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【噴水台】燃料電池車怪談と文大統領

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
先日フランスを訪問した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の燃料電池車試乗は歴史的な場面になるかもしれない。国内では怪談が広まって爆発物扱いされた燃料電池車が、海外では韓国の先端技術を誇る劇的なイベントを演出したからだ。韓国には怪談が多い。「怪談共和国」といっても過言でない。BSE(牛海綿状脳症)、韓国哨戒艦「天安」、セウォル号など多くの事件に怪談が付きまとう。過ぎてみると、事実でなかったり誇張や煽動である場合が多かった。

燃料電池車もそのような怪談に苦しんだ。まず燃料電池車は燃料として水素タンクを搭載し、爆発の可能性が高いという怪談から始まる。水素爆弾は原子爆弾より威力がはるかに大きい。そのような凄まじい水素爆弾と燃料電池車が同じく水素を使うため怪談が出てきたのかもしれない。しかし水素爆弾と燃料電池車の原理は全く違う。水素爆弾はウランがあってこそ核融合を起こす。それだけ高度な技術力が必要であり、製造技術を保有する国は世界で5カ国にすぎない。

一方、燃料電池車は全く異なる原理で作動する。水素が空気中の酸素と接する過程で電気を起こし、さらに粒子状物質まで浄化する。爆発の危険はない。にもかかわらず安全のために水素タンクは特殊な素材で包まれている。外部の衝撃を受けてもサッカーボールの空気が抜けるのと似た状況になるよう設計している。


怪談が乱舞し、韓国では水素ステーションの普及ペースがかなり遅い。米国・日本・欧州には100カ所以上あるが、韓国は21カ所にすぎない。しかも韓国では現在、都心での水素ステーション設置は不法だ。文大統領がパリ市内の真ん中で水素充填を経験したのとは対照的だ。

最も深刻な怪談は燃料電池車を生産するほど財閥だけが利益を得るという話だ。この怪談は一部の国会議員が広めた。攻撃の対象は現代自動車だった。現代車は文大統領がパリで明らかにしたようにフランスに2022年まで5000台の燃料電池車を供給する。科学技術先進国のフランスが選択したほどなら現代車の技術力は言うまでもない。こうした状況になると、国内で燃料電池車の怪談はすべて消えた。一昨日からソウルでは燃料電池バスの運行も始まった。

なら現代車だけが得をするのだろうか。そうではない。燃料電池車を生産するには300の協力会社が部品を供給しなければいけない。これら会社は「水素社会」に対応して燃料電池車部品設備に投資し、枯死する危機を迎えていた。文大統領の現場セールス外交が協力会社を救った。怪談はいらない。

キム・ドンホ/論説委員



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