２０１１年５月、豆満江（トゥマンガン）を渡った金正日（キム・ジョンイル）総書記が江蘇省揚州の迎賓館で２泊間の日程を送った。揚州にある間、金正日らの動線は徹底して非公開となった。金正日は南京に行った後、迎賓館に入った。金正日は１号建物の首芳園で泊まった。首芳園すぐ隣の２号建物である舒芳園には王家瑞元対外連絡部長が滞留したことがあると職員は耳打ちした。

王元部長は金正日の全日程を密着遂行した。中国共産党が政府機構より優位にある中国で連絡部長は外交部長より序列が高い。このような政治システムを採択した国が北朝鮮・ベトナムなどあまり残っていないため注目されていないが、党総書記の対北朝鮮通が抜擢される核心要職だ。歴代平壌（ピョンヤン）の中国大使も相当数が連絡部の高位幹部だった。

習近平国家主席の特使として３泊４日間平壌を訪問した宋涛部長が自国に帰ると、中国国際航空は平壌就航を中断した。習主席の親書を持って行った宋部長が金正恩労働党委員長と会えなかったという見方が多い。習近平と金正恩の人的ホットライン構築の試みは水の泡になった姿だ。連絡部長の役割と地位を考慮する時、一回性の伝令でなく中朝関係特有の緊密な公式ラインを取り戻そうという習主席の求愛だった。


先月、平壌を訪問したニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）のコラムニスト、ニコラス・クリストファーは「北朝鮮の官僚が孔鉉佑中国外交部部長補佐（次官補級）の北朝鮮訪問を断った」とし「どのような話をするのかよく分かっており、そのため来る必要がないと話した」と伝えた。宋部長に吹いた冷たい風が突然やってきたものではないわけだ。

習近平が感じる困惑は性質が違う。執権２期を迎えた習近平は陸上と海上シルクロードという二本柱で西進ドライブをかけている。該当地域国家は対北朝鮮制裁を働きかける米国に左右され、伝統的影響圏と認識されていた北朝鮮からチャイナパッシングをされている中国を鋭意注視しているためだ。

中国役割論が底をついた以上、今後の状況展開は米朝構図に絞られる可能性が大きい。大気圏の再進入など高度化した大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）技術を立証しなければならない金正恩は時間に追われている。制限的北爆とレジームチェンジの恐怖を抱えて行う高度な心理戦だ。中間にブローカーを送るほど、暇な状況でないと見ているようだ。中国まで抜いたところで、運転席側によそ見をしそうでないということだ。政府の外交資産を注ぐべき方向は金正恩がすでに決めてしまったわけだ。

チョン・ヨンファン／政治部次長