列車の通り道である「鉄道」は大きく3種類に分かれる。まず、世界の鉄道の60%を占める標準軌がある。2本の線路の間幅が1435ミリで、韓国の鉄道も標準軌だ。これより幅が狭ければ「狭軌」、広ければ「広軌」と呼ぶ。韓国では1995年末に運行を中断した水仁(ソイン)線が幅762ミリの狭軌だった。広軌はロシアのシベリア横断鉄道(TSR、Trans Siberian Railway)が代表的だ。
標準軌の幅がなぜ1435ミリになったのかは定かではない。ただ、馬2頭が引っ張る馬車の幅、すなわち馬車の軌間に由来しているという説が最も有力だ。最初にこの軌間を標準化したのは英国だ。その後、欧州や米国などに鉄道が広がるにつれてほとんどの国が標準軌を採用するようになったという。
だが、山谷間や険しい場所などを開拓するときは狭軌を建設した。建設費用が少なく済むうえ、曲線区間など幅が狭く有用だったからだ。このため、鉱山で採掘した鉱石や現地産物を輸送するために盛んに利用された。ただ、列車のサイズが小さく、運送能力が落ちるという限界はある。
狭軌がこのような現実的な必要のためにできた反面、広軌の誕生はおそらく国際的力学関係のためだ。広軌で有名なロシアは欧州と陸続きなので標準軌を導入するほうが妥当そうにみえる。しかし18世紀後半~19世紀初期、ナポレオンの侵略によって大きな苦難を強いられたロシアとしては、フランスを常に警戒しないわけにはいかなかった。そのため鉄道を敷くとき、標準軌を採用しているフランスとすぐに連結されないように線路幅を広くした。直結した場合、フランスが鉄道を利用して大量の兵力と武器を積み込んで侵略してくる可能性を念頭に置いたのだ。もちろん標準軌のドイツもけん制してのことだ。スペインが広軌を採択したのも、フランスを意識してのことだという。
このように広軌の誕生は戦争と葛藤が主要な原因だった。韓国政府は今、北朝鮮、ロシア、中国、モンゴル、日本、米国が参加する「東アジア鉄道共同体」を推進している。これらの国のうち、ロシアとモンゴルが広軌を使っている。これらの国々をすべてまとめてまるで一つの国のように自由に列車が行き来して、物流が流れる欧州連合(EU)のようにしようという構想だ。構想通りになれば、韓国にとっては新たな飛躍のチャンスを握ることもできる。しかし、このように鉄道を一つでつなぐには、何より相互信頼が根底になければならない。互いに虚心坦壊に心を開き、理解し、信頼を築いていかなくてはならない。それでこそ鉄道共同体は成功しよう。広軌がなぜ誕生することになったのか改めて考えることによって、その理由は明らかになる。
カン・カプセン/交通専門記者
標準軌の幅がなぜ1435ミリになったのかは定かではない。ただ、馬2頭が引っ張る馬車の幅、すなわち馬車の軌間に由来しているという説が最も有力だ。最初にこの軌間を標準化したのは英国だ。その後、欧州や米国などに鉄道が広がるにつれてほとんどの国が標準軌を採用するようになったという。
だが、山谷間や険しい場所などを開拓するときは狭軌を建設した。建設費用が少なく済むうえ、曲線区間など幅が狭く有用だったからだ。このため、鉱山で採掘した鉱石や現地産物を輸送するために盛んに利用された。ただ、列車のサイズが小さく、運送能力が落ちるという限界はある。
狭軌がこのような現実的な必要のためにできた反面、広軌の誕生はおそらく国際的力学関係のためだ。広軌で有名なロシアは欧州と陸続きなので標準軌を導入するほうが妥当そうにみえる。しかし18世紀後半~19世紀初期、ナポレオンの侵略によって大きな苦難を強いられたロシアとしては、フランスを常に警戒しないわけにはいかなかった。そのため鉄道を敷くとき、標準軌を採用しているフランスとすぐに連結されないように線路幅を広くした。直結した場合、フランスが鉄道を利用して大量の兵力と武器を積み込んで侵略してくる可能性を念頭に置いたのだ。もちろん標準軌のドイツもけん制してのことだ。スペインが広軌を採択したのも、フランスを意識してのことだという。
このように広軌の誕生は戦争と葛藤が主要な原因だった。韓国政府は今、北朝鮮、ロシア、中国、モンゴル、日本、米国が参加する「東アジア鉄道共同体」を推進している。これらの国のうち、ロシアとモンゴルが広軌を使っている。これらの国々をすべてまとめてまるで一つの国のように自由に列車が行き来して、物流が流れる欧州連合(EU)のようにしようという構想だ。構想通りになれば、韓国にとっては新たな飛躍のチャンスを握ることもできる。しかし、このように鉄道を一つでつなぐには、何より相互信頼が根底になければならない。互いに虚心坦壊に心を開き、理解し、信頼を築いていかなくてはならない。それでこそ鉄道共同体は成功しよう。広軌がなぜ誕生することになったのか改めて考えることによって、その理由は明らかになる。
カン・カプセン/交通専門記者
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