韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、今月23日に飲酒運転で摘発されたキム・ジョンチョン青瓦台(チョンワデ、大統領府)儀典秘書官を免職処分にし、ブエノスアイレスで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に参加するため、27日から5泊8日の日程でチェコ・アルゼンチン・ニュージーランドなど3カ国を歴訪する。
文大統領が、就任後3回の南北首脳会談をはじめ活発な外交活動を行っているため、青瓦台儀典秘書官室の役割はいつになく重大だ。儀典秘書官室は大統領が参加する各種行事を企画・総括し、歴訪など外交行事の場合、外交部儀典長室と協力して対応している。ところが最近、外交行事で大小の失敗が明るみなり、大統領儀典が俎上に載せられている。
9月18日の平壌(ピョンヤン)共同宣言文の署名が代表的だ。文大統領は当時、キム・ジョンチョン秘書官から国産ネームペンを渡されて宣言文に署名した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は万年筆で署名した。その後、文大統領が首脳間の署名に高級筆記具ではないネームペンを使ったことは「国格(国家の品格)」に合わないとの批判が提起された。
儀典専門家は署名を万年筆でするかネームペンでするかよりも、両首脳が同じような筆記具で署名することによって、合意文の統一性を際立たせるほうが重要だと指摘する。ドイツの筆記具ブランド「モンブラン」が有名になったのも、1990年東西ドイツ首相が歴史的な統一条約書に署名する時にそろって同じモンブランの万年筆を使ってからだ。
前職儀典長は「重要な文書に署名する時は両者が同じ形態のペンを使って同じような太さと色で署名がすっきりと整って見えるようにする」とし「平壌会談の場面を見ながら残念な気持ちになった」と語った。2007年10・4宣言(南北平和宣言)当時、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領もモンブランの万年筆で署名した。当時、儀典秘書官室は国産万年筆企業を探し回ったが、結局モンブラン万年筆で「2007南北首脳会談」を署名することで満足しなければならなかったという。
文大統領が自ら不満を表した「儀典事故」もあった。先月19日、ベルギー・ブリュッセルで閉幕したアジア欧州会合(ASEM)で文大統領が各国首脳との団体記念写真撮影に参加することができなかった。青瓦台は当時、記者団に「写真撮影に参加するよう連絡を受けて会場に向かう途中で起きたこと」としながら「ASEM儀典チームの間違い」と説明した。
多国間会議の儀典慣例を見ると、青瓦台の説明は半分は正しく半分は間違っているといえる。文大統領は当初予定された記念撮影が1時間以上遅れたことから、9階に留まってその後に行われる演説の準備をしていた。主催側からの連絡を受けて撮影場所に移動したが、エレベーターが適時に到着せず、時間に間に合わなかったという説明だ。当時現場にいた青瓦台関係者も「1台のエレベーターは3~4人乗りなので非常に狭く、移動に制限があった」と説明した。
しかし、儀典専門家は多国間会議時の最も重要な事項がエレベーターの確保だと指摘する。前職儀典秘書官室関係者は「エレベーターが小さかったのなら、それに合わせて備えるべきだった」とし「多国間会議場はもちろん、ニューヨーク国連総会期間の時、約10カ国首脳が同時に宿泊するウォルドルフ=アストリアのような高級ホテルでも、各国儀典チームと警護チームが総力を挙げるのがエレベーター確保」と指摘した。もちろん、ASEM側が各国に配置する国別連絡官(リエゾンオフィサー、Liasion officer)がスムーズに対応することができなかった間違いという指摘もある。
写真1枚で外交欠礼問題に発展する場合もある。文大統領が今月15日、シンガポールでマイク・ペンス米副大統領との会談を控えている時だった。米ワシントン・ポスト(WP)の外交・安保担当コラムニストのジョシュ・ロギン氏が「文大統領がペンス副大統領の到着まで15分間待っていた。文大統領が完全に眠っている」とツイートしながら、文大統領が口を固く閉ざしたまま目を閉じている様子をとらえた写真を掲載したのだ。
当時現場関係者によると、この日ペンス副大統領の直前日程〔米国-東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議〕がずれ込み、2人の面談時間も30分延期された。文大統領は予定時間の36分後である午前11時6分ごろに会場に先に到着し、11時19分にペンス副大統領が到着するまで約13分間待っていた。参謀陣と談笑を交わしていた文大統領が目を閉じていた時間は約10秒に過ぎなかった。だが、こともあろうにその場面が台湾の三立テレビで報道されて国格論争を呼んだりもした。
過去の政府で儀典業務経験が豊富なある人物は「大統領が別の場所で待機して入場するようにすれば良かった」としながら「大統領が先に入場して他国の高官要人を待たなくてはならない場合には、カメラの位置や動線などに対しても細心の注意を払わなくてはならない」と話した。
儀典専門家は「儀典に対する国民の関心は昔も今も全く変わらない」としつつも「今はスマートフォンやSNSが普遍化したため、画面で見える大統領の動線にもっと注意を払わなくてはならない」と話した。別の前職儀典長は「儀典だけでなく、警護や取材支援を含めた公報パートまで3分野が緊密に協力しなければならない」と助言した。
◆外交官ではない運動圏出身の儀典秘書官を起用
ネームペン署名問題やASEM記念写真撮影不手際問題はキム・ジョンチョン前秘書官時代に発生した出来事だ。キム氏は秘書室長室先任補佐官として在職し、今年6月に趙漢起(チョ・ハンギ)儀典秘書官が第1付属秘書官に異動したことで空席になった席に昇進任命された。キム氏は漢陽(ハンヤン)大学運動圏出身で任鍾皙(イム・ジョンソク)秘書室長の最側近だが、外交儀典の経験は全くなかった。
9月に青瓦台迎賓館で開かれた「2018包容国家戦略会議」当時、文大統領が予定された動線を抜けてケーブルが絡んだ狭い机の間をまたいで通り、キム氏が舌を出しながら困惑した表情が話題になった。政界は、現青瓦台が外交儀典の重要性を軽視して非専門家を儀典秘書官室に配置したのが儀典問題が起きた一要因だと指摘している。
文大統領が、就任後3回の南北首脳会談をはじめ活発な外交活動を行っているため、青瓦台儀典秘書官室の役割はいつになく重大だ。儀典秘書官室は大統領が参加する各種行事を企画・総括し、歴訪など外交行事の場合、外交部儀典長室と協力して対応している。ところが最近、外交行事で大小の失敗が明るみなり、大統領儀典が俎上に載せられている。
9月18日の平壌(ピョンヤン)共同宣言文の署名が代表的だ。文大統領は当時、キム・ジョンチョン秘書官から国産ネームペンを渡されて宣言文に署名した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は万年筆で署名した。その後、文大統領が首脳間の署名に高級筆記具ではないネームペンを使ったことは「国格(国家の品格)」に合わないとの批判が提起された。
儀典専門家は署名を万年筆でするかネームペンでするかよりも、両首脳が同じような筆記具で署名することによって、合意文の統一性を際立たせるほうが重要だと指摘する。ドイツの筆記具ブランド「モンブラン」が有名になったのも、1990年東西ドイツ首相が歴史的な統一条約書に署名する時にそろって同じモンブランの万年筆を使ってからだ。
前職儀典長は「重要な文書に署名する時は両者が同じ形態のペンを使って同じような太さと色で署名がすっきりと整って見えるようにする」とし「平壌会談の場面を見ながら残念な気持ちになった」と語った。2007年10・4宣言(南北平和宣言)当時、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領もモンブランの万年筆で署名した。当時、儀典秘書官室は国産万年筆企業を探し回ったが、結局モンブラン万年筆で「2007南北首脳会談」を署名することで満足しなければならなかったという。
文大統領が自ら不満を表した「儀典事故」もあった。先月19日、ベルギー・ブリュッセルで閉幕したアジア欧州会合(ASEM)で文大統領が各国首脳との団体記念写真撮影に参加することができなかった。青瓦台は当時、記者団に「写真撮影に参加するよう連絡を受けて会場に向かう途中で起きたこと」としながら「ASEM儀典チームの間違い」と説明した。
多国間会議の儀典慣例を見ると、青瓦台の説明は半分は正しく半分は間違っているといえる。文大統領は当初予定された記念撮影が1時間以上遅れたことから、9階に留まってその後に行われる演説の準備をしていた。主催側からの連絡を受けて撮影場所に移動したが、エレベーターが適時に到着せず、時間に間に合わなかったという説明だ。当時現場にいた青瓦台関係者も「1台のエレベーターは3~4人乗りなので非常に狭く、移動に制限があった」と説明した。
しかし、儀典専門家は多国間会議時の最も重要な事項がエレベーターの確保だと指摘する。前職儀典秘書官室関係者は「エレベーターが小さかったのなら、それに合わせて備えるべきだった」とし「多国間会議場はもちろん、ニューヨーク国連総会期間の時、約10カ国首脳が同時に宿泊するウォルドルフ=アストリアのような高級ホテルでも、各国儀典チームと警護チームが総力を挙げるのがエレベーター確保」と指摘した。もちろん、ASEM側が各国に配置する国別連絡官(リエゾンオフィサー、Liasion officer)がスムーズに対応することができなかった間違いという指摘もある。
写真1枚で外交欠礼問題に発展する場合もある。文大統領が今月15日、シンガポールでマイク・ペンス米副大統領との会談を控えている時だった。米ワシントン・ポスト(WP)の外交・安保担当コラムニストのジョシュ・ロギン氏が「文大統領がペンス副大統領の到着まで15分間待っていた。文大統領が完全に眠っている」とツイートしながら、文大統領が口を固く閉ざしたまま目を閉じている様子をとらえた写真を掲載したのだ。
当時現場関係者によると、この日ペンス副大統領の直前日程〔米国-東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議〕がずれ込み、2人の面談時間も30分延期された。文大統領は予定時間の36分後である午前11時6分ごろに会場に先に到着し、11時19分にペンス副大統領が到着するまで約13分間待っていた。参謀陣と談笑を交わしていた文大統領が目を閉じていた時間は約10秒に過ぎなかった。だが、こともあろうにその場面が台湾の三立テレビで報道されて国格論争を呼んだりもした。
過去の政府で儀典業務経験が豊富なある人物は「大統領が別の場所で待機して入場するようにすれば良かった」としながら「大統領が先に入場して他国の高官要人を待たなくてはならない場合には、カメラの位置や動線などに対しても細心の注意を払わなくてはならない」と話した。
儀典専門家は「儀典に対する国民の関心は昔も今も全く変わらない」としつつも「今はスマートフォンやSNSが普遍化したため、画面で見える大統領の動線にもっと注意を払わなくてはならない」と話した。別の前職儀典長は「儀典だけでなく、警護や取材支援を含めた公報パートまで3分野が緊密に協力しなければならない」と助言した。
◆外交官ではない運動圏出身の儀典秘書官を起用
ネームペン署名問題やASEM記念写真撮影不手際問題はキム・ジョンチョン前秘書官時代に発生した出来事だ。キム氏は秘書室長室先任補佐官として在職し、今年6月に趙漢起(チョ・ハンギ)儀典秘書官が第1付属秘書官に異動したことで空席になった席に昇進任命された。キム氏は漢陽(ハンヤン)大学運動圏出身で任鍾皙(イム・ジョンソク)秘書室長の最側近だが、外交儀典の経験は全くなかった。
9月に青瓦台迎賓館で開かれた「2018包容国家戦略会議」当時、文大統領が予定された動線を抜けてケーブルが絡んだ狭い机の間をまたいで通り、キム氏が舌を出しながら困惑した表情が話題になった。政界は、現青瓦台が外交儀典の重要性を軽視して非専門家を儀典秘書官室に配置したのが儀典問題が起きた一要因だと指摘している。
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