北朝鮮と米国の首脳会談に関する議論に異常気流が流れている。「金正恩(キム・ジョンウン)委員長は非常にオープンであり立派だ」(トランプ米大統領)、「トランプ大統領と会えばよく通じ合いそうだ」(金正恩国務委員長)とお互いを称え合う「称賛モード」だったが、先週後半からは緊張感が形成されている。
トランプ大統領が迫っていると予告した米朝首脳会談の場所・日程発表も遅れている。さらに中国大連で中朝首脳が電撃的に会談したことが8日に公開された。一連の状況は米国と北朝鮮の交渉摩擦が尋常でないことを示唆している。
いったい米朝間に何が起きているのだろうか。単なる駆け引きなのか、それとも水面下で何か問題が発生しているのか。ワシントンの複数の消息筋の伝言を総合すると、大きく3つの「乱気流」が生じていると考えられる。
まずは北朝鮮の核廃棄方式だ。4日夜、ホワイトハウス国家安保会議(NSC)のポッティンジャー・アジア上級部長は文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官らに「南アフリカモデルを検討している」と伝えたという。その間、ボルトンNSC補佐官が主張したリビア方式ではなく南アフリカ方式を選択したというのはある意味で現実的だが、解釈によってはホワイトハウスの核心で超強硬気流が形成されたことを意味する。
南アフリカは1975年、キューバ軍のアンゴラ駐留など安保脅威、人種差別に対する国際社会の圧力への反発、指導力結束の必要性などを理由に核爆弾を開発した。しかしソ連の崩壊によって安保環境が改善し、国際社会の制裁圧力が強まると、93年に核放棄を宣言した。「国際社会との新しい関係を設定するために核兵器を放棄する」という内容だった。
当時、南アフリカは高濃縮ウラン(HEU)基盤の核爆弾6個を保有していた。南アフリカはすべての核兵器およびHEU関連施設の解体→核拡散防止条約(NPT)加盟→国際原子力機関(IAEA)安全措置協定締結→IAEA査察→核放棄完了宣言という手続きを踏んだ。南アフリカの核放棄宣言から核放棄完了まで全体の過程は2年半ほどだった。比較的短期間で終わったのだ。
南アフリカはトランプ政権が強調する核心要素、すなわち▼自発的な非核化▼最短期間内の迅速な核廃棄▼核兵器開発完了後の自主廃棄--などを達成した唯一の事例だったのだ。トランプ政権で南アフリカモデルが急浮上している理由だ。
ただ、この過程で注視すべき部分は南アフリカの自発的核放棄に対して経済的な見返りがなかったという点だ。一方、リビア方式は「先に措置、後に見返り」だった。したがって南アフリカモデルを検討するというのは、北朝鮮の核放棄に対する経済支援は韓国と日本、あるいは国際機関が負担し、米国は体制の安全など安全保障カードだけを出すという考えと解釈できる。
ハン・ヨンソプ国防大学教授は「いくつかのメディアは米国がリビア式解決法を考慮していると報じていたが、実際に念頭に置いていたのは南アフリカモデルだったようだ」とし「核兵器開発の初期段階だったリビアとは違い、南アフリカは核保有国から非核国家になる姿を見せたため」と話した。ただハン教授は、北朝鮮が保有する核の規模は南アフリカに比べてはるかに大きく、発展もしているだけに、いかなる見返りもなければ交渉が難しく、適当なラインで妥協する「折衝型南アフリカモデル」になる可能性があるという見方を示した。とにかく米国は迅速な自発的な核廃棄を意味する「南アフリカモデル」を北朝鮮に要求していて、これに北朝鮮が反発しているという説明だ。
2つ目、従来のCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)を変形したPVID(永久的かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)と共に、ミサイルと生物・化学兵器など大量破壊兵器(WMD)までも米朝首脳会談の議題にしようとする米国に対し、北朝鮮が難色を示しているということだ。
この日、ホワイトハウスNSC関係者は、「首脳会談の主な議題はPVIDか」という質問に対し、「そうだ。従来のCVIDに弾道ミサイルとその他の分野が加わるだろう」と答えた。韓国政府内では「CVIDとPVIDは変わらない」という意見を出しているが、米国では異なる解釈をする声が多い。
1994年と2007年の寧辺(ヨンビョン)核施設査察を主導したオリ・ヘイノネンIAEA元事務次長は8日(現地時間)、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで「PVIDはCVIDとかなり異なる」と主張した。ヘイノネン氏は「北朝鮮の非核化に濃縮活動禁止まで含まれれば、北朝鮮は今後、永久的に濃縮施設を保有できなくなる」とし「一方、イラン核合意(でのCVID)はウラン濃縮の部分は永久的な禁止でなかった」と強調した。米国がイラン核合意よりさらに強力な査察を北朝鮮に要求しているのだ。
3つ目、査察方式をめぐる隔たりだ。米国はIAEAを含む視察団がいつでも疑わしい施設を調査できるよう要求している。特に豊渓里(プンゲリ)核実験場の閉鎖方法をめぐり「先にIAEAの徹底的な事前検証、後に廃棄」を要求する米国と、これに反対する北朝鮮の意見が調整できないという話が出ている。北朝鮮が今月中に閉鎖すると約束した豊渓里核実験場の処理は北朝鮮の非核化措置の第一歩だ。それだけに徹底的な事前検証をした後に閉鎖すべきだというのが米国の強い要求だ。
一方、最近の米戦略国際問題研究所(CSIS)フォーラムでビクター・チャ韓国部長は「(米朝首脳会談の)場所と時期の発表をめぐる議論が長くなれば、会談自体が延期になったり取り消しになる可能性がある」と指摘した。
トランプ大統領が迫っていると予告した米朝首脳会談の場所・日程発表も遅れている。さらに中国大連で中朝首脳が電撃的に会談したことが8日に公開された。一連の状況は米国と北朝鮮の交渉摩擦が尋常でないことを示唆している。
いったい米朝間に何が起きているのだろうか。単なる駆け引きなのか、それとも水面下で何か問題が発生しているのか。ワシントンの複数の消息筋の伝言を総合すると、大きく3つの「乱気流」が生じていると考えられる。
まずは北朝鮮の核廃棄方式だ。4日夜、ホワイトハウス国家安保会議(NSC)のポッティンジャー・アジア上級部長は文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官らに「南アフリカモデルを検討している」と伝えたという。その間、ボルトンNSC補佐官が主張したリビア方式ではなく南アフリカ方式を選択したというのはある意味で現実的だが、解釈によってはホワイトハウスの核心で超強硬気流が形成されたことを意味する。
南アフリカは1975年、キューバ軍のアンゴラ駐留など安保脅威、人種差別に対する国際社会の圧力への反発、指導力結束の必要性などを理由に核爆弾を開発した。しかしソ連の崩壊によって安保環境が改善し、国際社会の制裁圧力が強まると、93年に核放棄を宣言した。「国際社会との新しい関係を設定するために核兵器を放棄する」という内容だった。
当時、南アフリカは高濃縮ウラン(HEU)基盤の核爆弾6個を保有していた。南アフリカはすべての核兵器およびHEU関連施設の解体→核拡散防止条約(NPT)加盟→国際原子力機関(IAEA)安全措置協定締結→IAEA査察→核放棄完了宣言という手続きを踏んだ。南アフリカの核放棄宣言から核放棄完了まで全体の過程は2年半ほどだった。比較的短期間で終わったのだ。
南アフリカはトランプ政権が強調する核心要素、すなわち▼自発的な非核化▼最短期間内の迅速な核廃棄▼核兵器開発完了後の自主廃棄--などを達成した唯一の事例だったのだ。トランプ政権で南アフリカモデルが急浮上している理由だ。
ただ、この過程で注視すべき部分は南アフリカの自発的核放棄に対して経済的な見返りがなかったという点だ。一方、リビア方式は「先に措置、後に見返り」だった。したがって南アフリカモデルを検討するというのは、北朝鮮の核放棄に対する経済支援は韓国と日本、あるいは国際機関が負担し、米国は体制の安全など安全保障カードだけを出すという考えと解釈できる。
ハン・ヨンソプ国防大学教授は「いくつかのメディアは米国がリビア式解決法を考慮していると報じていたが、実際に念頭に置いていたのは南アフリカモデルだったようだ」とし「核兵器開発の初期段階だったリビアとは違い、南アフリカは核保有国から非核国家になる姿を見せたため」と話した。ただハン教授は、北朝鮮が保有する核の規模は南アフリカに比べてはるかに大きく、発展もしているだけに、いかなる見返りもなければ交渉が難しく、適当なラインで妥協する「折衝型南アフリカモデル」になる可能性があるという見方を示した。とにかく米国は迅速な自発的な核廃棄を意味する「南アフリカモデル」を北朝鮮に要求していて、これに北朝鮮が反発しているという説明だ。
2つ目、従来のCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)を変形したPVID(永久的かつ検証可能で不可逆的な核廃棄)と共に、ミサイルと生物・化学兵器など大量破壊兵器(WMD)までも米朝首脳会談の議題にしようとする米国に対し、北朝鮮が難色を示しているということだ。
この日、ホワイトハウスNSC関係者は、「首脳会談の主な議題はPVIDか」という質問に対し、「そうだ。従来のCVIDに弾道ミサイルとその他の分野が加わるだろう」と答えた。韓国政府内では「CVIDとPVIDは変わらない」という意見を出しているが、米国では異なる解釈をする声が多い。
1994年と2007年の寧辺(ヨンビョン)核施設査察を主導したオリ・ヘイノネンIAEA元事務次長は8日(現地時間)、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで「PVIDはCVIDとかなり異なる」と主張した。ヘイノネン氏は「北朝鮮の非核化に濃縮活動禁止まで含まれれば、北朝鮮は今後、永久的に濃縮施設を保有できなくなる」とし「一方、イラン核合意(でのCVID)はウラン濃縮の部分は永久的な禁止でなかった」と強調した。米国がイラン核合意よりさらに強力な査察を北朝鮮に要求しているのだ。
3つ目、査察方式をめぐる隔たりだ。米国はIAEAを含む視察団がいつでも疑わしい施設を調査できるよう要求している。特に豊渓里(プンゲリ)核実験場の閉鎖方法をめぐり「先にIAEAの徹底的な事前検証、後に廃棄」を要求する米国と、これに反対する北朝鮮の意見が調整できないという話が出ている。北朝鮮が今月中に閉鎖すると約束した豊渓里核実験場の処理は北朝鮮の非核化措置の第一歩だ。それだけに徹底的な事前検証をした後に閉鎖すべきだというのが米国の強い要求だ。
一方、最近の米戦略国際問題研究所(CSIS)フォーラムでビクター・チャ韓国部長は「(米朝首脳会談の)場所と時期の発表をめぐる議論が長くなれば、会談自体が延期になったり取り消しになる可能性がある」と指摘した。
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