101歳のキム・ハンスさんは4月4日にソウル中央地裁を訪れ、三菱重工業に対する損害賠償訴状を提出した。当時キムさんはメディアとのインタビューで、「日本が反省するならば今後は親しい友人の国にならないだろうか」と話した。
キムさんの期待と違い最近の状況は悪化している。日本のホワイト国からの韓国排除通知で本格化した韓日対立の中でキムさんは13日に大田(テジョン)で開かれた強制徴用労働者像除幕式に再び姿を見せた。キムさんは現場を訪れた記者らに「日本を注視しており、人間は正義の前にひざまずき、常に真の心を持たなければならない」という言葉を残した。
◇全員合議体判決後の追加訴訟…集計されただけで28件
キムさんのように2019年に日本強制動員戦犯企業を相手に損害賠償訴訟を起こした事例は少なくない。ソウル中央地裁によると今年に入り7月までに同地裁に出された強制動員関連損害賠償訴訟は19件だ。
光州(クァンジュ)でも4月29日に9社を相手取り、3人の被害者と51人の家族が9件の訴訟を起こした。三菱、日本製鉄、日本コークス、JX金属(日本鉱業)などが対象だ。訴状を出して4カ月が過ぎる前に1人が死去した。
光州・全羅南道地域で強制動員被害者の訴訟を支援する団体のアン・ヨンスク共同代表は、「訴訟代理支援をする団体がソウルと光州にあり、この2つの裁判所で追加提訴されたものを全国的指標と理解できる」と説明した。
やはり被害者を代理する「民主社会のための弁護士会」の関係者は、「外国企業を対象にするため被害者の居住地の管轄裁判所よりは大法院(最高裁)があるソウルに事例を集めて訴訟を起こす」と説明した。
◇勝訴の希望で追加提訴したが…「消滅時効」が心配
追加訴訟が増えたのは昨年10月30日に大法院全員合議体判決の影響だ。全員合議体が強制動員被害者の破棄控訴審を原告勝訴の趣旨で確定すると、勝訴への希望を見た被害者が1人2人と集まったのだ。
だがこの訴訟で必ず勝訴できると壮語することはできない。消滅時効のためだ。消滅時効は民法で権利を行使できる人が権利を行使せず一定期間が経過すればその権利が消滅したものと認める制度だ。
被害者を代理する法務法人ヘマルのキム・セウン弁護士は「昨年10月30日の大法院判断があった当時に裁判所で事件が進行中だった当事者はほとんど同じ趣旨の原告勝訴判決を受けると予想するが、その後に提起された訴訟に関しては判断が変わる可能性がある」と話した。
実際に2013年~2016年に訴訟を起こし始め、1審で原告勝訴の判決を受けた多くの損害賠償訴訟は短くて1年、長ければ5年近く、これといった進展がなく2審でとどまっていた。だが昨年の全員合議体判決後に相次いで2審で控訴棄却判決が続いた。2018年11月末から2019年6月までの7カ月間に集計されただけで10件程度の控訴棄却判決が下され、現在は大法院で審理中だ。
◇6カ月・3年・無期限…「裁判所の判断なく断定できない」
キム弁護士は全員合議体判決後に提起された訴訟当事者の消滅時効と関連し、「6カ月・3年・制限なし」という3つの見方があると説明した。
6カ月の見方は全員合議体判決日から6カ月以内に損害賠償訴訟を起こさなければならず、そうでなければ訴訟を起こすことができる権利が消滅するという見解だ。被害者が追加で訴訟を起こすことができる期間が最も短いと考える見方だ。この見解は梁承泰(ヤン・スンテ)大法院長時代の2013年12月に設けられた大法院判例に基づく。
当時大法院は国家暴力など過去史事件で国に損害賠償を請求しようとする時に、特別な事由がないならば再審無罪判決確定日から6カ月以内に訴訟を起こさなければならないと判決した。こうした判例に照らし実際に光州・全羅南道地域で全員合議体判決後に訴訟当事者を募集する際に消滅時効が6カ月に制限される可能性があるため今年4月までに訴訟を起こさなければならないという共感が形成されたりもした。これに対し追加訴訟の大部分は3~4月に訴状が出されたが、4件の訴訟は5月以降に提起された。もしこの見解が受け入れられるならば、この4件の訴訟と4月以降から追加で提起されている訴訟は損害賠償時効を認められない可能性もある。
残る2つの見解は、通常の民法上の損害賠償請求時効である3年を適用し全員合議体判決から3年以内まで消滅時効を認めるべきという見方と、事案の特殊性などを考慮して消滅時効自体を適用すべきではないという見方だ。キム弁護士は「まだこの部分に対する裁判所の判断がなく新たに提起される訴訟は被告対象企業自体が異なる場合も多く、どのような見解が正しいと断定するのは難しい」と話した。
キムさんの期待と違い最近の状況は悪化している。日本のホワイト国からの韓国排除通知で本格化した韓日対立の中でキムさんは13日に大田(テジョン)で開かれた強制徴用労働者像除幕式に再び姿を見せた。キムさんは現場を訪れた記者らに「日本を注視しており、人間は正義の前にひざまずき、常に真の心を持たなければならない」という言葉を残した。
◇全員合議体判決後の追加訴訟…集計されただけで28件
キムさんのように2019年に日本強制動員戦犯企業を相手に損害賠償訴訟を起こした事例は少なくない。ソウル中央地裁によると今年に入り7月までに同地裁に出された強制動員関連損害賠償訴訟は19件だ。
光州(クァンジュ)でも4月29日に9社を相手取り、3人の被害者と51人の家族が9件の訴訟を起こした。三菱、日本製鉄、日本コークス、JX金属(日本鉱業)などが対象だ。訴状を出して4カ月が過ぎる前に1人が死去した。
光州・全羅南道地域で強制動員被害者の訴訟を支援する団体のアン・ヨンスク共同代表は、「訴訟代理支援をする団体がソウルと光州にあり、この2つの裁判所で追加提訴されたものを全国的指標と理解できる」と説明した。
やはり被害者を代理する「民主社会のための弁護士会」の関係者は、「外国企業を対象にするため被害者の居住地の管轄裁判所よりは大法院(最高裁)があるソウルに事例を集めて訴訟を起こす」と説明した。
◇勝訴の希望で追加提訴したが…「消滅時効」が心配
追加訴訟が増えたのは昨年10月30日に大法院全員合議体判決の影響だ。全員合議体が強制動員被害者の破棄控訴審を原告勝訴の趣旨で確定すると、勝訴への希望を見た被害者が1人2人と集まったのだ。
だがこの訴訟で必ず勝訴できると壮語することはできない。消滅時効のためだ。消滅時効は民法で権利を行使できる人が権利を行使せず一定期間が経過すればその権利が消滅したものと認める制度だ。
被害者を代理する法務法人ヘマルのキム・セウン弁護士は「昨年10月30日の大法院判断があった当時に裁判所で事件が進行中だった当事者はほとんど同じ趣旨の原告勝訴判決を受けると予想するが、その後に提起された訴訟に関しては判断が変わる可能性がある」と話した。
実際に2013年~2016年に訴訟を起こし始め、1審で原告勝訴の判決を受けた多くの損害賠償訴訟は短くて1年、長ければ5年近く、これといった進展がなく2審でとどまっていた。だが昨年の全員合議体判決後に相次いで2審で控訴棄却判決が続いた。2018年11月末から2019年6月までの7カ月間に集計されただけで10件程度の控訴棄却判決が下され、現在は大法院で審理中だ。
◇6カ月・3年・無期限…「裁判所の判断なく断定できない」
キム弁護士は全員合議体判決後に提起された訴訟当事者の消滅時効と関連し、「6カ月・3年・制限なし」という3つの見方があると説明した。
6カ月の見方は全員合議体判決日から6カ月以内に損害賠償訴訟を起こさなければならず、そうでなければ訴訟を起こすことができる権利が消滅するという見解だ。被害者が追加で訴訟を起こすことができる期間が最も短いと考える見方だ。この見解は梁承泰(ヤン・スンテ)大法院長時代の2013年12月に設けられた大法院判例に基づく。
当時大法院は国家暴力など過去史事件で国に損害賠償を請求しようとする時に、特別な事由がないならば再審無罪判決確定日から6カ月以内に訴訟を起こさなければならないと判決した。こうした判例に照らし実際に光州・全羅南道地域で全員合議体判決後に訴訟当事者を募集する際に消滅時効が6カ月に制限される可能性があるため今年4月までに訴訟を起こさなければならないという共感が形成されたりもした。これに対し追加訴訟の大部分は3~4月に訴状が出されたが、4件の訴訟は5月以降に提起された。もしこの見解が受け入れられるならば、この4件の訴訟と4月以降から追加で提起されている訴訟は損害賠償時効を認められない可能性もある。
残る2つの見解は、通常の民法上の損害賠償請求時効である3年を適用し全員合議体判決から3年以内まで消滅時効を認めるべきという見方と、事案の特殊性などを考慮して消滅時効自体を適用すべきではないという見方だ。キム弁護士は「まだこの部分に対する裁判所の判断がなく新たに提起される訴訟は被告対象企業自体が異なる場合も多く、どのような見解が正しいと断定するのは難しい」と話した。
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