韓国政府が今月7日、北朝鮮住民2人を仲間の乗組員16人の殺害容疑者として判断して北朝鮮に強制送還したことをめぐって批判が高まっている。国際社会の代表的な人権監視機構であるヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は12日(現地時間)、報道資料を出して「(韓国政府の)迅速な北送措置は、国連拷問等禁止条約に反する」と批判した。HRWは、韓国政府の送還措置が該当北朝鮮乗組員2人を「虐待の可能性」にさらしかねないと懸念している。
HRWアジア担当副局長のフィル・ロバートソン氏はこの報道資料で「北朝鮮の司法体系は極度に残忍で、(彼ら乗組員2人が)拷問される可能性があるのに彼らを北朝鮮に送り返したことは国際法上違法」としながら「韓国は2人に対する容疑を徹底的に調査して、彼らが北送されることに十分に異議を提起する機会を与えるべきだった」と指摘した。HRWは「北送された北朝鮮乗組員は残忍な犯罪者で、国際法上難民と認められない」という韓国政府の立場に対しても「難民関連法からは除外されるかもしれないが、人権法では難民かどうかに関わらず、拷問される危険が非常に高い国に送り返すことを禁止している」とし「韓国は拷問やその他の残酷行為、非人間的な待遇や処罰に反対する国連協約当事国」と指摘した。国連拷問等禁止条約第3条は拷問危険国での追放・送還・引き渡しを禁じている。
HRWはまた「韓国の憲法第3条は韓半島(朝鮮半島)全体に適用されるので、韓国当局は(北朝鮮乗組員)2人を犯罪容疑として起訴することもできた」とも明らかにした。憲法第3条には「大韓民国の領土は韓半島(朝鮮半島)とその附属島嶼(とうしょ)とする」と記されている。国際人権団体が韓国の憲法を根拠に韓国政府の送還決定を批判したのだ。
HRWは続いて「韓国政府は今回の事件を調査して、2人の乗組員の基本人権を侵害した関係者に責任を問わなければならない」と促した。
強制送還に対する批判には脱北者や韓国の人権専門家も加勢した。北朝鮮人権情報センターのユン・ヨサン所長は13日、「北朝鮮住民は大韓民国の地に入ってくることになれば意思表示とは関係なく大韓民国国民で、意思表示をすればその時から北朝鮮離脱住民になる」とし「今回の決定は違法行為」と明らかにした。1990年代中盤に脱北したチョン・ソンサン映画監督は自身のフェイスブックに北朝鮮住民と交わした対話だとして「主犯は金策(キムチェク)港で捕まった人で(北送された)2人は(犯行に)加担したが、真犯人が捕まると亡命するために下ってきた」としながら「亡命者を殺人者の汚名を着せて送り返した」と主張した。
国策研究機関である統一研究院のイ・ギュチャン引渡協力研究室長は、報告書「殺人容疑の北朝鮮住民追放事件の法的争点と課題」で「(政府が追放の根拠に挙げている北朝鮮離脱住民保護法は)北朝鮮住民をひとまず北朝鮮離脱住民として受け入れた後、北朝鮮離脱住民法による保護および定着支援対象から除外することができるという趣旨」とし「追放の有無に関するものではない」と明らかにした。
継続する論争にも、韓国政府は「北朝鮮住民が合同調査の過程で自分たちの犯行を認め、韓国に亡命を希望した。だが、情操的に非常に不安がっており、社会に出た場合、犯罪を犯す可能性が排除できないという判断を下した」という立場を維持した。
だが、韓国政府がこのような状況を自ら招いたという批判を免れられない状況だ。韓国政府が追放という前例のない措置を講じながらも国民に知らせない北送を試みたうえ、乗組員はもちろん彼らが乗ってきた木船まで送り返したため、各種疑惑を解き明かす「物証」と「陳述」を国民と国際社会に示す方法が少なくなったためだ。
何より北朝鮮乗組員の強制送還は、韓国政府がこれまで北朝鮮を定義するにあたり象徴的な原則であり基本的枠組みだった憲法3条を、現実の政策では認定しない場合もあるということを明確化したことになり、今後も論争が予想される。前職政府当局者は「拿捕から送還まで5日間の速戦即決で物事を処理したところ、情報共有が十分に行われず混乱を自ら招いた」と指摘した。
HRWアジア担当副局長のフィル・ロバートソン氏はこの報道資料で「北朝鮮の司法体系は極度に残忍で、(彼ら乗組員2人が)拷問される可能性があるのに彼らを北朝鮮に送り返したことは国際法上違法」としながら「韓国は2人に対する容疑を徹底的に調査して、彼らが北送されることに十分に異議を提起する機会を与えるべきだった」と指摘した。HRWは「北送された北朝鮮乗組員は残忍な犯罪者で、国際法上難民と認められない」という韓国政府の立場に対しても「難民関連法からは除外されるかもしれないが、人権法では難民かどうかに関わらず、拷問される危険が非常に高い国に送り返すことを禁止している」とし「韓国は拷問やその他の残酷行為、非人間的な待遇や処罰に反対する国連協約当事国」と指摘した。国連拷問等禁止条約第3条は拷問危険国での追放・送還・引き渡しを禁じている。
HRWはまた「韓国の憲法第3条は韓半島(朝鮮半島)全体に適用されるので、韓国当局は(北朝鮮乗組員)2人を犯罪容疑として起訴することもできた」とも明らかにした。憲法第3条には「大韓民国の領土は韓半島(朝鮮半島)とその附属島嶼(とうしょ)とする」と記されている。国際人権団体が韓国の憲法を根拠に韓国政府の送還決定を批判したのだ。
HRWは続いて「韓国政府は今回の事件を調査して、2人の乗組員の基本人権を侵害した関係者に責任を問わなければならない」と促した。
強制送還に対する批判には脱北者や韓国の人権専門家も加勢した。北朝鮮人権情報センターのユン・ヨサン所長は13日、「北朝鮮住民は大韓民国の地に入ってくることになれば意思表示とは関係なく大韓民国国民で、意思表示をすればその時から北朝鮮離脱住民になる」とし「今回の決定は違法行為」と明らかにした。1990年代中盤に脱北したチョン・ソンサン映画監督は自身のフェイスブックに北朝鮮住民と交わした対話だとして「主犯は金策(キムチェク)港で捕まった人で(北送された)2人は(犯行に)加担したが、真犯人が捕まると亡命するために下ってきた」としながら「亡命者を殺人者の汚名を着せて送り返した」と主張した。
国策研究機関である統一研究院のイ・ギュチャン引渡協力研究室長は、報告書「殺人容疑の北朝鮮住民追放事件の法的争点と課題」で「(政府が追放の根拠に挙げている北朝鮮離脱住民保護法は)北朝鮮住民をひとまず北朝鮮離脱住民として受け入れた後、北朝鮮離脱住民法による保護および定着支援対象から除外することができるという趣旨」とし「追放の有無に関するものではない」と明らかにした。
継続する論争にも、韓国政府は「北朝鮮住民が合同調査の過程で自分たちの犯行を認め、韓国に亡命を希望した。だが、情操的に非常に不安がっており、社会に出た場合、犯罪を犯す可能性が排除できないという判断を下した」という立場を維持した。
だが、韓国政府がこのような状況を自ら招いたという批判を免れられない状況だ。韓国政府が追放という前例のない措置を講じながらも国民に知らせない北送を試みたうえ、乗組員はもちろん彼らが乗ってきた木船まで送り返したため、各種疑惑を解き明かす「物証」と「陳述」を国民と国際社会に示す方法が少なくなったためだ。
何より北朝鮮乗組員の強制送還は、韓国政府がこれまで北朝鮮を定義するにあたり象徴的な原則であり基本的枠組みだった憲法3条を、現実の政策では認定しない場合もあるということを明確化したことになり、今後も論争が予想される。前職政府当局者は「拿捕から送還まで5日間の速戦即決で物事を処理したところ、情報共有が十分に行われず混乱を自ら招いた」と指摘した。
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