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<アジア大会>兵役免除の孫興民、11億円+アルファも守った

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

孫興民(ソン・フンミン)が1日午後(現地時間)、アジア競技大会サッカーの表彰式で金メダルをかんでいる。

1日、ジャカルタ・パレンバン・アジア競技大会サッカー決勝戦が行われたインドネシアのパカンサリスタジアム。競技終了を知らせる審判のホイッスルが鳴ると、ベンチにいた孫興民(ソン・フンミン、26、トッテナム)はグラウンドに跳び出し、チームメートと抱き合いながら喜んだ。国際大会でいつも涙を流していたため「泣き虫」と呼ばれている孫興民も、この日だけはすべての負担から開放されて明るい笑顔を見せた。しかし金メダルを首にかけた後にはまた涙を流した。今回は喜びの涙であり、歓喜の涙だった。

日本との決勝戦で延長戦の末2-1で勝利し、兵役が免除されることになった孫興民は「金メダルは重くて硬かったが『おいしい』という感じ。今日は生涯忘れられない日になるだろう」と語った。

18歳だった2010年12月から太極マークを付けた孫興民にとって、これまでの国際大会は「涙の残酷史」だった。2011年アジアカップ準決勝では日本にPK戦で敗れ、2014年ブラジルワールドカップ(W杯)ではグループリーグ敗退で涙を流した。2015年アジアカップでは準優勝に終わり、2016年リオデジャネイロオリンピック(五輪)では準々決勝で脱落した。6月のロシアW杯でグループリーグ敗退となった後にも涙を流した。


ジャカルタ・パレンバン・アジア競技大会は孫興民にとって将来がかかる重要な大会だった。1992年生まれの孫興民は今大会で金メダルを獲得できなければ、来年、兵役の義務を履行しなければならなかった。ドイツに進出するため高校1年で中退した孫興民は4級補充役召集の対象者だ。金メダルを獲得できなければ21カ月間にわたり社会服務要員として軍生活をしなければならない状況だった。

国際サッカー連盟(FIFA)傘下の国際スポーツ研究センター(CIES)が先月発表した資料によると、孫興民の移籍市場価値は9980万ユーロ(約128億円)と、昨年(4480万ユーロ)の倍以上に上がった。7月にトッテナムと2023年まで再契約した孫興民の週給は8万5000ポンド(約1220万円)だ。服務期間(21カ月)に換算すれば110億ウォン(約11億円)を超える。BBCやテレグラフなど英メディアが今大会の韓国代表チームの成績に関心を注いだのもこのためだった。英ガーディアンは「韓国が金メダルを獲得できなければ孫興民はヘアスタイルと自由を失い、軍服務をしなければならない」と伝えた。国内の一部のサッカーファンは「孫興民の代わりに私が軍隊に行く」と青瓦台(チョンワデ、大統領府)の「国民請願」ページに書き込んだ。

しかしアジア競技大会の金メダルの夢を実現し、孫興民は兵役義務から自由になった。英国からもお祝いのメッセージが伝えられた。トッテナムは決勝戦が終わると、公式ソーシャルメディアに「おめでとうソニー(Congratulations Sonny)」というコメントを載せた。BBCは「今回の金メダルで孫興民が兵役免除を受けた。孫興民をめぐるトッテナムの不確実性も終わった」と伝えた。孫興民は「(兵役問題などについて)自分のことのように心配してくださってうれしかったし、申しわけなかった。なんと表現すればよいのか難しい」と語った。

孫興民は今大会で主将を務めた。太極マークを付けて主将を務めたのは今回が初めてだった。孫興民は「献身するリーダー」としてチームを引っ張った。特に後輩選手の精神力を高めるために苦言も呈した。先月17日にマレーシアとの第2戦で1-2で敗れた後、孫興民は「我々がロシアW杯でドイツに勝ったことが歴史に残るように、韓国がマレーシアに敗れたことも生涯キャリアから消えない。こうしたミスを繰り返してはいけない」と話した。先月29日のベトナム代表との準決勝を控えては「どのチームが相手でも最善を尽くして勝たなければいけない」と強調した。日本との決勝戦を控えては「気を引き締めてやろう」とし、決勝戦の延長戦を控えては「絶対にあきらめてはいけない。自分たちがここまでどうやって来たのか考えよう」と後輩を励ました。

温かい言葉で後輩に力を与えたりもした。イランとの決勝トーナメント1回戦でDFキム・ジンヤ(仁川)がひざの痛みを訴えると、「守備を手伝うから自分のポジションに立っていればいい」と伝えた後、守備に集中した。金メダルが決まると「金メダルに満足せず、これからは韓国サッカーのために犠牲になろう」という「最後の小言」も忘れなかった。

孫興民は6月にロシアW杯が終わった後、2カ月間は韓国と米国・英国を経てインドネシアまで約4万7000キロを移動した。孫興民は特に5月末から1日の決勝戦までの97日間に21試合に出場した。4.6日に1試合というハードな日程が続いた。超人的な体力と意志でタイトな日程を消化したのだ。そしてその挑戦はハッピーエンドで終わった。兵役問題を解決した孫興民の価値は急騰すると期待される。孫興民は「私はまだ若い、今後、韓国サッカーにさらに寄与していきたい」と語った。



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