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【社説】「引き算外交」になってしまった文大統領の訪中、自画自賛する時ではない

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅(ムン・ジェイン)大統領の中国国賓訪問が今月16日、重慶日程を最後に終了した。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は今回の訪問が高高度ミサイル防衛(THAAD)体系問題で塞がっていた韓中経済交流の突破口を開くために決定的な役割を果たしたと自画自賛の真っ最中だ。だが、注意深く振り返ってみると、今回の訪問は北核解決のような核心懸案で残念な部分が一つや二つで終わらなかった。我々は北朝鮮への原油供給中断のように北朝鮮を強く圧迫して金正恩(キム・ジョンウン)政権を交渉の場に誘い出すことを望んでいたが、期待に大きく及ばなかった。原油供給を中断するという習近平主席の確答を得るどころか、首脳会談でその話さえ取り出せなかったというから開いた口が塞がらない。ここに冷遇の是非や一人飯論争、中国保安要員の取材記者暴行などで韓国の自尊心はこれ以上なく傷つけられた。

このような失敗は青瓦台が自らまねいた側面が大きい。平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)を控えて青瓦台は習主席を開幕式に呼び、これを契機に北朝鮮代表も出席させて和解ムードを作ろうとすることに汲々(きゅうきゅう)とする雰囲気だった。北核問題に中国が積極的に取り組むだろうと過信していた印象も消すことができなかった。このため、南京大虐殺80年行事で習主席が北京を空けることを知りながら、青瓦台が文大統領の中国行きを強行したとも言われている。

今回の訪中を決算しながら、青瓦台は中国専門家の指摘を骨身にしみるほど真剣に聞き入れるべきではないか。「いい加減な訪中で韓国は日米の信頼を失い、中国人に対する韓国人の心まで失った」「日米の目には文在寅政府が中国側に傾く『裏切り者』として、中国には双方の様子伺いをする『日和見主義者』のフレームに閉じ込められることになった」。一言で、「足し算外交」になるべき国賓訪問が「引き算外交」に転落してしまったということだ。


それでも文大統領の参謀陣、特に広報・外交ラインは「セルフ称賛」の真っ最中だ。「今回の首脳会談で韓国経済が0.2%ポイントさらに成長することになった」ととんでもなくアピールしたり、「報道機関と野党が誤ったフレームで事態を誤った方向に導いている」と非難の矛先を転じたりしている。特に記者暴行をめぐる親文陣営の対応は呆れるばかりだ。韓国取材陣が中国保安要員から集団暴行を受けたのに、親文ネットユーザーは「暴行されて当然だ」と罵倒した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)青瓦台の広報首席まで「中国警護員の集団暴行は正当防衛」と言い張って尻尾を巻いた。中国メディアはこのような国内の混乱を中継しながら韓国全体を嘲笑した。

我々は今回の訪中を契機に仮面の下に隠されていた中国の本当の姿をはっきり目撃した。青瓦台外交安保ラインが今回の外交惨事を噛み締めて教訓を得るならまだ幸いだ。もし日米との安保協力の連帯を遅らせる代わりに中国との連帯を強化して北東アジア平和を引き出すというのが現政権の構想なら、その夢から早く目覚めなければならない。中国は自身の利益のためなら相互尊重のような普遍的な価値までも簡単に放り投げるという現実を我々は目撃した。これからは中国の存在を無視してもいけないが、はかない幻想を持ってもいけない。



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