50代半ばという年齢、米国は初めての旅だった。9・11テロで反イスラム感情が広まった米国社会はいつになくピリピリしていた。レヴィは親米/反米の二分法をやめた。欧州の子孫が欧州を支配しようとする米国の傲慢、戦争を文明史的ミッションとして美化する思想的欠陥を一旦閉じた。すると風景が目に飛び込んできた。砂漠と草原を横切る物寂しい道路、摩天楼にきらめく都市、臨時村落やインディアン保護区域、夕陽に輝くスカイライン。その中に無限自由を求めて生きている各様各色の人間たち、作家と芸術家、政治家、ハリウッドスター、マイノリティ、何かに取り憑かれたような狂信徒の巨大なスペクタクルが繰り広げられていた。レヴィは米国を映し出す風景にめまいを感じた。『アメリカの眩暈(American Vertigo)』、レヴィが書いた米国旅行記のタイトルだ。
「米国は千に分かれる道を隠した森だ」。イラク侵攻もひとつの道、原理主義と人種主義もひとつの道であるに過ぎない。米国の全盛期は過ぎたが、それでも帝国の威容を備えていることをレヴィは目撃した。米国は境界と限界がなく、核心もない老いぼれた帝国になったが、どの国もはとにかく足を入れないわけにはいかないと結論付けた。それは千に分かれる道が収束する一つの点、米国の価値である自由民主主義のためだ。
【コラム】帝国のオーディション…米国と中国の間に置かれた韓国(2)
「米国は千に分かれる道を隠した森だ」。イラク侵攻もひとつの道、原理主義と人種主義もひとつの道であるに過ぎない。米国の全盛期は過ぎたが、それでも帝国の威容を備えていることをレヴィは目撃した。米国は境界と限界がなく、核心もない老いぼれた帝国になったが、どの国もはとにかく足を入れないわけにはいかないと結論付けた。それは千に分かれる道が収束する一つの点、米国の価値である自由民主主義のためだ。
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