「大法院から決定が下されたが、仕方ない。原告のかわいそうな人々が苦しい暮らしの中から資金をどうにか集めて裁判して勝ったのに、どうしたら政府が出ることができようか。これが韓国の青瓦台(チョンワデ、大統領府)と政府の考えだ。差し押さえられた日本企業の資産が現金化されて大騷ぎとなり、日本が報復措置をしても仕方ない。むしろこのような大騒ぎを経てこそ、解決の糸口が見えることもあるだろう…」
今年2月中旬、韓日外交で中核的な役割を果たしていたある政府高官が打ち明けた話だ。当時は大法院徴用判決が日本企業資産の差し押さえにつながり、韓日間の葛藤がさらに高まっていた時だった。だが、この高官が打ち明けた韓国政府の認識は「日本が対抗措置をするといってもこれと言って何かあるだろうか」という水準だった。
高官や現場指揮者の認識は同じだった。韓日外交の危機を感知した各種危険信号にもかかわらず、韓国外交当局の対応からは危機感を感じることができなかった。「政府が対日外交を放置している」というメディアの指摘に「絶対に対日外交を放置していない」「メディアが日本政府の脅迫にもてあそばれている」という神経質な反応を出したりもした。東京の日本消息筋は「その甘い認識が、結局、半導体・スマートフォンの核心部品に対する輸出規制という請求書をまねいた」と話した。
日本は違った。刀を磨いでいた。「韓国は日本を甘く見て中国だけを恐れている。だが、今回は違う。すべてのカードを並べて熱心に準備している。日本政府は殺気立っている」。今年3月、韓日外交で重要な役割を果たしている日本側要人が伝えた当時の政府内の雰囲気だ。日本は敏捷に動いた。「韓国に対する輸出規制最終案は5月中にほぼ固まっていた」という読売の報道通りだ。
ある消息筋は「安倍内閣の核心人物として知られている経済産業省官僚出身の今井尚哉氏の作品というのが日本政界では定説」と伝えた。中央部署から首相官邸に派遣された6人の秘書官のうち首席の今井氏は、第1次安倍内閣から安倍首相を補佐した核心中の核心だ。官邸に伝えられるすべての政策、安倍首相が下すべきすべての政務的判断に彼が関与しているという評価を受けている。
今井氏と彼の出身部署である経済産業省は緻密なシナリオを整えた。韓国にとって最大の急所である半導体とスマートフォンを精密打撃地点に選んだ。名分として掲げたのは「安全保障」だった。安全保障上、必要なら例外的に貿易規制を許容しているWTO(世界貿易機関)の協定上の隙間に食い込んだ。安保友好国に貿易審査に関連した特恵を提供する「ホワイト国」から韓国を除外する措置も巧妙だった。日本が前面に出した「安全保障」という名分にも合い、今後、韓国企業の対応によって輸出規制対象を無尽蔵に拡大することも減らすこともできる。駆け引きとアメとムチを手に、韓国を意のままに圧迫できる絶妙の一枚を見つけ出した。
大阪G20サミットで韓日首脳会談を日本側が無にしたのは戦術的一貫性を考慮した次元とみられる。輸出規制の発表がすでに予定された状況で、安倍首相は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と額を突き合わせることはできない状況だった。だが、日本外務省は最後まで「立ってしばらく対話をするか、握手を長くするか、少しの間座って話をするか、決まっていない」と煙に巻き、結果的に韓国を右往左往させた。
日本は韓国政府といつも顔を合わせる外務省ではなく、日本国内で「無条件忠誠集団」として通じる経済産業省を通じて韓国の急所を突いた。外務省から流れる融和的ジェスチャーに安心していた韓国にとっては、このため思わぬ鋭い小刀となった。
輸出規制の発表以降、韓国政府と特に区別される日本政府の特徴は、徹底して「ワンボイス」というものだ。首相官邸の官房長官と副長官、主務部署である経済産業相、さらに私席で会う中間責任者まで一貫している。「安全保障を目的に輸出管理を適切に行うための措置」「韓国とは信頼関係が損なわれ、輸出管理が難しくなった」という話をオウムのように毎日同じように繰り返している。
「日本の輸出規制は徴用判決に対する経済報復」〔成允模(ソン・ユンモ)産業資源部長官〕、「日本輸出規制が徴用のためというのはただのメディアの解釈であり、日本政府の公式立場ではない」(青瓦台関係者)など、それぞれバラバラの声を出している韓国政府とは対照的だ。
両国消息筋の伝言を総合すると、韓国政府が先月19日に発表した徴用問題関連対策が結果的に両国関係に「毒」になった。韓国政府はこれまで、1965年請求権協定に基づいた日本政府の外交協議と仲裁委設置に一切応じなかった。
そうこうするうちに仲裁委設置に関連した回答期間(6月18日)を1日過ぎた19日、「韓日両国企業が自発的な拠出金で財源を作り、被害者に慰謝料を支払う」案を提示した。大法院判決から8カ月で初めて出した案だったが、実はその数日前、日本が「韓国の国際法違反状況(大法院判決)を是正しているものではない」としてすでに拒絶していた案だった。日本首相官邸は激昂した。
当初、安倍首相は5月には完成していた韓国輸出規制案を早く実施するよう催促する立場だった。
このような首相官邸の強硬雰囲気の中で「G20サミットまで、もう少しだけ待ってみよう」と、最後まで安倍首相を説得した人物が「最後に残った穏健派」として通じている菅義偉官房長官だったという。だが、韓国政府が徴用対策案を出した後は菅官房長官さえもこれ以上安倍首相を止めることはできなかった。菅官房長官は周囲に「崩壊する堰をこれ以上止めておくことはできなかった」と漏らしていたという。
今年2月中旬、韓日外交で中核的な役割を果たしていたある政府高官が打ち明けた話だ。当時は大法院徴用判決が日本企業資産の差し押さえにつながり、韓日間の葛藤がさらに高まっていた時だった。だが、この高官が打ち明けた韓国政府の認識は「日本が対抗措置をするといってもこれと言って何かあるだろうか」という水準だった。
高官や現場指揮者の認識は同じだった。韓日外交の危機を感知した各種危険信号にもかかわらず、韓国外交当局の対応からは危機感を感じることができなかった。「政府が対日外交を放置している」というメディアの指摘に「絶対に対日外交を放置していない」「メディアが日本政府の脅迫にもてあそばれている」という神経質な反応を出したりもした。東京の日本消息筋は「その甘い認識が、結局、半導体・スマートフォンの核心部品に対する輸出規制という請求書をまねいた」と話した。
日本は違った。刀を磨いでいた。「韓国は日本を甘く見て中国だけを恐れている。だが、今回は違う。すべてのカードを並べて熱心に準備している。日本政府は殺気立っている」。今年3月、韓日外交で重要な役割を果たしている日本側要人が伝えた当時の政府内の雰囲気だ。日本は敏捷に動いた。「韓国に対する輸出規制最終案は5月中にほぼ固まっていた」という読売の報道通りだ。
ある消息筋は「安倍内閣の核心人物として知られている経済産業省官僚出身の今井尚哉氏の作品というのが日本政界では定説」と伝えた。中央部署から首相官邸に派遣された6人の秘書官のうち首席の今井氏は、第1次安倍内閣から安倍首相を補佐した核心中の核心だ。官邸に伝えられるすべての政策、安倍首相が下すべきすべての政務的判断に彼が関与しているという評価を受けている。
今井氏と彼の出身部署である経済産業省は緻密なシナリオを整えた。韓国にとって最大の急所である半導体とスマートフォンを精密打撃地点に選んだ。名分として掲げたのは「安全保障」だった。安全保障上、必要なら例外的に貿易規制を許容しているWTO(世界貿易機関)の協定上の隙間に食い込んだ。安保友好国に貿易審査に関連した特恵を提供する「ホワイト国」から韓国を除外する措置も巧妙だった。日本が前面に出した「安全保障」という名分にも合い、今後、韓国企業の対応によって輸出規制対象を無尽蔵に拡大することも減らすこともできる。駆け引きとアメとムチを手に、韓国を意のままに圧迫できる絶妙の一枚を見つけ出した。
大阪G20サミットで韓日首脳会談を日本側が無にしたのは戦術的一貫性を考慮した次元とみられる。輸出規制の発表がすでに予定された状況で、安倍首相は文在寅(ムン・ジェイン)大統領と額を突き合わせることはできない状況だった。だが、日本外務省は最後まで「立ってしばらく対話をするか、握手を長くするか、少しの間座って話をするか、決まっていない」と煙に巻き、結果的に韓国を右往左往させた。
日本は韓国政府といつも顔を合わせる外務省ではなく、日本国内で「無条件忠誠集団」として通じる経済産業省を通じて韓国の急所を突いた。外務省から流れる融和的ジェスチャーに安心していた韓国にとっては、このため思わぬ鋭い小刀となった。
輸出規制の発表以降、韓国政府と特に区別される日本政府の特徴は、徹底して「ワンボイス」というものだ。首相官邸の官房長官と副長官、主務部署である経済産業相、さらに私席で会う中間責任者まで一貫している。「安全保障を目的に輸出管理を適切に行うための措置」「韓国とは信頼関係が損なわれ、輸出管理が難しくなった」という話をオウムのように毎日同じように繰り返している。
「日本の輸出規制は徴用判決に対する経済報復」〔成允模(ソン・ユンモ)産業資源部長官〕、「日本輸出規制が徴用のためというのはただのメディアの解釈であり、日本政府の公式立場ではない」(青瓦台関係者)など、それぞれバラバラの声を出している韓国政府とは対照的だ。
両国消息筋の伝言を総合すると、韓国政府が先月19日に発表した徴用問題関連対策が結果的に両国関係に「毒」になった。韓国政府はこれまで、1965年請求権協定に基づいた日本政府の外交協議と仲裁委設置に一切応じなかった。
そうこうするうちに仲裁委設置に関連した回答期間(6月18日)を1日過ぎた19日、「韓日両国企業が自発的な拠出金で財源を作り、被害者に慰謝料を支払う」案を提示した。大法院判決から8カ月で初めて出した案だったが、実はその数日前、日本が「韓国の国際法違反状況(大法院判決)を是正しているものではない」としてすでに拒絶していた案だった。日本首相官邸は激昂した。
当初、安倍首相は5月には完成していた韓国輸出規制案を早く実施するよう催促する立場だった。
このような首相官邸の強硬雰囲気の中で「G20サミットまで、もう少しだけ待ってみよう」と、最後まで安倍首相を説得した人物が「最後に残った穏健派」として通じている菅義偉官房長官だったという。だが、韓国政府が徴用対策案を出した後は菅官房長官さえもこれ以上安倍首相を止めることはできなかった。菅官房長官は周囲に「崩壊する堰をこれ以上止めておくことはできなかった」と漏らしていたという。
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