北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長に会った対北朝鮮特使団が持ち帰った南北間の暫定合意案には希望と憂慮がある。金委員長の率直な立場に、当初は世界のメディアと専門家が歓迎したが、数日過ぎた今は懸念を表している。北朝鮮が過去のようなトリックを繰り返す可能性のためだ。合意案には毒素条項と解釈される部分がある。北朝鮮の非核化過程にも地雷が随所にある。
対北朝鮮特使団の首席特使を務めた鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台安保室長が発表した内容は、南北合意事項というよりも北朝鮮がこれまで主張してきた従来の立場に近い。したがって徹底的な検証過程が必要だ。北朝鮮が今回も約束した非核化を実践できなければ北朝鮮は「三振アウト」を免れなくなる。北朝鮮に対する最後の期待ということだ。今は第3次北核危機だ。国際社会は第1・2次北核危機を経験しながら約20年間にわたり北朝鮮の非核化に努力したが、失敗した。その過程で北朝鮮に対する説得と善意の努力もあり、北朝鮮を経済的にも支援した。2回も南北首脳会談を開催したが、成果がなかった。ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長は7日、CSISの情報誌を通じて「北朝鮮の姿勢は従来の立場から全く新しいものがない」とし「戦術的な作戦変更」と評価した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も同日、与野5党代表と会った席では「(北の)核廃棄が最終目標」とし「南北首脳会談や南北対話の進展は非核化と共に進まなければいけない」と述べ、性急な進展を警戒した。
南北が合意した6項目のうち最も深刻な部分は第3項であり、事実上の在韓米軍撤収要求だ。「北側は韓半島非核化の意志を明確にした」という部分だ。鄭室長は「金委員長が『韓半島(朝鮮半島)非核化』が先代(金日成主席・金正日総書記)の遺訓だと話した」と伝えた。しかし北側が要求する「韓半島非核化」と韓国政府が推進してきた「北朝鮮非核化」の内容は正反対だ。政府の基本立場である北朝鮮非核化は単に北朝鮮の核能力を除去することを意味する。これに対し北朝鮮が言う「韓半島非核化」は「在韓米軍を含めて韓半島に展開可能な米軍の戦略的核能力まで排除しろという意味」と鄭永泰(チョン・ヨンテ)北朝鮮研究所長は説明した。米国は北朝鮮の大規模南侵または核攻撃に対応して韓米同盟レベルで核の傘が含まれた拡張抑止力を韓国に提供すると毎年約束してきた。ところが北朝鮮はこうした防御的な措置を威嚇と見ている。米国の拡張抑止力には韓半島に随時展開するB-52戦略爆撃機と原子力潜水艦、航空母艦など米軍戦略資産が含まれる。したがって北朝鮮が望む韓半島非核化を実践するには、米軍戦略資産の排除はもちろん、在韓米軍まで撤収すべきだという意味と解釈される。こうした北朝鮮の考えを受け入れれば韓米連合体制の弛緩につながる。このため北朝鮮の要求をそのまま受け入れるのは容易でない。
第3項の2番目の「北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、北朝鮮体制の安全が保証されるなら、核を保有する理由はない」という部分も同じだ。実際、北朝鮮が核を放棄すれば南北間の通常戦力の均衡が可能だ。米国が北朝鮮を先制打撃する理由もない。米国の対北朝鮮先制打撃案は北朝鮮が核兵器で韓国と在日米軍、米国を攻撃すると何度か脅迫したために出てきたものだ。北朝鮮は防御訓練の韓米連合軍事訓練さえも「北侵略訓練」と住民に宣伝している。したがって北朝鮮は米国を脅威そのものと見ていて、米国との平和協定締結を望んでいる。平和協定が締結されれば朝米間の敵対関係が清算されるため韓米連合体制も名分がなくなる。さらに北朝鮮は平和協定を通じて米軍を韓半島から追い出そうという思惑もある。1950年の韓国戦争(朝鮮戦争)の経験のためだ。当時、北朝鮮軍は釜山(プサン)までほぼ占領するところだった。しかし米国が介入したことで韓半島の共産化に失敗したというのが戦後の北朝鮮の評価だ。
<Mr.ミリタリー>南北合意、サソリの毒針に刺されるカエルになるな(2)
対北朝鮮特使団の首席特使を務めた鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台安保室長が発表した内容は、南北合意事項というよりも北朝鮮がこれまで主張してきた従来の立場に近い。したがって徹底的な検証過程が必要だ。北朝鮮が今回も約束した非核化を実践できなければ北朝鮮は「三振アウト」を免れなくなる。北朝鮮に対する最後の期待ということだ。今は第3次北核危機だ。国際社会は第1・2次北核危機を経験しながら約20年間にわたり北朝鮮の非核化に努力したが、失敗した。その過程で北朝鮮に対する説得と善意の努力もあり、北朝鮮を経済的にも支援した。2回も南北首脳会談を開催したが、成果がなかった。ビクター・チャ米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国部長は7日、CSISの情報誌を通じて「北朝鮮の姿勢は従来の立場から全く新しいものがない」とし「戦術的な作戦変更」と評価した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も同日、与野5党代表と会った席では「(北の)核廃棄が最終目標」とし「南北首脳会談や南北対話の進展は非核化と共に進まなければいけない」と述べ、性急な進展を警戒した。
南北が合意した6項目のうち最も深刻な部分は第3項であり、事実上の在韓米軍撤収要求だ。「北側は韓半島非核化の意志を明確にした」という部分だ。鄭室長は「金委員長が『韓半島(朝鮮半島)非核化』が先代(金日成主席・金正日総書記)の遺訓だと話した」と伝えた。しかし北側が要求する「韓半島非核化」と韓国政府が推進してきた「北朝鮮非核化」の内容は正反対だ。政府の基本立場である北朝鮮非核化は単に北朝鮮の核能力を除去することを意味する。これに対し北朝鮮が言う「韓半島非核化」は「在韓米軍を含めて韓半島に展開可能な米軍の戦略的核能力まで排除しろという意味」と鄭永泰(チョン・ヨンテ)北朝鮮研究所長は説明した。米国は北朝鮮の大規模南侵または核攻撃に対応して韓米同盟レベルで核の傘が含まれた拡張抑止力を韓国に提供すると毎年約束してきた。ところが北朝鮮はこうした防御的な措置を威嚇と見ている。米国の拡張抑止力には韓半島に随時展開するB-52戦略爆撃機と原子力潜水艦、航空母艦など米軍戦略資産が含まれる。したがって北朝鮮が望む韓半島非核化を実践するには、米軍戦略資産の排除はもちろん、在韓米軍まで撤収すべきだという意味と解釈される。こうした北朝鮮の考えを受け入れれば韓米連合体制の弛緩につながる。このため北朝鮮の要求をそのまま受け入れるのは容易でない。
第3項の2番目の「北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、北朝鮮体制の安全が保証されるなら、核を保有する理由はない」という部分も同じだ。実際、北朝鮮が核を放棄すれば南北間の通常戦力の均衡が可能だ。米国が北朝鮮を先制打撃する理由もない。米国の対北朝鮮先制打撃案は北朝鮮が核兵器で韓国と在日米軍、米国を攻撃すると何度か脅迫したために出てきたものだ。北朝鮮は防御訓練の韓米連合軍事訓練さえも「北侵略訓練」と住民に宣伝している。したがって北朝鮮は米国を脅威そのものと見ていて、米国との平和協定締結を望んでいる。平和協定が締結されれば朝米間の敵対関係が清算されるため韓米連合体制も名分がなくなる。さらに北朝鮮は平和協定を通じて米軍を韓半島から追い出そうという思惑もある。1950年の韓国戦争(朝鮮戦争)の経験のためだ。当時、北朝鮮軍は釜山(プサン)までほぼ占領するところだった。しかし米国が介入したことで韓半島の共産化に失敗したというのが戦後の北朝鮮の評価だ。
<Mr.ミリタリー>南北合意、サソリの毒針に刺されるカエルになるな(2)
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