高高度ミサイル防衛(THAAD)体系は敵が発射した弾道ミサイルを途中で攻撃して無力化する防御用武器だ。レーダーで敵のミサイルを探知して追跡し、最適の瞬間に迎撃ミサイルを発射して2つのミサイルを衝突させる「直撃(hit-to-kill)」方式だ。音速の8.2倍(秒速2.8キロメートル)で飛行する迎撃ミサイルが同じ速度で飛んでくる敵のミサイルと衝突すれば300MJ(メガジュール)という大きな運動エネルギーが発生する。1トンの自動車が時速160キロメートルでぶつかった時に発生するエネルギーが1MJだ。THAADの迎撃ミサイルはX-バンドレーダーの誘導とミサイルに搭載されている赤外線探索器に支えられて敵のミサイルの弾頭を正確に攻撃する。その時に発生するエネルギーと高熱により、弾頭は完全に分解されて粉になるか、溶けてしまう。
北朝鮮による核とミサイル脅威に対抗して在韓米軍が搬入したTHAADが絶えず論争の火種になっている。軍事技術的な意味を越えて国際政治的問題に飛び火し、国内では賛否両論が対抗しながら保守・進歩間の理念対決に広まっている。一つの武器体系に過ぎないTHAADのせいで南南葛藤が広がり、韓中関係と韓米同盟が動揺しているのは本末転倒のナンセンスだ。安保のために配備したTHAADのせいでむしろ安保が揺れている。正確な判断に基づき、政府が責任感を持って最初からちゃんと対応できたとすれば、不必要な問題と消耗的な論争を防ぐか減らすことができたはずだ。THAAD問題は政府の決定障害と軍当局の疎通の不在がもたらした惨事だ。政府の無能さと無責任のせいでTHAADは「怪物」に変わって尻尾が胴を揺さぶっている。
慶尚北道星州郡草田面韶成里(キョンサンブクド・ソンジュグン・チョジョンミョン・ソソンリ)。高さ680メートルの達摩山(タルマサン)に位置した田舎の村だ。金泉(キムチョン)・亀尾(クミ)KTX駅から18キロメートル。タクシーで20分余りの距離だ。2.5キロメートルの村の進入路両側に赤い旗が列を成してかかっている。「THAAD反対」「THAAD撤回」という文字が鮮明だ。「この地域は平和区域であるため、THAAD関連装備および人材の出入り自体を禁じる」と書かれた立て札が村の入り口にある保健診療所の前に立てられている。「これを破る時、発生するすべての責任は朴槿恵(パク・クネ)、黄教安(ファン・ギョアン)、韓民求(ハン・ミング)、金寛鎮(キム・グァンジン)にある。韶成里長および村の住民一同」という文章も見える。円仏教の星州聖地守護非常対策委員会、星州闘争委員会、金泉対策委員会も立て札に名を連ねた。
「槿恵は刑務所に行った。THAADも米国へ行け」「不法THAAD要らない。私たちは平和を望む」「全く必要ない。さっさとどけ。THAAD配備を猛烈に反対する」「THAADは米国へ、積弊は刑務所へ、この土地には平和を」…。村の所々に垂れ幕が競い合っているかのようにかかっている。
約70世帯、100人余りが集まって住んでいる静かな農村の村。6・25韓国戦争の被害もなかったという小さい村が突然、全国から人々が集まる煩雑な町に変わった。昨年9月、達摩山のふもとに位置したロッテ星州ゴルフ場がTHAAD配備の敷地に確定されて起きた変化だ。特に、4月26日明け方、8000人余りの警察が村を取り囲んだ中、奇襲的にTHAAD装備がゴルフ場に搬入されて以来、韶成里はTHAAD反対闘争の「聖所」になった。最近では、THAAD配備に賛成する極右保守陣営のデモ隊が集まり、韶成里は賛否勢力が衝突する葛藤の「熱点」に変わっている。
「せめて町に工場を建てるといっても住民に説明して了解を求める手順を踏むのではないですか?」10代にかけてこの村に住んでいるという韶成里長のイ・ソクジュさん(64)は「政府がTHAADを不法配備することで韶成里は法の保護を受けられない町になった」と怒りをぶつけた。イさんは「10年前、ロッテゴルフ場が建てられた時もそこまではしなかった」とし、「その時は住民たちがほぼゴルフ場に常住しながら環境汚染の監視に徹底した」と話した。
住民たちはゴルフ場に通じる道路側にテーブルを置いて通りかかっている車両を確認している。THAAD関連装備の追加搬入とTHAAD装備の「不法稼働」を防ぐためにやむを得ない措置という主張だ。陸路が遮られると、米軍は「空輸作戦」を展開している。発電用油類などTHAAD装備の運営に必要な物資を積んだCH-47が轟音を出しながら村の上空を随時飛行している。
【コラム】韓国のTHAAD問題は政府の決定障害욂疎通の不在がもたらした惨事(2)
北朝鮮による核とミサイル脅威に対抗して在韓米軍が搬入したTHAADが絶えず論争の火種になっている。軍事技術的な意味を越えて国際政治的問題に飛び火し、国内では賛否両論が対抗しながら保守・進歩間の理念対決に広まっている。一つの武器体系に過ぎないTHAADのせいで南南葛藤が広がり、韓中関係と韓米同盟が動揺しているのは本末転倒のナンセンスだ。安保のために配備したTHAADのせいでむしろ安保が揺れている。正確な判断に基づき、政府が責任感を持って最初からちゃんと対応できたとすれば、不必要な問題と消耗的な論争を防ぐか減らすことができたはずだ。THAAD問題は政府の決定障害と軍当局の疎通の不在がもたらした惨事だ。政府の無能さと無責任のせいでTHAADは「怪物」に変わって尻尾が胴を揺さぶっている。
慶尚北道星州郡草田面韶成里(キョンサンブクド・ソンジュグン・チョジョンミョン・ソソンリ)。高さ680メートルの達摩山(タルマサン)に位置した田舎の村だ。金泉(キムチョン)・亀尾(クミ)KTX駅から18キロメートル。タクシーで20分余りの距離だ。2.5キロメートルの村の進入路両側に赤い旗が列を成してかかっている。「THAAD反対」「THAAD撤回」という文字が鮮明だ。「この地域は平和区域であるため、THAAD関連装備および人材の出入り自体を禁じる」と書かれた立て札が村の入り口にある保健診療所の前に立てられている。「これを破る時、発生するすべての責任は朴槿恵(パク・クネ)、黄教安(ファン・ギョアン)、韓民求(ハン・ミング)、金寛鎮(キム・グァンジン)にある。韶成里長および村の住民一同」という文章も見える。円仏教の星州聖地守護非常対策委員会、星州闘争委員会、金泉対策委員会も立て札に名を連ねた。
「槿恵は刑務所に行った。THAADも米国へ行け」「不法THAAD要らない。私たちは平和を望む」「全く必要ない。さっさとどけ。THAAD配備を猛烈に反対する」「THAADは米国へ、積弊は刑務所へ、この土地には平和を」…。村の所々に垂れ幕が競い合っているかのようにかかっている。
約70世帯、100人余りが集まって住んでいる静かな農村の村。6・25韓国戦争の被害もなかったという小さい村が突然、全国から人々が集まる煩雑な町に変わった。昨年9月、達摩山のふもとに位置したロッテ星州ゴルフ場がTHAAD配備の敷地に確定されて起きた変化だ。特に、4月26日明け方、8000人余りの警察が村を取り囲んだ中、奇襲的にTHAAD装備がゴルフ場に搬入されて以来、韶成里はTHAAD反対闘争の「聖所」になった。最近では、THAAD配備に賛成する極右保守陣営のデモ隊が集まり、韶成里は賛否勢力が衝突する葛藤の「熱点」に変わっている。
「せめて町に工場を建てるといっても住民に説明して了解を求める手順を踏むのではないですか?」10代にかけてこの村に住んでいるという韶成里長のイ・ソクジュさん(64)は「政府がTHAADを不法配備することで韶成里は法の保護を受けられない町になった」と怒りをぶつけた。イさんは「10年前、ロッテゴルフ場が建てられた時もそこまではしなかった」とし、「その時は住民たちがほぼゴルフ場に常住しながら環境汚染の監視に徹底した」と話した。
住民たちはゴルフ場に通じる道路側にテーブルを置いて通りかかっている車両を確認している。THAAD関連装備の追加搬入とTHAAD装備の「不法稼働」を防ぐためにやむを得ない措置という主張だ。陸路が遮られると、米軍は「空輸作戦」を展開している。発電用油類などTHAAD装備の運営に必要な物資を積んだCH-47が轟音を出しながら村の上空を随時飛行している。
【コラム】韓国のTHAAD問題は政府の決定障害욂疎通の不在がもたらした惨事(2)
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