明治維新150周年である今年のNHK大河ドラマ『西郷どん』のポスター。明治維新の主役のうち朝鮮侵略を極力主張した「日本極右派のアイコン」西郷隆盛を勇気と実行力があり愛のあふれる指導者として描写する。
薩摩の西郷隆盛は坂本龍馬の斡旋で長州の木戸孝允(1833~1877)と会い薩長同盟を成し遂げた。だがこの2人の朝鮮に対する考えはそれぞれ違った。西郷隆盛は朝鮮を侵略しようという征韓論を掲げた。朝鮮に使節に送り国王の前で無礼な行動をすれば処刑されるのでこれを理由に朝鮮を侵略しろとそそのかすほどだった。木戸孝允は征韓論を主張した日本の極右思想家吉田松陰(1830~1859年)の弟子だったが、これには極力反対した。もう1人の維新三傑の1人で薩長同盟締結の現場にいた薩摩出身の大久保利通(1830~1878年)は性急な対外膨張より富国強兵を優先した。
さらに問題なのは今年のNHK大河ドラマ『西郷どん』の主人公が西郷隆盛という事実だ。それも西郷隆盛を「勇気と実行力で時代を開き、愛のあふれる指導者」として描写している。「西郷どん」は西郷隆盛の愛称だ。公信力があるNHKが明治維新三傑のうちよりによって極右派のシンボルで征韓論を主張した西郷隆盛を明治維新150周年を迎える今年の大河ドラマの主人公に選んだことは隣国を不快にさせるのに十分だ。明治維新以降に力を得た日本が薩摩と長州出身の軍人による武断統治を経ながら45年までアジアを戦乱に追いやった過去を考えると、これは戦争被害国全体を無視する行動と言わざるを得ない。
明治文化行事も安倍首相の「過去史無視」宣伝の場に(2)
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