「崖っぷちの危機のKAI、再起のゴールデンタイム逃すのか」
最近の中央日報経済面トップ記事の見出しだ。記事内容の通り監査院のスリオンの監査結果発表と検察の韓国航空宇宙産業(KAI)経営不正捜査がかみ合わさり「スリオンは防衛産業不正」という認識が拡散している。輸出交渉にもブレーキがかかった。弱り目にたたり目でKAIの経営難を収拾しなければならないKAI社長は1カ月以上にわたり空席だ。
監査院が発表した内容はすでに数年前から提起されていた問題で、現在大部分は改善された状態だ。議論になるのは「まだ体系結氷立証試験を通過できていないスリオンを運用しても大丈夫なのか」という点だ。体系結氷とは低温の暗雲の中のような結氷環境で飛行する時に航空機に氷が付く現象だ。スリオンは過去の結氷試験時にエンジン空気吸入口、エンジン冷却ダクト、電線切断機で許容量を超える着氷現象が発生し101項目のうち29項目で未立証判定を受けた。
体系結氷試験は機体に着氷が発生し一寸先も見えない危険な環境で行われるため、航空機の安全性が確保された開発終了後に実行することになる。自然結氷試験は冬季の特殊な条件だけで実施でき、見つかった問題点は改善した後に少なくとも次年度の同一気象条件で再試験しなければならないため通常2~5年かかる。
それなら体系結氷能力を備えていない航空機はどのように運用しなければならないだろうか? 現在韓国軍のヘリコプターのうち、UH-60とAH-64を除いたUH-1H、500MD、AH-1Sなどは結氷防止能力を持っていない。一般的に結氷地域に遭遇する場合には避けることが原則であり、スリオンも基本回避能力はすでに立証され、「承認された範囲内での運用時の飛行安全性確保は可能」という判定を受けた。スリオンは2018年3月まで再び体系結氷試験を遂行する計画だ。こうした内容を詳しく知らない大多数の国民はスリオンが冬季に飛べないいい加減なものであり、防衛事業庁は不良品の納品を受けて承認したものと誤解しているのだ。
韓国はまだ航空機開発経験が不足している。KT-1、T-50のような固定翼機の場合100機以上、数兆ウォン相当を輸出までしているのに対し回転翼機の開発はスリオンが初めてだった。世界最強のヘリコプターに挙げられるアパッチも開発されてから30年が過ぎたが継続して問題が発生する。わずか6年で、しかも初めて試みるヘリコプター開発を完璧に終わらせるのは不可能だ。大小の技術的問題が発生するのはあるいは当然だ。こうした事実を監査院が不正を見つけたかのように指摘したのだ。
スリオンはまだ名品ではないが名品に向かう旅程にある。時間と努力が必要だ。実際に運用して発生する問題を解決し補完して韓国だけの先端技術として定着させなければならない。
イ・ギョンテ/世宗(セジョン)大学機械航空宇宙工学部教授
最近の中央日報経済面トップ記事の見出しだ。記事内容の通り監査院のスリオンの監査結果発表と検察の韓国航空宇宙産業(KAI)経営不正捜査がかみ合わさり「スリオンは防衛産業不正」という認識が拡散している。輸出交渉にもブレーキがかかった。弱り目にたたり目でKAIの経営難を収拾しなければならないKAI社長は1カ月以上にわたり空席だ。
監査院が発表した内容はすでに数年前から提起されていた問題で、現在大部分は改善された状態だ。議論になるのは「まだ体系結氷立証試験を通過できていないスリオンを運用しても大丈夫なのか」という点だ。体系結氷とは低温の暗雲の中のような結氷環境で飛行する時に航空機に氷が付く現象だ。スリオンは過去の結氷試験時にエンジン空気吸入口、エンジン冷却ダクト、電線切断機で許容量を超える着氷現象が発生し101項目のうち29項目で未立証判定を受けた。
体系結氷試験は機体に着氷が発生し一寸先も見えない危険な環境で行われるため、航空機の安全性が確保された開発終了後に実行することになる。自然結氷試験は冬季の特殊な条件だけで実施でき、見つかった問題点は改善した後に少なくとも次年度の同一気象条件で再試験しなければならないため通常2~5年かかる。
それなら体系結氷能力を備えていない航空機はどのように運用しなければならないだろうか? 現在韓国軍のヘリコプターのうち、UH-60とAH-64を除いたUH-1H、500MD、AH-1Sなどは結氷防止能力を持っていない。一般的に結氷地域に遭遇する場合には避けることが原則であり、スリオンも基本回避能力はすでに立証され、「承認された範囲内での運用時の飛行安全性確保は可能」という判定を受けた。スリオンは2018年3月まで再び体系結氷試験を遂行する計画だ。こうした内容を詳しく知らない大多数の国民はスリオンが冬季に飛べないいい加減なものであり、防衛事業庁は不良品の納品を受けて承認したものと誤解しているのだ。
韓国はまだ航空機開発経験が不足している。KT-1、T-50のような固定翼機の場合100機以上、数兆ウォン相当を輸出までしているのに対し回転翼機の開発はスリオンが初めてだった。世界最強のヘリコプターに挙げられるアパッチも開発されてから30年が過ぎたが継続して問題が発生する。わずか6年で、しかも初めて試みるヘリコプター開発を完璧に終わらせるのは不可能だ。大小の技術的問題が発生するのはあるいは当然だ。こうした事実を監査院が不正を見つけたかのように指摘したのだ。
スリオンはまだ名品ではないが名品に向かう旅程にある。時間と努力が必要だ。実際に運用して発生する問題を解決し補完して韓国だけの先端技術として定着させなければならない。
イ・ギョンテ/世宗(セジョン)大学機械航空宇宙工学部教授
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