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【コラム】四面楚歌に追い込まれた金正恩

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が韓国と北朝鮮の「敏感な懸案」を手に握ることになった。金英哲(キム・ヨンチョル)北朝鮮労働党副委員長(対南担当)兼統一戦線部長が韓国に来たからだ。彼は人民軍偵察総局長時代(2009~2015)、韓国哨戒艦「天安(チョナン)」爆沈事件と延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件の背後として知らされ、南北対話で避けられる人物に名指されてきた。そのような彼が偶然にも北朝鮮高官代表団長として韓国を訪問した。

インターネットで韓国動向を把握する金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が金英哲団長、その自体で追い立てる南南葛藤を知らないわけがない。金与正(キム・ヨジョン)特使で南北対話が開かれ、米朝対話の兆しまで見えている中で金英哲で「点数」を失うかもしれないという懸念まで甘受して彼を派遣した。

金正恩はなぜこのような危険な選択をしたのだろうか。南南葛藤や文在寅政府を困惑させると自身に得することがない。米国が23日(現地時間)、史上最大規模の対北朝鮮制裁だと宣伝しながら海上遮断を発表するなど、圧力の度合いを強めている。中国は米国よりは弱いが、かつてとは違って制裁の度合いを段階的に強めるだけでなく、不都合な関係を維持している。


金正恩は四面楚歌に追い込まれている。したがって、韓国との関係改善に積極的に駆け寄るほかはない。金正恩は今年新年の辞で「今は互いに背を向けて自分の立場を明らかにする時ではなく、南北関係の改善問題を真剣に議論し、その出路を果敢に開かなければならない時」と強調した。彼の不安な心情が垣間見られる部分だ。

金英哲に代わって2014年仁川(インチョン)アジア競技大会閉会式に訪韓した崔竜海(チェ・ヨンヘ)労働党副委員長が来れば無難だ。だが、彼は昨年10月から組織指導部長を務めており、対外活動が難しい。組織指導部は海外に出て行けば資本主義に汚染されるという固定観念のためにに海外出張を禁止してきた。したがって、対南対話の責任を負っている金英哲以外には代案がなかったと予想される。

文在寅政府は金英哲を受け入れることで政治的損害を受けてでも北朝鮮の最近の状況を考慮して金英哲が南北関係にあって前向きなメッセージを持ってくるものと期待している。さらに、今回の高官代表団に米朝関係と対米外交を担当する外務省北米局のチェ・ガンイル副局長に注目している。金正恩は12日、金与正特使など代表団の報告を受けて「該当部門」で実務的対策を立てるよう指示したが、「該当部門」に統一戦線部と外務省が含まれたと見られる。平昌(ピョンチャン)冬季パラリンピックまで時間があまり残っていない。文大統領と金正恩が政治的運命をかけた「金英哲カード」が最善ではなかったとしても最悪にはならないでほしい。

コ・スソク/統一文化研究所研究委員・北朝鮮学博士



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