JTBCドラマ『SKYキャッスル』出演後、第2の全盛期を迎えたヨム・ジョンア(写真左)とキム・ソヒョン。若い女性の圧倒的支持を受け、アイドル並みの人気を得ている。(写真=中央フォト)
先月グラミー授賞式でも姉妹愛は話題だった。白人男性中心の保守的なグラミー賞では異例の「姉妹」がオープニングを飾った。14年ぶりの黒人女性の司会を務めたアリシア・キーズがミシェル・オバマ元大統領夫人、歌手ジェニファー・ロペス、レディー・ガガ、女優のジェイダ・ピンケット・スミスと舞台を飾った。キーズは「女性が見せてくれた光と愛のメッセージ、姉妹愛に深く感謝申し上げる」と言い拍手を受けた。
韓国文化界では「姉妹ファンダム」の浮上が目立つ。一般的に男性アイドルの熱狂ファンに分類されていた若い女性が同じ年頃の同性スターに熱狂するだけでなく40~50代の中壮年の「お姉さん」「叔母さん」スターにまで熱狂している。アイドル・ファンのように彼女達の動線を追いかけ、インターネットに動画や写真を撮ってアップロードし「ファン活動」をする。人気投票に参加し組織的な活動も行う。「お兄さん」ではなく「お姉さん」と叫ぶ「お姉さん部隊」の出現だ。
最近ケーブルテレビJTBCドラマ『SKYキャッスル』で第2の全盛期を迎えた40代女優ヨム・ジョンアとキム・ソヒョンはボーナス休暇で空港に行き意外な光景に出会った。若い女性ファンの歓声はアイドル顔負けだった。アイドルの空港出国の場面でも出てくる「大砲カメラ」(熱狂ファンが使う専門家用のカメラ)まで登場した。ヨム・ジョンアも「アイドルにしか起こらないことだと思った。とりわけ若い女性ファンが増えた。彼女達は子育て世代のファンと違って現場まで応援しに来て積極的に好きだと表現してくれる」と話した。キム・ソヒョン、オ・ナラが出演したJTBCバラエティ番組『知ってるお兄さん』も番組最高視聴率を記録し話題になった。カラオケ・マニアだというキム・ソヒョンが即興ダンスを踊り歌を歌う場面が人気動画になりSNSを埋め尽くした。キム・ソヒョンが2年前にアクション映画『The Witch 魔女』でカンヌ映画祭に行った時、鍛えられた腹筋を見せた写真まで遅れて話題になった。
この分野の代表選手は断然、昨年の映画『ハー・ストーリー』の女優キム・ヒエだ。1998年に日本で一部勝訴判決を受けた唯一の慰安婦裁判である「関釜裁判」を扱った実話を基にした映画だ。早期公開終了の運命に瀕した映画を女性観客が応援上映会の形で救い出した。映画への支持が主人公のキム・ヒエへの支持に移っていった。40~50代の主婦の間ではかなり前から「ワナビー・スター」だったが、20~30代の若い女性ファンダムは異例だ。キム・ヒエも「若い女性ファンの熱気を初めて感じた」と話した。その他ドラマ『ミスティ~愛の真実~』のキム・ナムジュ、『シークレット・マザー』のソン・ユナも登場するイベント会場ごとに女性ファンの歓声を連れて歩く。女性が主導するドラマや映画に出演し、主体的で堂々としたキャラクター、年齢を感じさせない洗練された容姿が共通点だ。単なる個人に対する好感以上に素敵な女性像を応援する意味が強い。『ハー・ストーリー』を見てキム・ヒエと60代の女優イェ・スジョンの熱烈なファンになったという女子大生は「韓国では女性スターが年を取るのは罪悪だ。40代の男性俳優が20代の女優とロマンス・パートナーとして出るのは当然で、その逆は未だに大きく取り上げられる。タブーを破って素敵に年を取る女優を支持して応援する」と話した。
姉妹ファンダムの出現はK-POPのガールズグループの地図にまで影響を及ぼしている。ガールズグループは男性ファン、ボーイズグループは女性ファンをターゲットとするのが普通だが、積極的に女性ファンをターゲットにしたガールズグループが出てきている。配信楽曲の購入など文化消費市場の主要消費者は男性ではなく断然女性であるため、女性ファンをターゲットにする方が収益においても利益だ。堂々としたガール・クラッシュが完全に成功の必須要素として確立された。JYPの新しいガールズグループ「ITZY(イッチ)」、CUBEエンターテインメントの新人「(G)I-DLE(アイドゥル)」、ソロ転身に成功したチョンハなどが代表的だ。韓国ガールズグループの典型である可愛くて清純な少女、そうでなければ露骨なセックス・アピールの二分法から抜け出した。デビュー直後に旋風を巻き起こしている「ITZY」は「あんたの基準に私を合わせようとしないで。私は今、自分が好きな自分なの…きれいなだけで魅力のない子達と私は違う」(『DALLA DALLA』)のような「自己宣言」で女性ファンを魅了した。
ガールズグループが男性ファンより女性ファン指向で展開されるのには女性アイドルの人権問題も隠れている。男性ファンが多いガールズグループはたびたび悪質なファンによるセクハラ、過度な性愛化が起こる。中小企画会社であるほど、新人であるほど、対応する術がない。「女性アイドル=極限職業」と言われる理由だ。最近ガールズグループのLOVELYZ(ラブリーズ)はインターネットの生配信中に一部ファンのセクハラ発言のため1人メンバーが暴言を口にし「態度論争」が起こった。GFRIEND(ジーフレンド)のファンサイン会では盗撮用眼鏡をかけた男性ファンが摘発され、宇宙少女のファンサイン会では男性ファンの飲酒が問題になった。ある芸能企画会社の関係者は「悪質なファンは性別を問わないが、女性ファンが男性アイドルにセクハラ行為をするケースは珍しい。その上、女性が財布を積極的に開くため長期的活動のためには女性ファンダムの確保を図るのは当然だ」と話した。
ヤン・ソンヒ/論説委員
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