北朝鮮体制の内心や政策路線をのぞくのは容易でない。体系的な分析や展望はさらに難しい。閉鎖的な属性のため予測に使われる根拠までが信頼できないという点でだ。年末になると対北朝鮮専門家や研究機関が頭を悩ませるのもこうした背景のためだ。1991年4月に設立された統一研究院(院長ソン・ギウン)はトップ級の国策研究機関だ。あれこれと限界がある中でも公信力のある報告書を出すという評価を受ける。北朝鮮研究室など5チームの博士級研究員50人余りの「集団知性」が完成した2018年情勢展望報告書に基づき、金正恩(キム・ジョンウン)政権の動きを予想してみる。
2017年は金正恩労働党委員長の核・ミサイル挑発で綴られた。先月29日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星15」発射と金正恩委員長の「国家核武力完成」宣言でピークとなった。出発点は金正恩委員長の「新年の辞」だった。「ICBM発射最終段階」という金委員長の言葉に歩調を合わせるように、北朝鮮軍部と国防工業部門は暴走を繰り返した。しかし体制内部の疲労感も深刻だ。エリートの離反や民心の動揺など対北朝鮮制裁による危機感も少なくない。挑発局面に向かうよりも戦術的な調整局面が必要な状況という指摘だ。来年、北朝鮮は政権樹立70周年を迎える。3代世襲権力は破局か、路線変化を通じた生存の摸索かという崖っぷちに立った。「2018年は北核問題解決のための韓国と北朝鮮、米国・中国など関係国が最後の一戦を繰り広げる一年になる」というのが統一研究院の診断だ。5日後に出てくる金正恩委員長の「新年の辞」に注目が集まる理由だ。
◆「新年の辞」で重大提案か
朝鮮中央テレビで中継される肉声演説を通じて局面の転換を図る可能性がある。南北軍事的信頼措置と韓半島(朝鮮半島)問題の平和的解決を強調する提案が考えられる。挑発一辺倒から和戦配合への変換ということだ。金委員長は「核武力完成」宣言を通じて、いわゆる核保有国としての戦略的地位を再確認したと自ら判断する可能性がある。統一研究院は「朝米関係の対決局面をう回するための南北関係の空間確保という側面で『平和攻勢』を見せるかもしれない」と分析する。金剛山(クムガンサン)観光再開や開城(ケソン)工業団地再稼働のような経済的実益を得る方向に進む可能性にも対応しなければいけないという指摘もある。北朝鮮の挑発と対南威嚇で韓国国民の対北朝鮮感情が冷え込んでいる状況であるため、政府には悩みだ。対外的に平和協定締結と核軍縮主張をさらに露骨化する可能性もある。こうした融和的ジェスチャーは対北朝鮮制裁と圧力局面を管理するレベルで行われると、専門家らは口をそろえている。
◆南北関係の解氷は可能か
春風が吹くには時間が必要だ。北朝鮮は5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権の対北朝鮮提案をすべて無視または拒否した。新年にも韓国主導の南北当局対話や交流・協力に応じる可能性は低いと予想される。核保有国として認められようとする北朝鮮が核放棄・凍結を前提にした会談テーブルに出てこないのは明らかであり、米中など周辺国も南北間対話の仲裁に積極的に動かないという点でだ。ただ、平和攻勢レベルで新年の辞などを通じて南北関係の改善を主張する可能性があり、対応が求められる。金委員長が新年の辞で「南北最高位級会談」などに言及して韓国の反応を試し、南北関係の主導権を握ろうとする動きを見せてきたからだ。もちろん金正恩委員長の対話提案がまともに履行されたことはない。
◆平昌五輪で突破口は開かれるのか
金委員長の最終決心による北朝鮮の平昌冬季五輪参加は期待してみるべきというのが統一研究院の見方だ。金委員長が執権以降「体育強国建設」を標ぼうしてきたうえ、国際スポーツ行事の場合は情勢と関係なく選手団を派遣したり平壌(ピョンヤン)で行事を予定通り開催した前例があるという点でだ。文在寅政権が韓米軍事演習時期の調整など使用可能な手段を総動員している点もプラスの要素だ。朴槿恵政権当時の2014年仁川(インチョン)アジア競技大会の閉幕式には黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長らが訪問した。金委員長が妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党政治局候補委員を派遣するサプライズショーをする可能性も考えられる。ソン・ギウン統一研究院長は「全世界の注目が集まる五輪の舞台に金与正氏を立たせることで融和メッセージを送り、自らが主導する流れを形成しようとする可能性もある」と話した。北朝鮮の招請に「オールイン」する姿を見せる必要はないが、北朝鮮幹部の出席が実現する場合、これを契機に南北対話の復元に力を注ぐべきだという指摘もある。
金正恩委員長、平昌五輪に妹派遣のサプライズショー?(2)
2017年は金正恩労働党委員長の核・ミサイル挑発で綴られた。先月29日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級「火星15」発射と金正恩委員長の「国家核武力完成」宣言でピークとなった。出発点は金正恩委員長の「新年の辞」だった。「ICBM発射最終段階」という金委員長の言葉に歩調を合わせるように、北朝鮮軍部と国防工業部門は暴走を繰り返した。しかし体制内部の疲労感も深刻だ。エリートの離反や民心の動揺など対北朝鮮制裁による危機感も少なくない。挑発局面に向かうよりも戦術的な調整局面が必要な状況という指摘だ。来年、北朝鮮は政権樹立70周年を迎える。3代世襲権力は破局か、路線変化を通じた生存の摸索かという崖っぷちに立った。「2018年は北核問題解決のための韓国と北朝鮮、米国・中国など関係国が最後の一戦を繰り広げる一年になる」というのが統一研究院の診断だ。5日後に出てくる金正恩委員長の「新年の辞」に注目が集まる理由だ。
◆「新年の辞」で重大提案か
朝鮮中央テレビで中継される肉声演説を通じて局面の転換を図る可能性がある。南北軍事的信頼措置と韓半島(朝鮮半島)問題の平和的解決を強調する提案が考えられる。挑発一辺倒から和戦配合への変換ということだ。金委員長は「核武力完成」宣言を通じて、いわゆる核保有国としての戦略的地位を再確認したと自ら判断する可能性がある。統一研究院は「朝米関係の対決局面をう回するための南北関係の空間確保という側面で『平和攻勢』を見せるかもしれない」と分析する。金剛山(クムガンサン)観光再開や開城(ケソン)工業団地再稼働のような経済的実益を得る方向に進む可能性にも対応しなければいけないという指摘もある。北朝鮮の挑発と対南威嚇で韓国国民の対北朝鮮感情が冷え込んでいる状況であるため、政府には悩みだ。対外的に平和協定締結と核軍縮主張をさらに露骨化する可能性もある。こうした融和的ジェスチャーは対北朝鮮制裁と圧力局面を管理するレベルで行われると、専門家らは口をそろえている。
◆南北関係の解氷は可能か
春風が吹くには時間が必要だ。北朝鮮は5月に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権の対北朝鮮提案をすべて無視または拒否した。新年にも韓国主導の南北当局対話や交流・協力に応じる可能性は低いと予想される。核保有国として認められようとする北朝鮮が核放棄・凍結を前提にした会談テーブルに出てこないのは明らかであり、米中など周辺国も南北間対話の仲裁に積極的に動かないという点でだ。ただ、平和攻勢レベルで新年の辞などを通じて南北関係の改善を主張する可能性があり、対応が求められる。金委員長が新年の辞で「南北最高位級会談」などに言及して韓国の反応を試し、南北関係の主導権を握ろうとする動きを見せてきたからだ。もちろん金正恩委員長の対話提案がまともに履行されたことはない。
◆平昌五輪で突破口は開かれるのか
金委員長の最終決心による北朝鮮の平昌冬季五輪参加は期待してみるべきというのが統一研究院の見方だ。金委員長が執権以降「体育強国建設」を標ぼうしてきたうえ、国際スポーツ行事の場合は情勢と関係なく選手団を派遣したり平壌(ピョンヤン)で行事を予定通り開催した前例があるという点でだ。文在寅政権が韓米軍事演習時期の調整など使用可能な手段を総動員している点もプラスの要素だ。朴槿恵政権当時の2014年仁川(インチョン)アジア競技大会の閉幕式には黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長らが訪問した。金委員長が妹の金与正(キム・ヨジョン)労働党政治局候補委員を派遣するサプライズショーをする可能性も考えられる。ソン・ギウン統一研究院長は「全世界の注目が集まる五輪の舞台に金与正氏を立たせることで融和メッセージを送り、自らが主導する流れを形成しようとする可能性もある」と話した。北朝鮮の招請に「オールイン」する姿を見せる必要はないが、北朝鮮幹部の出席が実現する場合、これを契機に南北対話の復元に力を注ぐべきだという指摘もある。
金正恩委員長、平昌五輪に妹派遣のサプライズショー?(2)
この記事を読んで…