文在寅（ムン・ジェイン）大統領が米ニューヨークで開催される国連総会に出席するため今日出国する。ニューヨークに向かう文大統領の足取りはいつよりも重いはずだ。北朝鮮の相次ぐ重大な挑発で国際社会の懸念はピークに達している。北朝鮮は国連の制裁をあざ笑うかのようにグアムまでの距離を超える中長距離弾道ミサイル（ＩＲＢＭ）「火星１２」を先週発射し、実戦配備に入った。北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）労働党委員長は一昨日、「核武力完成がほぼ終着点に来た」「軍事的攻撃能力を質的に高めていく」と述べた。こうした状況で文大統領に与えられた最初の訪米課題は、北核解決のための国際社会の協力、そして韓米首脳会談を通じた韓米同盟の強化を引き出すことだ。

韓半島は北朝鮮の執拗かつ狂的な核・ミサイル挑発でさらに厳しい状況になっている。北朝鮮の朝鮮中央通信が一昨日報じた「各種核弾頭を実戦配備し、全力を尽くして決着をつけなければいけない」という金委員長の発言が戯言として聞こえないほどだ。これに対しトランプ米大統領は１５日、ワシントン付近のアンドルーズ空軍基地を訪問し、「（ステルス戦闘機）Ｆ－３５エンジンの轟音を敵が聞けば審判の日が来たことを知るだろう」とし「敵を粉砕することができる」と緊張度を高めた。米国家安保会議（ＮＳＣ）のマクマスター補佐官も同日、ホワイトハウスでの記者会見で「対北朝鮮軍事オプションを排除しない」という立場を明らかにした。金委員長が述べたように北朝鮮が近く核を配備すれば、韓半島で最悪の状況が発生するかもしれない。

こうした状況で野党議員が訪米して戦術核再配備を要求したことに対し、米国務省からは「（米国の）核の傘を信じてほしい。戦術核の配備は難しい」という答弁を聞いた。しかし北朝鮮と中国に圧力を加える効果があると評価する。「韓半島（朝鮮半島）のどの地域にも核兵器を配備すべきでない」という崔天凱駐米中国大使の最近の発言からは、韓半島への戦術核再配備に対する中国の内心を読み取ることができる。戦術核再配備イシューは中国に負担を与え、北朝鮮を非核化側に傾かせるカードとして活用することができる。このような点から文大統領が海外メディアのインタビューで戦術核再配備カードを切り捨てたのは残念だ。


一触即発の局面に進む韓半島の安保危機で最も重要なのは韓国と米国の強固な同盟体制だ。北核危機は韓半島を１９５０年の韓国戦争（朝鮮戦争）当時と似た状況に向かわせている。韓米は過去のような血盟に戻り、ひとまず危機を克服することが先だ。その後に北朝鮮と対話して平和統一の努力もできる。文大統領の訪米目的もここにある。文大統領は昨日、トランプ大統領との電話会談で「北の挑発に効果的に対応するには韓米連合防衛能力の強化が必要だ」という認識で一致したという。今回の国連総会と韓米首脳会談でこれを含む多くの安保成果を出すことを期待したい。