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【時論】最低賃金のジレンマを解決するには=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
賽は投げられた。類を見ない実験が始まったのだ。最低賃金16.4%引き上げ、時給7530ウォン(約742円)、最低賃金の広幅い引き上げだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「雇用大統領」として2020年までに最低賃金1万ウォンを実現すると約束し、最初の段階を成功裏に定着させた。最低賃金の引き上げは内需刺激と人間らしい生活の実現に向けた基本前提という、いわゆる所得主導成長論の核心政策だ。

全体勤労者の17.4%が最低賃金を受けており、低賃金労働者の割合は経済協力開発機構(OECD)加盟国26カ国の中で3位と相当高い。これに中位所得50%以下の階層が全体人口で占める割合を示す相対的貧困率も高まっている。韓国経済の両極化がどれほど進んでいるかを示す指標だ。最低賃金の引き上げは低賃金部門に従事する労働者たちの所得水準を高めて所得格差を縮め、内需を刺激することに貢献できるという点を考慮した。最低時給が7530ウォンになる来年には勤労者の最低賃金が今より月22万ウォン程度上がり、最低時給が1万ウォンに引き上げられれば月74万ウォン程度上がる。

だが、最低賃金の広幅引き上げが経済に及ぼす影響は未知数だ。最低、賃上げが市場をかく乱させる賃金ダンピングを抑制することで自営業者の競争力を高め、高齢貧困層の減少に寄与するという肯定的見解がある。反面、最低賃金の引き上げが今と同様なスピードと幅で行われる場合、零細自営業者の経営難が深刻化するしかないという否定的見解もある。従業員を雇用する自営業者のうち49%が年間売り上げ3億ウォン以下の零細自営業者に属している。2013年、中小企業庁資料によると、自営業者の平均営業利益は月187万ウォンで、彼らの27%は100万ウォンを超えない。


最低賃金の広幅引き上げが労働市場と雇用にいかなる影響を及ぼすかは論争中だ。一部では、過去の最低賃金引き上げの事例を挙げ、最低賃金の引き上げが雇用に及ぼす影響は大きくないと主張している。一方、中小企業中央会は最低賃金の引き上げにより、来年の追加人件費が15兆2000億ウォンに達し、最低賃金の引き上げ具合が速いほど雇用が減る可能性があると警告した。政府も最低賃金の広幅い引き上げにともなう否定的側面を否定していない。最低賃金の引き上げが決まるやいなや企画財政部長官が中小企業に対する追加人件費3兆ウォンの財政支援を約束したことからも分かる。「雇用大統領」を自認した文在寅政府としては、最低賃金の引き上げで雇用が減らないように気を遣っている様子だ。しかし、財政支援が持続的に行われるかどうかは不透明だ。最低賃金の引き上げによって発生した零細自営業者の人件費損失を軽減するために、国家補助金を支援するのは納税者の負担増加と市場経済に対する国家の役割拡大を意味する。キム・サンジョ公正取引委員長が財政支援を一時的措置だと釘をさしたのもこの点を懸念したためだろう。



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