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【コラム】金正恩委員長の最後のパノラマ(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
「元山(ウォンサン)葛麻(カルマ)半島10時」。北朝鮮が最高指導者の動静に時間まで露出したのは異例だ。金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が視察した25日の軍創建85周年打撃訓練を扱った翌日の労働新聞の記事でだ。自分を狙った「斬首作戦」にまで言及されている緊張局面でも後ずさりしないというメッセージだ。平壌(ピョンヤン)の宣伝メディアは2003年5月のイラクのフセイン政権没落後から、金正日(キム・ジョンイル)総書記の動静報道から日時を抜いた。「10時」という活字の再臨は恐怖を感じた父とは違うという示威だ。

差別化のポイントはほかにもある。3列に並ぶ300門余りの大口径自走砲と兵力を眺める金正恩委員長の人民服の胸には金日成(キム・イルソン)主席の「肖像徽章」(バッジ)がなかった。世襲王朝「朝鮮民主主義人民共和国」の創業者である祖父の後光はもう必要ないという考えと読み取ることができる。米国と国際社会に向けた嘲弄コードもあった。金正恩委員長が乗った閲兵車はメルセデスベンツの最新型オープンカーだった。対北朝鮮制裁に穴があるというシグナルだ。

「毅然」と一人立ちするイメージまでが組み込まれたコードの裏には、金正恩委員長の複雑な内心も感じられる。砲撃場面を見守りながら「目標を容赦なくつぶす。胸がすっきりするほどうまく撃つ」と叫んだという部分では、33歳の青年指導者の圧迫感が感知される。在来式野砲訓練を伝えながら「米空母を水葬する」と主張する朝鮮中央Tレビのアナウンサーのオクターブからは予測しがたい将来に対する北朝鮮当局の不安感が感じられる。


金正恩委員長には執権後の最大危機だ。1月に就任したトランプ米大統領は「北の核は世界の大きな問題」と述べ、対北朝鮮圧力を強めている。一昨日はトランプ政権の国務・国防長官と国家情報長官が合同声明まで出し、「最高の圧力と関与」を公言した。米大統領選挙の過程で官営メディアを動員して「トランプは『暴言』『変人』候補ではなく賢明な政治家であり、先見の明のある大統領候補」と称えた平壌当局としては悔しいはずだ。敗着にもこれほどの敗着はない。



【コラム】金正恩委員長の最後のパノラマ(2)

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