何日か前に慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)で会ったP社のシン代表がした話が生々しい。「たったいま人生の30年をともに歩んできた子どものような工場を売りました。妻と子どもに面目なく血の涙が出ます。私はやめましたが同じ悩みを持つ仲間の企業家がこれ以上倒れてはなりません。南北問題ですか? いまは景気から回復させなければなりません」。
いまでは言葉を切り出すこと自体が負担になるほど景気が厳しい。1-3月期の成長率が前四半期比マイナス0.4%とマイナス局面に落ちた。国際公式統計方式である前四半期比年率で換算するとマイナス1.6%で、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国で最も低い。対外不安のせいにしたが米中摩擦の当事国はむしろサプライズ成長した。
国民が日常生活で感じる体感景気はさらに厳しい。「良くないというより倒れそうな状況」と訴える国民が日ごとに増えている。中下位階層の体感景気指標である「庶民経済苦痛指数(OPMI:生活物価上昇率+常勤雇用者失業率+伝統市場空室率+借家負担率+住宅担保貸出利率+税負担率)」は通貨危機の時より高い。
かつて「東方の灯」「アジアの4頭の竜」と呼ばれるほど世界で注目された韓国経済がなぜこのように深い奈落に転落したのだろうか。国の財政を過去最大規模で放出し、金利まで低いのに景気が良くないなら、いつになく税金を多く納めている国民としては政策決定者と執行者にこうした質問を当然するほかない。
社会が変わった。従来の理論と規範がこれ以上通じない「ニューノーマル」時代だ。未来予測まで難しいとして「ニューアブノーマル」という用語まで出ている。最も大きな変化は経済領域がひとつの運動場のように平坦になった点だ。地球上の社会で世界を主導できない国が生きていく道は世界の流れに合流することだ。
韓国のように輸出指向的であり圧縮成長した国であるほどそうしなければならない。こうした国の最大の敵は「ガラパゴスの罠」に陥ることだ。ガラパゴスの罠とは中南米エクアドル領ガラパゴス諸島がアメリカ大陸から1000キロメートル以上離れていることになぞらえ世界の流れから隔離される現象をいう。
現政権になり世界の流れとかけ離れた事例は意外に多い。世界は「小さな政府」を指向しているが、韓国は政府の役割がますます拡大している。マクロ経済目標は「成長」に対し「所得主導成長(大多数の国民は分配と認識している)」、製造業政策は「リショアリング」に対し「オフショアリング」、企業政策は「友好的」に対し「非友好的」だ。
規制政策は「フリーゾーン」に対し「ユニークゾーン」、商法改正は「経営権保護」に対し「経営権露出」、税制政策は「税金減免」に対し「税金引き上げ」、労働政策は「労使均等」に対し「労組優遇」と対照的だ。明示的なことだけでなく一部政策決定と執行権者の意識と価値が依然としてこの罠に陥っているのはさらに大きな問題だ。
1-3月期の経済成績表が最悪を記録したのに政府の景気の見方は楽観的だった。大統領をはじめとして経済副首相、韓国銀行総裁、さらに与党「共に民主党」の国会議員まで4-6月期以降に景気が改善するだろうと声をそろえた。米中間摩擦が妥結するという前提があったという裏話も伝えられる。
米中間摩擦は長期化する態勢だ。すると政策当局の景気の見方も「悲観論」に急旋回し景気回復に慌ただしい。いまになって「経済政策はタイミング」という笑えない理由を挙げて国会に追加補正予算を強要している。あらゆる手段を動員して財政を早期に執行するという方針も発表した。数日前まで考慮しないとしていた金利引き下げの可能性も示唆した。
経済変数は統制の有無により可能ならば「統制変数」、不可能ならば「行動変数」に分かれる。景気低迷要因が主に後者に起因するならば今後展開する状況別にシナリオ予測を出さなければならない。韓国のように対外環境依存度が高い国は最悪の状況を前提として景気を見て国民に備えさせることが政策当局の望ましい姿勢だ。
国の外で韓国の景気低迷要因に挙げられているガラパゴスの罠は統制変数、内部的に見ている米中間摩擦は行動変数だ。ガラパゴスの罠はいまからでも世界の流れに合流すれば抜け出せるものだが変化がない。国民がもどかしく思うのがこの点だ。昌原の企業家が流した涙が日照りでひび割れている韓国経済に恵みの雨にならなくてはならないのではないだろうか。
いまでは言葉を切り出すこと自体が負担になるほど景気が厳しい。1-3月期の成長率が前四半期比マイナス0.4%とマイナス局面に落ちた。国際公式統計方式である前四半期比年率で換算するとマイナス1.6%で、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国で最も低い。対外不安のせいにしたが米中摩擦の当事国はむしろサプライズ成長した。
国民が日常生活で感じる体感景気はさらに厳しい。「良くないというより倒れそうな状況」と訴える国民が日ごとに増えている。中下位階層の体感景気指標である「庶民経済苦痛指数(OPMI:生活物価上昇率+常勤雇用者失業率+伝統市場空室率+借家負担率+住宅担保貸出利率+税負担率)」は通貨危機の時より高い。
かつて「東方の灯」「アジアの4頭の竜」と呼ばれるほど世界で注目された韓国経済がなぜこのように深い奈落に転落したのだろうか。国の財政を過去最大規模で放出し、金利まで低いのに景気が良くないなら、いつになく税金を多く納めている国民としては政策決定者と執行者にこうした質問を当然するほかない。
社会が変わった。従来の理論と規範がこれ以上通じない「ニューノーマル」時代だ。未来予測まで難しいとして「ニューアブノーマル」という用語まで出ている。最も大きな変化は経済領域がひとつの運動場のように平坦になった点だ。地球上の社会で世界を主導できない国が生きていく道は世界の流れに合流することだ。
韓国のように輸出指向的であり圧縮成長した国であるほどそうしなければならない。こうした国の最大の敵は「ガラパゴスの罠」に陥ることだ。ガラパゴスの罠とは中南米エクアドル領ガラパゴス諸島がアメリカ大陸から1000キロメートル以上離れていることになぞらえ世界の流れから隔離される現象をいう。
現政権になり世界の流れとかけ離れた事例は意外に多い。世界は「小さな政府」を指向しているが、韓国は政府の役割がますます拡大している。マクロ経済目標は「成長」に対し「所得主導成長(大多数の国民は分配と認識している)」、製造業政策は「リショアリング」に対し「オフショアリング」、企業政策は「友好的」に対し「非友好的」だ。
規制政策は「フリーゾーン」に対し「ユニークゾーン」、商法改正は「経営権保護」に対し「経営権露出」、税制政策は「税金減免」に対し「税金引き上げ」、労働政策は「労使均等」に対し「労組優遇」と対照的だ。明示的なことだけでなく一部政策決定と執行権者の意識と価値が依然としてこの罠に陥っているのはさらに大きな問題だ。
1-3月期の経済成績表が最悪を記録したのに政府の景気の見方は楽観的だった。大統領をはじめとして経済副首相、韓国銀行総裁、さらに与党「共に民主党」の国会議員まで4-6月期以降に景気が改善するだろうと声をそろえた。米中間摩擦が妥結するという前提があったという裏話も伝えられる。
米中間摩擦は長期化する態勢だ。すると政策当局の景気の見方も「悲観論」に急旋回し景気回復に慌ただしい。いまになって「経済政策はタイミング」という笑えない理由を挙げて国会に追加補正予算を強要している。あらゆる手段を動員して財政を早期に執行するという方針も発表した。数日前まで考慮しないとしていた金利引き下げの可能性も示唆した。
経済変数は統制の有無により可能ならば「統制変数」、不可能ならば「行動変数」に分かれる。景気低迷要因が主に後者に起因するならば今後展開する状況別にシナリオ予測を出さなければならない。韓国のように対外環境依存度が高い国は最悪の状況を前提として景気を見て国民に備えさせることが政策当局の望ましい姿勢だ。
国の外で韓国の景気低迷要因に挙げられているガラパゴスの罠は統制変数、内部的に見ている米中間摩擦は行動変数だ。ガラパゴスの罠はいまからでも世界の流れに合流すれば抜け出せるものだが変化がない。国民がもどかしく思うのがこの点だ。昌原の企業家が流した涙が日照りでひび割れている韓国経済に恵みの雨にならなくてはならないのではないだろうか。
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