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【コラム】サムスン副会長の平壌

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
平壌(ピョンヤン)は祭りだ。南北首脳会談の色感は鮮明だ。歓迎の人波の花と韓服は赤く広がった。出発の風景は見慣れたものだ。2000年、2007年の首脳会談と似ていた。しかし金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は新鮮と破格を加えた。順安(スンアン)空港の礼砲、南北首脳のカーパレードは初めてだ。

平壌の集団行為芸術は進化した。北朝鮮のイメージは「シネマ国家」だ。「5・1競技場」の集団体操はその集中だ。劇場式住民動員体制は北朝鮮統治術の奇妙さだ。その中の劇的装置が稼働した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する儀典と歓迎に投入された。それで「わが民族同士」の象徴物があふれる。南北首脳の白頭山(ペクドゥサン)登頂はそのピークになるだろう。

「平壌宣言文」は圧縮的だ。文大統領は断言した。「戦争のない韓半島(朝鮮半島)が始まりました」。宣言文に金委員長のソウル訪問が盛り込まれている。その予告は感性の消費を誘発する。若い領導者は語彙を厳選したようだ。「新しい希望で飛躍する民族の呼吸があり…」。金委員長の発言のうち最高の修辞は率直さだ。彼が百花園迎賓館で述べた言葉だ。


「発展した国々と比較すると、我々の宿舎というものはみすぼらしい」。みすぼらしいという単語の選択は奇襲効果を持つ。それは父の金正日(キム・ジョンイル)委員長とは区別される。金正日は大胆なユーモア感覚を見せた。しかし金正日の語彙には人民共和国のみすぼらしさはなかった。

平壌の場面は同時多発的だ。ぎこちなく、あきれる場面もある。北朝鮮の李龍男(イ・ヨンナム)内閣副首相と韓国財界人の集団面談だ。その場に財閥の総帥がいた。李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長、崔泰源(チェ・テウォン)SK会長、具光謨(ク・グァンモ)LG会長だ。17人の財界人は一言ずつ述べた。

李在鎔副会長は視覚的な縁を探すようだった。「平壌駅の向かい側に新しく建てられたビルに『科学中心人材中心』と書かれていた…。サムスンの基本経営哲学が技術中心人材中心だ」と話した。これに対し李龍男は「李在鎔先生はいろいろな側面でとても有名な人物だが」と述べた。あちこちで笑い声が起こった。李龍男は「平和と繁栄、統一のためにも有名な人物になられることを望む」と話した。

その言葉の中の「いろいろな側面」とは何か。それは李在鎔の裁判への言及だろうか。昨年のサムスン電子の売上高は239兆ウォン(約24兆円)だ。北朝鮮の国内総生産(GDP)は30兆ウォン水準だ。サムスン電子が8倍多い。李龍男はそのような貧困経済の実務指揮者だ。彼の権力序列は高くない。その彼が世界的な財界人を招集したようだ。話しぶりは示唆的だった。その場面はインドのモディ首相を思い出させる。モディは李在鎔を単独会談で礼遇する。ベトナムの権力序列1位(グエン・フー・チョン党総書長)も李在鎔を訪ねた(2014年10月)。彼ら指導者の誠意は目を引いた。サムスンの投資を要請した。その後、感謝の意を表示した。

その対比の瞬間、「李在鎔の平壌」は憂鬱に伝播する。それは「李在鎔のニューデリー、ハノイ」とは違う状況だ。彼の平壌行きはどのように実現したのか。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は「わが政府の要請」と言った。北側関係者は「我々が必ず来てほしいと伝えた」と語った。米国は財界トップを対北朝鮮制裁の目で眺める。「李在鎔の平壌」は三重の圧力だ。

集団面談の場はさらに情けない。呉泳食(オ・ヨンシク)コレイル(韓国鉄道公社)社長の番でだ。李龍男は「南北関係で鉄道協力が最も重要で大きい比重を占めている。1年に何度か来なければいけないだろう」と述べた。呉泳食は南北事業に率先している。

しかし李龍男の語彙は南側に傲慢な態度として投影される。北朝鮮の鉄道は古い。速度は平均20-35キロという。その遅さはマラソンランナー李鳳柱(イ・ボンジュ、最高時速20キロ)と比較すると実感できる。北朝鮮列車の速力は日帝強占期より後退した。その当時の列車は釜山(プサン)-京城(ソウル)-新義州(シンウィジュ)を経て満州国奉天(現在の中国瀋陽)に行った。その路線は時速50-70キロだった。

文大統領は「民族経済の均衡的発展」意志を表示した。優先的事業は南北鉄道の連結だ。民族は感性的な熱情だ。経済は冷静だ。協力の開始は鉄道現況の誠実な説明だ。北朝鮮当局者は自尊心を捨てなければいけない。彼らは金委員長の率直さと比較される。「平昌(ピョンチャン)オリンピック(五輪)の高速列車はみんなが良かったと話していた。…北に来れば不便かもしれない」(4・27板門店会談)。

経済開発は難題だ。核武装よりも大変だ。中国は実事求是で接近した。ベトナムのドイモイは民生の誠実な公開で拡張した。李龍男の言動は多くの韓国人の気分を害した。それによって対北朝鮮への一方的な支援という疑心が強まった。北朝鮮の「李在鎔の平壌」構成は粗雑だった。

パク・ボギュン/コラムニスト/論説委員



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