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<人・お金・企業が韓国から出ていく(上)>「韓国では財産を守れない」…資産家が移住

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

ヨットハーバー後方に30階建て高級コンドミニアムが建設されたマレーシア最南端ジョホールバルの新都市プテリハーバー。 ヨム・ジヒョン記者

投資家と移住者が集まり、マレーシアのジョホールバル各地で工事が進められている。住商複合ビルのR&Fプリンセスコーブの向こう側にシンガポールが見える。ジョホール海峡にかかる橋(右)を渡れば自動車で30分の距離。 ヨム・ジヒョン記者

3日、マレーシアの最南端ジョホールバル(Johor bahru)の新都市プテリハーバー。ジョホール海峡の向こう側にシンガポールが見える。シンガポールと向かい合う浜辺に沿って30階建てコンドミニアムの工事が行われている。観光地でもないが、韓国人観光客が目につく。移民を準備中の人たちが現地踏査に来たのだ。海外移住専門業者ユーワン(U1)インターナショナルのチョ・ヒョン代表は「月に30-40人が居住環境や住む家を見るために事前踏査している」とし「10年分の長期ビザ申請件数が昨年1500件と、1年間に倍増した」と伝えた。

ジョホールバルで事業を準備中のユさん(37)は「他の東南アジアの国とは違って法人株式100%所有を認めているうえ、事業投資費用が少なく、カフェ事業をする計画」と述べた。ユさんは「うまくいかなくても利子所得税がない銀行預金に入れておけば約4%の利子を受けることができる」とし「長期的に韓国にとどまるよりもお金を稼げる機会は多い」と話した。40代の事業家イさんは「韓国で人件費と各種税金問題でストレスを受け、韓国を離れることにした」とし「(マレーシアは)相続・贈与税もなく、韓国に残しておいた財産も整理する計画」と話した。

◆富裕層が「保険加入」のように移民チケット購入


韓国経済に対する不安と社会への不満から韓国を離れようとする人が増えている。移民の需要が増え、ソウル江南(カンナム)圏を中心に開催されていた投資移民説明会は釜山(プサン)や済州(チェジュ)でも開かれている。2019年の移民ブームは韓国社会に広がる「未来に対する不安感」を表す断面だ。

ウリィ銀行のキム・インウン営業本部長は「資産家は最近の韓国経済や政府の政策を眺めながら、時間が経過するほど財産を守るのが難しいという懸念を強めている」とし「(資産家は)有事の際、いつでも生活基盤を移せるように永住権を取ろうとしている」と述べた。あたかも保険に加入するように移民チケットを買うということだ。

米国務省のビザ発行統計によると、昨年投資移民ビザを取得した韓国人は前年比で倍以上の531人だった。韓国は中国、ベトナム、インドに次いで投資移民発行国4位だ。

◆企業の社長も移民して雇用不足、経済は悪循環

移民行列に火をつけたのは企業の社長らだ。一部は会社は厳しい状況を迎え、賃金が安くて税制優遇がある東南アジアに流れるように工場を移す。工場の移転や閉鎖は国内の雇用縮小につながる。経済の悪循環だ。大企業も生産基地を海外に移す動きが加速している。グローバル市場を拡大するための戦略だと主張するが、少子高齢化が進み、各種規制が足かせとなる韓国市場の投資魅力度が落ちたという理由も大きい。

匿名を求めた都市銀行プライベートバンカー(PB)は「今月に入って顧客のうち事業家4人が米国投資移民を申請した」とし「子どもを留学させても最高経営責任者(CEO)は韓国に残って会社を経営していた過去とは違い、事業を整理したり海外に移転させたりするCEOが増えている」と説明した。また「最低賃金の引き上げと週52時間勤務で人件費の負担が増え、これ以上持ちこたえるのは容易でない、と話している」と伝えた。

自動車部品会社を経営するイ・ヨンホ会長(仮名)は昨年、事業体は国内に置いたまま家族とシンガポール行きを選択した。過去30年間にわたり企業を経営してきたが、家業継承に悩んで個人的に出した決断だ。イ会長は「家業相続控除の要件が厳しく、相続するには数百億ウォンの現金が必要だった。税金のストレスで健康までが悪化し、企業も手放すつもりで韓国を離れた」とし「これから韓国にある会社をどうするか考える」と話した。

◆税金少なく物価安いマレーシアが移民先に浮上

韓国を離れた生活はどうだろうか。今年マレーシアのジョホールバルに移民したパク・サンウさん(39)、ユ・ジヒさん(37)夫婦は「自動車で30分の距離のシンガポール生活圏でありながらも住居価格など物価ははるかに安く、韓国に住むよりも生活が豊かになった」とし「特にインターナショナルスクールの学費が平均1000万ウォン(約90万円)ほどと安く、子どもの教育の負担が少ないことに満足している」と話した。

マレーシアは先進国投資移民に比べて投資金や投資要件などが低く、移民先として関心を集めている。満50歳未満を基準に50万リンギット(約1億4000万ウォン)以上の資産と夫婦で計1万リンギット(約280万ウォン)以上の月所得を証明すれば「マレーシアマイセカンドホームビザ」(MM2H)を申請できる。10年ごとに延長が可能で永住権に準ずる。オ・ヒョンシク元ジョホール韓人会長は「暮らしやすいという噂が広まり、ジョホール州だけで約5000人の同胞がいる」とし「この5年間で少なくとも3000人は増えた」と話した。

ジョホールバルに人が集まり、海辺には数十棟の高級コンドミニアムが建設されている。海辺の土地がなくなると、人工島の上に建設された住宅団地までが登場した。プールやショッピングモールなどの付帯施設があるコンドミニアムの価格は3億5000万ウォン(27坪基準)でソウルのマンションより安い。R&Fプリンセスコーブ施行会社R&Fグループの営業担当者は「現在まで約7000世帯を分譲したが、このうち5%ほどは韓国の居住者を含め、中国・シンガポールに暮らす韓国系の人たちが購入した」と話した。

◆国外流出を防ぐには「人と企業によい環境」の構築を

専門家は人と企業、資本が流出する「コリアエクソダス」現象について、急激な韓国社会の変化が原因だと診断する。尹暢賢(ユン・チャンヒョン)ソウル市立大経営学部教授は「中国に政策が出れば対策が出るという意味の『上有政策 下有対策』という言葉があるが、今の状況がそれだ」とし「高額資産家と企業が今の政権になって政策的、政治的、経済的環境が悪化したと判断し、『グローバル』『多角化』で脱出口を用意している」と話した。

イ・インシル韓国経済学会長(西江大経済大学院教授)は「経常黒字が20年間続き、資本が十分に蓄積され、国内では適当な投資先が消えた」とし「国内に投資しても収益率は高くないため外に出ていくしかない」と診断した。

尹暢賢教授は対策として「Uターンが必要だ。政治的には不偏不党の政策、経済的には反企業の政策をやめる姿が見えるだけでも、出て行く人や企業を減らせるはず」と述べた。



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