重症アトピー皮膚炎を患うパク・ジョウンさん(29)は今月10日、国会前でリレー1人デモを行った。グローバル製薬会社サノフィ・アベンティスコリアが昨年9月に出した重症アトピー新薬「デュピクセント」に健康保険を適用してほしいと要求するためだ。この日、パクさんは「病院費の心配なくすという大統領の約束、アトピー患者には守られていません。目の前にある治療剤をお金のせいで使えないこの気持ち、借金をして薬代を出す気持ちをご存知ですか」と書かれたプラカードを持って国会正門前に立った。これまで一度もデモというものをしたことがないパクさんがプラカードを持って外に出たのはそれだけ切迫した事情があるからだ。パクさんは「以前は睡眠を一日1時間も取れないほど辛かった。デュピクセントを使いながら普通の人と同じように過ごせているが、高価な薬代のせいでいつまで治療を続けられるか分からない」と打ち明けた。パクさんはフリーランサーの仕事をしながら薬代をなんとか工面している状態だ。
デュピクセントは2週間に1回注射すれば、かゆみなどアトピー症状が画期的に改善して副作用もほとんどない。問題は薬の価格だ。健康保険が適用されない注射剤なので、1カ月200万ウォン(約18万円)ほどかかる。
デモに参加したチェ・ジョンヒョンさん(23)は3年前に両目の白内障手術を受けた。10年以上アトピー薬を服用したところ現れた副作用だ。チェさんは「手足のシワというシワから粘液が流れ、一日中横になって過ごしていた。地獄のような歳月だった」と回想した。チェさんの日常は新薬を使うことで変わったという。チェさんは「9カ月間で軽自動車1台買えるお金(1800万ウォン)を使った。4~6週に一度注射を打ちながらなんとかふんばっている。すぐに薬をやめることもできないため負担がとても大きい」と言ってため息をついた。この日デモに出てきた患者は「日本では健保が適用されて1カ月25万ウォンなら使える薬を、私たちは200万ウォン出さなければならない」と叫んだ。
政府は「デュピクセントの健保適用について評価している」と明らかにした。だが、約束がない。新薬の健保適用を操り上げるための「危険分担制」という制度がある。効果は優れているが高価な新薬に健保を適用し、製薬会社が収益の一部を健保にまわす制度だ。だが、患者状態がいくら深刻でも、アトピーのように軽症に分類された疾患には適用されない。
盆唐(プンダン)ソウル大病院皮膚科のナ・ジョンイム教授は「先日、激しいアトピーを患う9歳の子どもが家で極端的な選択をして応急室で運ばれてきたことがある。かゆみのために睡眠も十分取れず苦しんだ末に起きたことだ。アトピーを軽く見ているが、重症患者は就職や結婚などの日常生活も放棄するくらいの苦痛を受けている」と説明した。ナ教授は「重症患者だけでも制限的な健保適用が必要だ」と指摘した。
政府は健康保険保障性強化政策〔文在寅(ムン・ジェイン)ケア〕に2022年までに30兆ウォンを投じる計画だ。患者本人が負担する「非給与診療」をなくし、健保保障率を現在の62%から70%に引き上げるという目標を定めた。これに伴い、健保の適用が効かない「選択診療費」の廃止のほか、大型病院2・3人部屋入院費、磁気共鳴画像装置(MRI)検査などに健保が適用された。恩恵を受けられる幅が広くなったが、これに反対する国民はいないはずだ。だが、限定された財政を投じる時、何が優先順位なのかはしっかりと見極めなければならない。極端選択を考えるほどの病気を抱える患者の涙からまず拭いてやるのが、社会保険の存在理由でないだろうか。
イ・エステル/福祉行政チーム記者
デュピクセントは2週間に1回注射すれば、かゆみなどアトピー症状が画期的に改善して副作用もほとんどない。問題は薬の価格だ。健康保険が適用されない注射剤なので、1カ月200万ウォン(約18万円)ほどかかる。
デモに参加したチェ・ジョンヒョンさん(23)は3年前に両目の白内障手術を受けた。10年以上アトピー薬を服用したところ現れた副作用だ。チェさんは「手足のシワというシワから粘液が流れ、一日中横になって過ごしていた。地獄のような歳月だった」と回想した。チェさんの日常は新薬を使うことで変わったという。チェさんは「9カ月間で軽自動車1台買えるお金(1800万ウォン)を使った。4~6週に一度注射を打ちながらなんとかふんばっている。すぐに薬をやめることもできないため負担がとても大きい」と言ってため息をついた。この日デモに出てきた患者は「日本では健保が適用されて1カ月25万ウォンなら使える薬を、私たちは200万ウォン出さなければならない」と叫んだ。
政府は「デュピクセントの健保適用について評価している」と明らかにした。だが、約束がない。新薬の健保適用を操り上げるための「危険分担制」という制度がある。効果は優れているが高価な新薬に健保を適用し、製薬会社が収益の一部を健保にまわす制度だ。だが、患者状態がいくら深刻でも、アトピーのように軽症に分類された疾患には適用されない。
盆唐(プンダン)ソウル大病院皮膚科のナ・ジョンイム教授は「先日、激しいアトピーを患う9歳の子どもが家で極端的な選択をして応急室で運ばれてきたことがある。かゆみのために睡眠も十分取れず苦しんだ末に起きたことだ。アトピーを軽く見ているが、重症患者は就職や結婚などの日常生活も放棄するくらいの苦痛を受けている」と説明した。ナ教授は「重症患者だけでも制限的な健保適用が必要だ」と指摘した。
政府は健康保険保障性強化政策〔文在寅(ムン・ジェイン)ケア〕に2022年までに30兆ウォンを投じる計画だ。患者本人が負担する「非給与診療」をなくし、健保保障率を現在の62%から70%に引き上げるという目標を定めた。これに伴い、健保の適用が効かない「選択診療費」の廃止のほか、大型病院2・3人部屋入院費、磁気共鳴画像装置(MRI)検査などに健保が適用された。恩恵を受けられる幅が広くなったが、これに反対する国民はいないはずだ。だが、限定された財政を投じる時、何が優先順位なのかはしっかりと見極めなければならない。極端選択を考えるほどの病気を抱える患者の涙からまず拭いてやるのが、社会保険の存在理由でないだろうか。
イ・エステル/福祉行政チーム記者
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