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【コラム】トランプ大統領にジレンマを抱かせた南北対話

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
9日の南北(韓国・北朝鮮)対話再開に対してトランプ大統領が支持する立場を明らかにしたのは望ましい。平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)をきっかけに板門店(パンムンジョム)で行われた会談の結果は韓半島(朝鮮半島)の安定化に寄与するだろう。ところが北朝鮮に対する圧力が最大限に向かっている局面で進行される南北対話は、トランプ政権にジレンマを抱かせるしかない。こうした状況はトランプ大統領のツイッターにも表れている。トランプ大統領は当初「見守ろう」と懐疑的な反応を見せたが、後に南北対話が五輪以外の事案までも扱うことを望むと表現した。

このようなジレンマが生じる理由は何か。まず、北朝鮮は強まる国際社会の圧力が弱化したり無力化することを望んでいる。北朝鮮が対話の場に出てきたのは、米国が経済制裁を拡大したためとみるトランプ大統領の考えには一理がある。北朝鮮の住民と軍人は飢えをしのごうと危険な木船に乗って遠海に出ている。最近日本海岸で発見された船で北朝鮮の住民が遺体で見つかった。これは北朝鮮が現在直面している現実を象徴している。また昨年末に韓国に亡命した北朝鮮兵士の栄養状態は北朝鮮の食糧不足状況をはっきりと表していた。北朝鮮が南北対話を通じて伝えたいメッセージは、米国が北朝鮮を核武装国家と認め、「破局」と「平和的共存」の一つを選択しなければいけない状況に達したということだ。

2つ目、北朝鮮は韓米関係を離間しようという意図を持っている可能性が高い。韓米両国の国民の同盟関係に対する支持は強い。両国の連合防衛体制もいつよりも強固だ。しかし青瓦台(チョンワデ、大統領府)とホワイトハウスは政治的な葛藤と解釈されるシグナルを表出したことがある。トランプ大統領の韓米自由貿易協定(FTA)に対する攻撃、北朝鮮に向けた「怒りと炎」という発言に、青瓦台は困惑した。文在寅(ムン・ジェイン)政権がTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備拡大、米国のミサイル防衛システム(MD)加入、韓日米軍事同盟締結について中国に「ノー(No)」と伝えたという、いわゆる「3不約束」に関する報道は、米国政府に深い失望感を抱かせた。トランプ大統領はFTA再交渉要求を撤回しないはずであり、韓国政府は中国が主張する「3不約束」に明確な立場を明らかにしないだろう。これらは北朝鮮に不和助長戦略が成功するかもしれない考えを抱かせる要因だ。もしトランプ大統領が南北対話に反対すれば、韓米関係の隙が深刻なほど広がるかもしれない。


3つ目、南北対話は予定されていた正規韓米合同軍事訓練を延期させる結果を招いた。この訓練は韓国と米国の軍隊が必要な場合に直ちに作戦に突入する体制を整えると同時に、北朝鮮の挑発に対する両国の団結した姿を象徴する。したがってこの訓練は現在、いつよりも重要だ。五輪期間中の訓練延期は南北対話を危険にする可能性があり、軍事的訓練をいっそのこと中断するべきだという主張に力を与えるかもしれない。この春に中国がそのような立場を取ると確信する。

4つ目、五輪行事に北朝鮮が参加した姿は多くの韓国人と米国人を困惑させるだろう。数万人の北朝鮮住民が燿徳(ヨドク)収容所で虐待されていて、北朝鮮政権が東アジアで最も大きな脅威である核兵器開発プログラムに拍車を加えているという事実を知っているために生じる混乱だ。

とにかく米国政府は文在寅政権を支持しないわけにはいかず、五輪参加に関連する9日の南北合意を歓迎するしかない。米国政府は南北の関係改善を遮る障害物として映ることを望まない。結局、韓国政府の方向に従わざるを得ない。さらに米国政府は平昌(ピョンチャン)五輪が平和に開催されることを望む。北朝鮮の人権問題と国際社会に対する脅威を考えれば苦痛だが、北朝鮮が排除された五輪は1988年のソウル五輪直前に発生したテロのような危険を招きかねない。結局、北朝鮮に圧力が加えられる状況ではあるが北朝鮮に対話の空間を許すのは、米国の国益にも合う側面がある。完全な排除と孤立は危険だ。

これがトランプ大統領が抱いているジレンマだ。北朝鮮が世界に投げかけたジレンマでもある。文在寅政権は北朝鮮が核武装国として認められようとする欺まん戦術を駆使するだけではないという漠然とした楽観論を警戒する必要がある。トランプ政権はすべてのチャンネルを通じて韓国政府と意見を交わし、協力の程度を高める必要がある。国防・外交ともに「一緒に進もう」という精神が必要だ。

マイケル・グリーン/米戦略国際問題研究所(CSIS)副理事長

◆外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。



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