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【コラム】「ナッツ姫」妹、チョ・ヒョンミン大韓航空専務式「甲」の憤怒

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
憤怒は火だ。こらえ難い。よほどでなければアリストテレスが『ニコマコス倫理学』で「しかるべき時に、しかるべき方式で、しかるべき間だけ怒る人は賞賛に値する」としただろうか。このように話したアリストテレスさえ内面の怒りはどうしようもなかったようだ。晩年に政治的状況のためアテネを離れ近隣都市のハルキスに亡命してから1年後に死去した。死因はストレス性胃腸病と推測される。

病的にしばしば怒る、あるいは激しく怒る人を見ると「憤怒調節障害」を疑う。憤怒調節障害は医学的に正確な診断名ではない。間欠性爆発性障害、境界性性格障害、敵対的反抗障害のようなさまざまな疾患の症状をまとめて呼ぶ用語だ。このうち憤怒調節障害と最も近いのが「間欠性爆発性障害(IED)」だ。取るに足りないことに突然怒ったり暴力を振るったりする。ストレスを調節できなかったり自尊感の欠如に苦しめられる社会的弱者で起きやすい。大韓神経精神医学会によると、韓国の成人のうち治療が必要なレベルの高危険群は11%に達する。

広告代理店社員に水をかけた(あるいは会社側の説明通り、コップを床に投げた)大韓航空チョ・ヒョンミン専務のパワハラが問題となっている。チョ専務と推定される人物がオフィスで幹部に大声(あるいは奇声)で怒鳴る録音ファイルまで公開された。忘れられつつあった姉のナッツリターン事件まで召還され「賎民資本主義」「恥ずかしい大韓航空の太極マーク」「憤怒調節障害」のようなコメントが上がってくる。こうしたことが茶飯事だったという社員の証言が事実ならば、経営の代わりに精神科相談を真剣に勧めたい。


その前にチェックすることがある。間欠性爆発性障害は精神的「ブラックアウト」を伴うのが普通だ。酔っ払って記憶をなくすのと似ている。目に見えるものがなくなるという意味だ。ところがこうした症状が目下の人に対してだけ起きるならば、それは「選択的」調節障害だ。「選択」と「調節障害」は矛盾だ。病気ではなく「私はよく怒る人なのでお前たちが気をつけろ」という信号にすぎない。

憤怒調節に向けた心理学者の助言の中には「速やかに費用対効果を分析せよ」というものもある。怒った後の状況を受け止められるのか確かめてみろという話だ。事実多くの「乙」が怒りをこらえる方法だ。そして怒りが貯まって病気にならないために瞑想・読書・運動のようなさまざまな努力をする。チョ専務をはじめとするこの国の「甲」は自ら問いたださなくてはならない。怒る必要があって怒るのではなく、怒っても構わないから怒るのではないのか。

イ・ヒョンサン/論説委員





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