7日正午ごろ、北朝鮮平安北道新義州(シンウィジュ)と中国丹東をつなぐ中朝友誼橋。この橋の上で北朝鮮を出た貨物車が列をつくって丹東税関の通関を待っている。貨物車の間には北朝鮮を観光してきたとみられる乗合車も見える。貨物車には中国の車両と共に「平北(=平安北道)」のナンバープレートを付けた北朝鮮の車もあった。その間、中国が国連の対北朝鮮制裁に積極的に参加したため貿易量が減ったが、最近の雪解けムードで少しずつ回復する傾向だ。
韓国貿易協会が発表した3月の中朝貿易資料によると、北朝鮮の対中国輸出額は1180万ドルと、2月の885万ドルに比べ300万ドルほど増えた。北朝鮮の3月の対中国輸入額は1億4292万ドルと、2月の1億266万ドルに比べ4026万ドル増加した。北朝鮮と衣類賃加工をしていた中国同胞のチェ・チョルナムさんは「3月から公式貿易が少しずつ増え、国境密貿易は大きく緩和した」と伝えた。丹東市内のホテルにも以前とは違い北朝鮮の人たちが目立った。丹東福瑞徳ホテルの関係者は「4月の北朝鮮宿泊客は3月に比べて30%も増えた」と伝えた。
午後3時ごろ福瑞徳ホテルロビーで偶然に会った北朝鮮の高官から最近の北朝鮮の変化について詳しく聞くことができた。彼は自らを「対外経済省所属」と紹介した。対外経済省とは、貿易を管轄する貿易省、外国資本誘致を担当する朝鮮合営投資委員会、経済特区開発を担当する国家経済開発委員会を統合して2014年に新しく設立された海外投資誘致機構だ。彼は「最近の変化は昨年11月29日に北朝鮮が宣言した核武力完成と国連対北朝鮮制裁が7:3ほどの割合で生じたと考えればよい」と話した。
彼は北朝鮮が考える核武力完成は米国など西側の基準とは異なると説明した。特に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の場合、大気圏再進入と終末誘導段階などを完成しなければならないが、北朝鮮は新型ICBM「火星15」の試験発射で核武力完成を急いで宣言してしまった。
彼は「北朝鮮は『火星15』が米国本土まで到達すると判断したため、より多くの精密な技術保有のために核武力完成宣言を先送りする必要がなかった」と明らかにした。北朝鮮が米国を対話テーブルに引き出すための手段として核・ミサイル開発というカードを活用したことを示唆している。
国連の対北朝鮮制裁を説明するときはやや力が入った。彼は「過去よりも苦痛だが、日光と水を制裁しなければ、その気になればいくらでも持ちこたえることができる」と強調した。対北朝鮮制裁の効果があることを逆説的に説明したのだ。
労働党39号室傘下・慶興指導局のイ・チョルホ党委員長が昨年12月、労働党対内機関紙「勤労者」(12月号)に「燃油販売所(ガソリンスタンド)だけを見ても他の単位(機関)は敵の制裁で(販売が)止まった」と書いた寄稿を思い出させた。中国まで参加している強力な経済制裁を北朝鮮はどう乗り越えているのだろうか。
北側から来た高官は「いわゆる『タンス預金』が市場に出ているため」と答えた。北朝鮮はこの「タンス預金」を引き出すために2009年に貨幣改革(デノミ)を断行したが失敗した。貨幣改革でも微動だにしなかった「タンス預金」を動かしたのは、金正恩国務委員長が2012年に個人・企業の経済活動を奨励するために断行した「6・28方針」だ。北朝鮮は公式的には私有財産を認めないが、個人が工場・企業所の名義で資金を投資し、そこで発生した収益を個人が持てるようにする措置を発表した後、「タンス預金」が動いたということだ。「当初は様子を眺めていた『タンス預金』が少しずつ市場に流れて国内市場が回復し、銭主(トンジュ、新興富豪)は工場・企業所と手を握って共同投資を通じて自分の利益を増やすことができる」という説明だ。過去には処罰の対象だった「タンス預金」が今では対北朝鮮制裁に対応する役割をしているのだ。
強力な対北朝鮮制裁で再現された「苦難の行軍」は中国が介入して実質的な効果を出している。このため中国を眺める北朝鮮の視線は冷ややかだ。この北朝鮮高官は中国に対して「裏切りを感じる」「すべての情が消える」と激しい反応を見せた。中国に対する不満が一気にあふれた。
彼は「3月の中朝首脳会談があるまで中国は金委員長を経験がない若造と見て無視した。ところが米朝首脳会談が発表されると中国の態度が急変した」と説明した。続いて「我々が米国と手を握ろうとすると、ようやく我々を味方に引き込もうとした」と話した。米朝首脳会談を控えて約40日間で2回も金正恩委員長と習近平主席の会談が開かれた状況に関する説明だ。中朝関係を血盟と認識している我々の見解ともかなり違っていた。
彼は疎遠になった中朝関係に比べて韓米関係は強いと考えているようだった。「米国は韓国と同盟を結んだ後、韓国を(経済・軍事的に)かなり助けているのでは」と言いながらうらやましそうな表情を見せた。そして「米国が韓国を助けたように北朝鮮も米国と手を握れば南朝鮮のように暮らせるという期待感を持っている」と述べた。最近変化した北朝鮮の対南・対米融和政策も「制裁が持続すれば苦痛が加重するため、対南・対米融和政策は一時的な措置だと考えていたが、金委員長の破格的な動きを見ると過去のようにまた後戻りする可能性はないと思われる」と話した。
かつて北朝鮮は改革・開放路線に乗り出そうとしたが、軍部の反発で失敗した。「変化を嫌う軍部が今回も金正恩委員長の非核化に反旗を翻す可能性はないのか」という記者の質問に対し、彼は「金委員長は執権書記から軍部を掌握するために頻繁な人事と粛清で抵抗勢力と政治軍人を除去してきた」とし「現在、軍部でこうした変化を拒否する勢力はなく、軍部もすでに70年間ほど準戦時体制を維持してきたため疲労感が累積している」と説明した。また「北朝鮮内部の既得権層は10%程度に達するが、表面上では(開放に)参加しても内心は反対するかもしれない。しかし10%の既得権層より90%の人民が今の変化を好むため金委員長は後戻りはないだろう」と予想した。
韓国貿易協会が発表した3月の中朝貿易資料によると、北朝鮮の対中国輸出額は1180万ドルと、2月の885万ドルに比べ300万ドルほど増えた。北朝鮮の3月の対中国輸入額は1億4292万ドルと、2月の1億266万ドルに比べ4026万ドル増加した。北朝鮮と衣類賃加工をしていた中国同胞のチェ・チョルナムさんは「3月から公式貿易が少しずつ増え、国境密貿易は大きく緩和した」と伝えた。丹東市内のホテルにも以前とは違い北朝鮮の人たちが目立った。丹東福瑞徳ホテルの関係者は「4月の北朝鮮宿泊客は3月に比べて30%も増えた」と伝えた。
午後3時ごろ福瑞徳ホテルロビーで偶然に会った北朝鮮の高官から最近の北朝鮮の変化について詳しく聞くことができた。彼は自らを「対外経済省所属」と紹介した。対外経済省とは、貿易を管轄する貿易省、外国資本誘致を担当する朝鮮合営投資委員会、経済特区開発を担当する国家経済開発委員会を統合して2014年に新しく設立された海外投資誘致機構だ。彼は「最近の変化は昨年11月29日に北朝鮮が宣言した核武力完成と国連対北朝鮮制裁が7:3ほどの割合で生じたと考えればよい」と話した。
彼は北朝鮮が考える核武力完成は米国など西側の基準とは異なると説明した。特に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の場合、大気圏再進入と終末誘導段階などを完成しなければならないが、北朝鮮は新型ICBM「火星15」の試験発射で核武力完成を急いで宣言してしまった。
彼は「北朝鮮は『火星15』が米国本土まで到達すると判断したため、より多くの精密な技術保有のために核武力完成宣言を先送りする必要がなかった」と明らかにした。北朝鮮が米国を対話テーブルに引き出すための手段として核・ミサイル開発というカードを活用したことを示唆している。
国連の対北朝鮮制裁を説明するときはやや力が入った。彼は「過去よりも苦痛だが、日光と水を制裁しなければ、その気になればいくらでも持ちこたえることができる」と強調した。対北朝鮮制裁の効果があることを逆説的に説明したのだ。
労働党39号室傘下・慶興指導局のイ・チョルホ党委員長が昨年12月、労働党対内機関紙「勤労者」(12月号)に「燃油販売所(ガソリンスタンド)だけを見ても他の単位(機関)は敵の制裁で(販売が)止まった」と書いた寄稿を思い出させた。中国まで参加している強力な経済制裁を北朝鮮はどう乗り越えているのだろうか。
北側から来た高官は「いわゆる『タンス預金』が市場に出ているため」と答えた。北朝鮮はこの「タンス預金」を引き出すために2009年に貨幣改革(デノミ)を断行したが失敗した。貨幣改革でも微動だにしなかった「タンス預金」を動かしたのは、金正恩国務委員長が2012年に個人・企業の経済活動を奨励するために断行した「6・28方針」だ。北朝鮮は公式的には私有財産を認めないが、個人が工場・企業所の名義で資金を投資し、そこで発生した収益を個人が持てるようにする措置を発表した後、「タンス預金」が動いたということだ。「当初は様子を眺めていた『タンス預金』が少しずつ市場に流れて国内市場が回復し、銭主(トンジュ、新興富豪)は工場・企業所と手を握って共同投資を通じて自分の利益を増やすことができる」という説明だ。過去には処罰の対象だった「タンス預金」が今では対北朝鮮制裁に対応する役割をしているのだ。
強力な対北朝鮮制裁で再現された「苦難の行軍」は中国が介入して実質的な効果を出している。このため中国を眺める北朝鮮の視線は冷ややかだ。この北朝鮮高官は中国に対して「裏切りを感じる」「すべての情が消える」と激しい反応を見せた。中国に対する不満が一気にあふれた。
彼は「3月の中朝首脳会談があるまで中国は金委員長を経験がない若造と見て無視した。ところが米朝首脳会談が発表されると中国の態度が急変した」と説明した。続いて「我々が米国と手を握ろうとすると、ようやく我々を味方に引き込もうとした」と話した。米朝首脳会談を控えて約40日間で2回も金正恩委員長と習近平主席の会談が開かれた状況に関する説明だ。中朝関係を血盟と認識している我々の見解ともかなり違っていた。
彼は疎遠になった中朝関係に比べて韓米関係は強いと考えているようだった。「米国は韓国と同盟を結んだ後、韓国を(経済・軍事的に)かなり助けているのでは」と言いながらうらやましそうな表情を見せた。そして「米国が韓国を助けたように北朝鮮も米国と手を握れば南朝鮮のように暮らせるという期待感を持っている」と述べた。最近変化した北朝鮮の対南・対米融和政策も「制裁が持続すれば苦痛が加重するため、対南・対米融和政策は一時的な措置だと考えていたが、金委員長の破格的な動きを見ると過去のようにまた後戻りする可能性はないと思われる」と話した。
かつて北朝鮮は改革・開放路線に乗り出そうとしたが、軍部の反発で失敗した。「変化を嫌う軍部が今回も金正恩委員長の非核化に反旗を翻す可能性はないのか」という記者の質問に対し、彼は「金委員長は執権書記から軍部を掌握するために頻繁な人事と粛清で抵抗勢力と政治軍人を除去してきた」とし「現在、軍部でこうした変化を拒否する勢力はなく、軍部もすでに70年間ほど準戦時体制を維持してきたため疲労感が累積している」と説明した。また「北朝鮮内部の既得権層は10%程度に達するが、表面上では(開放に)参加しても内心は反対するかもしれない。しかし10%の既得権層より90%の人民が今の変化を好むため金委員長は後戻りはないだろう」と予想した。
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