よく接する誤解がある。トランプ政権が保護貿易主義を採択し、韓国に対する圧力を強化しているという見方だ。実際はそうでない。米国が現在取っている措置の骨格は2013-15年の姿を帯びている。オバマ政権の時代だ。トランプ時代を迎えてそのようなしくみが本格的に稼働しているにすぎない。このため現在の状況をトランプ大統領個人の性向や現政権の立場と見て対応するのは間違っている。
この1年間、韓国がつまずいてきたのは、こうした誤った見方に起因する部分が多い。米大統領選挙中に保護貿易主義と韓国への圧力を露骨に表したトランプ大統領の当選後も、これを選挙用のコメントやトランプ大統領の個人的な特異性と見なしてきた。まさか同盟国を追い詰めるだろうかという安易な考えのため、米国内の変化の状況を読み取ることができなかった。
1月22日の韓国産洗濯機・太陽光モジュールに対するセーフガード(緊急輸入制限措置)発動の余震がまだ消えない中、2月16日には韓国など12カ国の鉄鋼製品に対して米通商法232条に基づく輸入規制措置が迫っていると伝えられた。国家安保を理由にこれらの国の鉄鋼製品に53%の関税を賦課するという計画だ。
◆米国の前例のない貿易規制
16年ぶりのセーフガードが事実上韓国を主な対象にすることも気にかかるが、「国家安保」を理由に初めて発動する輸入規制措置に韓国が含まれたことにも当惑する。この措置を検討した米商務省は審議の過程で米国防総省と議論したと明らかにした。韓国を除いた11カ国は中国・ロシア・インド・ブラジル・コスタリカ・エジプト・マレーシア・南アフリカ・タイ・トルコ・ベトナムだ。
この11カ国を見ると、どの国も韓国ほど密接に米国と安保同盟関係を構築していない。70年の血盟であり、2万8000人の米軍が駐留し、北核危機に直面している韓国を「安保」を理由にした輸入規制措置の対象に含むのはおかしい。本当に安保が理由なら韓国との貿易に恩恵を与えても足りない状況だ。
これら新しい措置のほかにも韓国商品は米国からすでにいくつかの形態の輸入規制措置に直面している。2013-17年に米国が開始した反ダンピング調査78件のうち21件が韓国商品を対象にしている。同じ時期、中国商品を対象とした調査は44件だった。2017年基準で中国の対米輸出額が韓国より6倍ほど多いため、単純比較すると韓国が中国より3倍ほど高い頻度で米国から反ダンピング提訴にあったということだ。
なぜこのような状況が発生したのか。まず、韓国は「比重があると同時に扱いやすい国」として映っている。2017年を基準に韓国は米国の6大貿易国だ。その一方で他国と比べると負担が少ない国だ。韓国を除いた5カ国は中国・カナダ・メキシコ・日本・ドイツ。英国が韓国に次いで7番目だ。
このため新しい実験的な措置を取る場合、韓国を含めるのはいろいろな面で有利だ。中国を目標にした措置という色を薄めやすい。また、韓国の経済規模が先進国でも後進国でもないため、何かを試す場合に適している。
米国と欧州連合(EU)が2013-15年の不法漁業規制対象国に韓国を含めたり、EUが12月に域外租税回避国に韓国を含めた(最近解除)のもこうした脈絡だ。いくつかの理由が挙げられているが、根底には韓国に対するこうした見方がある。中国と日本を狙った為替操作国リストに韓国が共に含まれたり抜けたりするのも同じ脈絡だ。
◆中国の貿易報復を受けてもWTO提訴せず
韓国はその間、通商問題にあまりにも無関心だった。韓国の政治構造が、意思決定体制が、通商に対して鈍感だった。いくつかの争点をめぐる国内の利害争いに注力し、世界秩序がどう変わるかを読んでいなかった。振り返ってみると、慌ただしく動いたものの内容はなかった。主要貿易国の動向把握や貿易リスク管理に失敗したのだ。目を開くと今はもう新しい流れだ。
通商問題に対する消極的な対応も問題を膨らませた。米国の輸入規制措置に数年間にわたり直面しながらも、世界貿易機関(WTO)パネルに回付するのに慎重だった。昨年、中国の全方向貿易制限があったが、WTOに提訴しなかった。中国発の貿易制限に関連し、この程度の措置が取られても黙過した国は韓国が唯一だろう。通商協定上、臨界点を越えても定められた手続きと規則に基づく対応を取らなければ、さらなる措置につながる。他の国がこれを見て後に続く。こうした状況が通商問題に関しては韓国を扱いやすい国として眺める一因になった。
では、これをどう解決していけばよいのか。最も重要なのは通商問題に戦略的レベルで接近することだ。今まで韓国政府は通商問題を「輸出振興」政策として単純に眺めていた。これを企業の懸案として考えてきた。そして問題が発生すれば慌てて動き出す。
韓国、軽視されれば米中の通商圧力が続く(2)
この1年間、韓国がつまずいてきたのは、こうした誤った見方に起因する部分が多い。米大統領選挙中に保護貿易主義と韓国への圧力を露骨に表したトランプ大統領の当選後も、これを選挙用のコメントやトランプ大統領の個人的な特異性と見なしてきた。まさか同盟国を追い詰めるだろうかという安易な考えのため、米国内の変化の状況を読み取ることができなかった。
1月22日の韓国産洗濯機・太陽光モジュールに対するセーフガード(緊急輸入制限措置)発動の余震がまだ消えない中、2月16日には韓国など12カ国の鉄鋼製品に対して米通商法232条に基づく輸入規制措置が迫っていると伝えられた。国家安保を理由にこれらの国の鉄鋼製品に53%の関税を賦課するという計画だ。
◆米国の前例のない貿易規制
16年ぶりのセーフガードが事実上韓国を主な対象にすることも気にかかるが、「国家安保」を理由に初めて発動する輸入規制措置に韓国が含まれたことにも当惑する。この措置を検討した米商務省は審議の過程で米国防総省と議論したと明らかにした。韓国を除いた11カ国は中国・ロシア・インド・ブラジル・コスタリカ・エジプト・マレーシア・南アフリカ・タイ・トルコ・ベトナムだ。
この11カ国を見ると、どの国も韓国ほど密接に米国と安保同盟関係を構築していない。70年の血盟であり、2万8000人の米軍が駐留し、北核危機に直面している韓国を「安保」を理由にした輸入規制措置の対象に含むのはおかしい。本当に安保が理由なら韓国との貿易に恩恵を与えても足りない状況だ。
これら新しい措置のほかにも韓国商品は米国からすでにいくつかの形態の輸入規制措置に直面している。2013-17年に米国が開始した反ダンピング調査78件のうち21件が韓国商品を対象にしている。同じ時期、中国商品を対象とした調査は44件だった。2017年基準で中国の対米輸出額が韓国より6倍ほど多いため、単純比較すると韓国が中国より3倍ほど高い頻度で米国から反ダンピング提訴にあったということだ。
なぜこのような状況が発生したのか。まず、韓国は「比重があると同時に扱いやすい国」として映っている。2017年を基準に韓国は米国の6大貿易国だ。その一方で他国と比べると負担が少ない国だ。韓国を除いた5カ国は中国・カナダ・メキシコ・日本・ドイツ。英国が韓国に次いで7番目だ。
このため新しい実験的な措置を取る場合、韓国を含めるのはいろいろな面で有利だ。中国を目標にした措置という色を薄めやすい。また、韓国の経済規模が先進国でも後進国でもないため、何かを試す場合に適している。
米国と欧州連合(EU)が2013-15年の不法漁業規制対象国に韓国を含めたり、EUが12月に域外租税回避国に韓国を含めた(最近解除)のもこうした脈絡だ。いくつかの理由が挙げられているが、根底には韓国に対するこうした見方がある。中国と日本を狙った為替操作国リストに韓国が共に含まれたり抜けたりするのも同じ脈絡だ。
◆中国の貿易報復を受けてもWTO提訴せず
韓国はその間、通商問題にあまりにも無関心だった。韓国の政治構造が、意思決定体制が、通商に対して鈍感だった。いくつかの争点をめぐる国内の利害争いに注力し、世界秩序がどう変わるかを読んでいなかった。振り返ってみると、慌ただしく動いたものの内容はなかった。主要貿易国の動向把握や貿易リスク管理に失敗したのだ。目を開くと今はもう新しい流れだ。
通商問題に対する消極的な対応も問題を膨らませた。米国の輸入規制措置に数年間にわたり直面しながらも、世界貿易機関(WTO)パネルに回付するのに慎重だった。昨年、中国の全方向貿易制限があったが、WTOに提訴しなかった。中国発の貿易制限に関連し、この程度の措置が取られても黙過した国は韓国が唯一だろう。通商協定上、臨界点を越えても定められた手続きと規則に基づく対応を取らなければ、さらなる措置につながる。他の国がこれを見て後に続く。こうした状況が通商問題に関しては韓国を扱いやすい国として眺める一因になった。
では、これをどう解決していけばよいのか。最も重要なのは通商問題に戦略的レベルで接近することだ。今まで韓国政府は通商問題を「輸出振興」政策として単純に眺めていた。これを企業の懸案として考えてきた。そして問題が発生すれば慌てて動き出す。
韓国、軽視されれば米中の通商圧力が続く(2)
この記事を読んで…