフリカに3-26で敗れたが、最後まであきらめない闘志を見せ、大きな拍手を受けた。大会は南アフリカの優勝で11月2日に幕を閉じたが、熱気はまだ冷めていない。東京を訪れてみるとさらに実感した。放送と新聞・雑誌では絶えずラグビー代表チームの話が出てくる。具智元に対する一部の非難も賛辞に変わった。「日本のために最後までプレーしてくれてありがとう」「具選手を見て大きな感動を受けました」という反応が多かった。具智元もインタビューで「(韓日)両国から応援してくれるのでうれしい」と語った。

しかしこじれるだけこじれた韓日関係のため喜んでばかりはいられない。具東春先生は「ほとんどの日本人は政治に大きな関心を向けるより生業に従事して暮らしています。政治のために夢に向かって正直に汗を流している選手たちが委縮しなければいけない現実が残念です」と話した。

ラグビーは激しいが紳士的であり、審判の判定に絶対服従するスポーツだ。日本企業はラグビー経験者を好んで優待するという。韓国は史上初めてオリンピック(五輪)本大会(7人制ラグビー)進出を決めたが、ラグビーは依然として不人気種目だ。男子実業団チームは3つしかない。ラグビー経験者を優待することもない。

「第2の具智元」が出てきて、日本代表でなく韓国代表を引っ張ってくれればどれほど良いだろうか。そのためにはスポーツ選手の学習権が保護され、勉強とスポーツを両立できる環境が整わなければいけない。スポーツが優秀なら実業団チームでプレーし、スポーツをやめれば職場に入ったり他の職業を見つけることができれば、あえて日本まで行くだろうか。

チョン・ヨンジェ/スポーツ専門記者/中央コンテンツラボ



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