「強制徴用事件の検討報告書をそのまま伝達することが裁判官の裁判上の独立を侵害しうると考えましたか」「そのような影響があると思われ躊躇(ちゅうちょ)されました」--。
先週水曜日(10日)、ソウル中央地方法院417号法廷。梁承泰(ヤン・スンテ)元大法院長らに対する裁判が開かれた。1人目の証人として朴贊益(パク・チャニク)弁護士が登場した。朴贊益は2012~2014年、法院行政処審議官として強制徴用裁判遅延シナリオなどを検討した。
この日の裁判で検察は朴贊益に尋ねた。「2013年12月当時、林鍾憲(イム・ジョンホン)企画調整室長が、検討文書を最高裁判事裁判研究官に伝達するよう指示した時、証人はなぜ『送ってもいいのか』とためらったのですか」。朴贊益は「望ましくないと考えたから」と答えた。彼は悩んだ末に文書から裁判進行速度を検討した部分を削除して申し送ったという。
良心のアリバイを作りたかったのか。朴贊益は指示に従いながらも引き続き消極的抵抗の跡を残した。5月23日、林鍾憲裁判に出席したチョ・イニョン元企画調整審議官も違わなかった。
チョ・イニョンは2016年1月、「慰安婦損害賠償判決関連報告」を作成した。文書は「日本軍慰安婦動員は反人権的犯罪」という点を強調したが、「個人請求権は消滅したと判示することが相当」と続けた。このような不一致は「被告人(林鍾憲)と他の個人的見解を入れたい」ためだった。彼は涙声で話した。
「この事件はまだ裁判が進行中だが、このようなもののせいで裁判に負担や邪魔になるようなことはあってほしくありません。慰安婦被害者の方々がちゃんとした謝罪と賠償を本当に受けられたら…」。
日本政府が半導体・ディスプレーの核心部品に対する輸出規制カードを切った。目前の懸念のためだろうか。強制徴用事件が5年以上(2013年~2018年)大法院で止められていたことが、突然、高い評価を受けている。「外交的・政策的方法で問題解決する時間を稼いだ側面がなくはない」とのコメントが部長判事のブログに掲載され、「朴槿恵(パク・クネ)政府が今のような事態を懸念して判決を遅らせたようだ」という言葉が日刊紙に掲載された。
このように再評価を受ける「判決遅延」は、朴贊益ないしチョ・インヨンのような判事の良心を強制動員する違憲的形態でつぎはいだものだ。それだけだろうか。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は秘書室長公館の長官会議に現職最高裁判事である法院行政処長を座らせておいて「判決再検討」「裁判遅延」を注文した。民事訴訟である強制徴用損害賠償裁判に、突如として国家機関(外交部)が「手続き的満足感」を与える「参考人意見書提出」制度が導入された。
実際に制度が作られると、外交部は世論の顔色だけを伺いながら意見書提出を先送りした。意見書に「貴院(※大法院)の要請により」の部分を入れるかどうかをめぐって法院行政処ともめたりもした。当時、尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が主宰する会議に参加した外交部課長の業務日誌にはこのような長官の言葉が書かれていた。「大法院が我々のもの(※意見書)を受けて判決が出てこない」。
行政処判事が良心のアリバイを作る間、朴槿恵(パク・クネ)政府当局者は責任のアリバイを作っていた。日本政府と談判を行うことも、市民を説得することもなかった。その5年間で原告9人のうち8人が亡くなった。大法院で同じ結論が出てきた日、94歳の生存者イ・チュンシクさんは涙を流した。「私一人が残って心痛くて悲しい」。これがあなた方が言う「判決遅延」の唯一の成果だ。
感情的民族主義を主張しようというのではない。2012年の大法院初判決と現政権の外交政策に対する討論は必要だ。ただし、判決遅延を何かすごい政治功績にもなっているように包装して美化するようなことだけはしないでもらいたい。裁判に長い時間がかかったことだけでも恥ずかしくてきまり悪いのに。
我々が享受する「国益」にも水準があると考える。国益に経済的利益だけでなく、人権と民主、裁判独立、憲法精神のような価値が入ってこそ真の国だ。そのような国だけが、他の国から心からにじみ出るような尊重を受けることができる。
クォン・ソクチョン/論説委員
先週水曜日(10日)、ソウル中央地方法院417号法廷。梁承泰(ヤン・スンテ)元大法院長らに対する裁判が開かれた。1人目の証人として朴贊益(パク・チャニク)弁護士が登場した。朴贊益は2012~2014年、法院行政処審議官として強制徴用裁判遅延シナリオなどを検討した。
この日の裁判で検察は朴贊益に尋ねた。「2013年12月当時、林鍾憲(イム・ジョンホン)企画調整室長が、検討文書を最高裁判事裁判研究官に伝達するよう指示した時、証人はなぜ『送ってもいいのか』とためらったのですか」。朴贊益は「望ましくないと考えたから」と答えた。彼は悩んだ末に文書から裁判進行速度を検討した部分を削除して申し送ったという。
良心のアリバイを作りたかったのか。朴贊益は指示に従いながらも引き続き消極的抵抗の跡を残した。5月23日、林鍾憲裁判に出席したチョ・イニョン元企画調整審議官も違わなかった。
チョ・イニョンは2016年1月、「慰安婦損害賠償判決関連報告」を作成した。文書は「日本軍慰安婦動員は反人権的犯罪」という点を強調したが、「個人請求権は消滅したと判示することが相当」と続けた。このような不一致は「被告人(林鍾憲)と他の個人的見解を入れたい」ためだった。彼は涙声で話した。
「この事件はまだ裁判が進行中だが、このようなもののせいで裁判に負担や邪魔になるようなことはあってほしくありません。慰安婦被害者の方々がちゃんとした謝罪と賠償を本当に受けられたら…」。
日本政府が半導体・ディスプレーの核心部品に対する輸出規制カードを切った。目前の懸念のためだろうか。強制徴用事件が5年以上(2013年~2018年)大法院で止められていたことが、突然、高い評価を受けている。「外交的・政策的方法で問題解決する時間を稼いだ側面がなくはない」とのコメントが部長判事のブログに掲載され、「朴槿恵(パク・クネ)政府が今のような事態を懸念して判決を遅らせたようだ」という言葉が日刊紙に掲載された。
このように再評価を受ける「判決遅延」は、朴贊益ないしチョ・インヨンのような判事の良心を強制動員する違憲的形態でつぎはいだものだ。それだけだろうか。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は秘書室長公館の長官会議に現職最高裁判事である法院行政処長を座らせておいて「判決再検討」「裁判遅延」を注文した。民事訴訟である強制徴用損害賠償裁判に、突如として国家機関(外交部)が「手続き的満足感」を与える「参考人意見書提出」制度が導入された。
実際に制度が作られると、外交部は世論の顔色だけを伺いながら意見書提出を先送りした。意見書に「貴院(※大法院)の要請により」の部分を入れるかどうかをめぐって法院行政処ともめたりもした。当時、尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が主宰する会議に参加した外交部課長の業務日誌にはこのような長官の言葉が書かれていた。「大法院が我々のもの(※意見書)を受けて判決が出てこない」。
行政処判事が良心のアリバイを作る間、朴槿恵(パク・クネ)政府当局者は責任のアリバイを作っていた。日本政府と談判を行うことも、市民を説得することもなかった。その5年間で原告9人のうち8人が亡くなった。大法院で同じ結論が出てきた日、94歳の生存者イ・チュンシクさんは涙を流した。「私一人が残って心痛くて悲しい」。これがあなた方が言う「判決遅延」の唯一の成果だ。
感情的民族主義を主張しようというのではない。2012年の大法院初判決と現政権の外交政策に対する討論は必要だ。ただし、判決遅延を何かすごい政治功績にもなっているように包装して美化するようなことだけはしないでもらいたい。裁判に長い時間がかかったことだけでも恥ずかしくてきまり悪いのに。
我々が享受する「国益」にも水準があると考える。国益に経済的利益だけでなく、人権と民主、裁判独立、憲法精神のような価値が入ってこそ真の国だ。そのような国だけが、他の国から心からにじみ出るような尊重を受けることができる。
クォン・ソクチョン/論説委員
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