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【コラム】金正男氏暗殺で大きな代価を払う北朝鮮(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件は言うまでもなく、国際的に大きな関心を集めた。B級映画でありそうな事件だが、外交的波紋は深刻かつ長期的に続くだろう。先月12日、ミサイル発射実験、トランプ政府と中国との厳しい関係が重なった今回の悪材料で北朝鮮の立場はより不安になっている。

北朝鮮の暗殺組が金正男氏に猛毒の神経剤「VX」を使ったのは、おそらく実行上の理由だっただろう。彼らがマレーシアで、そして空港で潜入するためにはスキャナに認識されない兵器が必要だった。そのため、銃や刃物は排除される。ばれないように迅速に実行する必要がある暗殺組に最小量だけでも効果的なVXは、良い選択肢だっただろう。しかし、VXを使うのは相当な政治的費用が伴われる。VXの破壊力は物すごい。北朝鮮を含めた少数を除いた多くの国家は1997年、化学兵器の使用はもちろん保有を禁じる化学兵器禁止条約(CWC)を批准した。そのため、戦場ですら使いにくいVXを人々で混み合う空港で使うというのは、広い範囲での恐怖や非難をもたらす行為だ。

金正男氏を殺害した時期も問題だ。暗殺は北朝鮮が固体燃料を使ったミサイルの発射で国際社会を挑発した翌日に行われた。このような相次いだ挑発は、累積効果を高めて北朝鮮が直面してきた反応よりもっと厳しい反応をもたらしかねない。


北朝鮮が大きな代価を払う最後の理由は2人の外国人女性を利用したという点だ。北朝鮮の暗殺組はたいてい外部の人を排除するが、今回従来のパターンを変えた理由は明らかになっていない。理由がどうであれ、2人の女性を利用したのは大きな間違いだった。最初に、訓練も受けていない彼女らはすぐマレーシア警察に逮捕されて殺人疑惑で起訴された。有罪判決を下されれば、絞首刑に処される危機に直面した彼女らは寛大な処分を受けるために捜査に最大限協力するだろう。第二に、彼女らはストリッパーや売春婦として働いていた弱者(アンダードッグ)という点だ。不安な顔で全世界のメディアを飾った2人の女性に対する同情心が彼女らを巧みにおびき出した北朝鮮に対する反感につながっている。最後に、2人がそれぞれインドネシアとベトナム国籍の人という点だ。そのため、現在両国が事件に介入している。北朝鮮が巧妙に自国民を利用したということに不快感を覚えているだろう。

このような要因だけでなく、北朝鮮の事後対応も事態を悪化させている。マレーシアはビザなしで入国が可能な北朝鮮のいくつにもならない友好国だった。暗殺する数日か前には、北朝鮮と文化協力の協定を結んだ。最初にマレーシアは忍耐強く対応した。しかし、北朝鮮は金正男氏の遺体を引き渡してほしいと要求し、解剖検査も防ごうとした。韓国政府と結託したとマレーシア政府を非難したこともある。マレーシアの忍耐心はまもなく限界に達した。北朝鮮が混雑した空港ターミナルで致命的な神経作用剤を使ったということを認知した時だった。2週間で両国の関係は破局に達した。マレーシア政府は駐平壌(ピョンヤン)大使を撤収させ、マレーシア外相は北朝鮮の大使を追放すると言及した。副首相は両国関係の見直しを指示した。

事件後、北朝鮮がマレーシア側にこの残念な事件を解決することに協力すると述べ、近い親戚が遺体を引き取るようにクアラルンプールに来てほしいというマレーシアの要請に従ったなら、このような被害は防ぐことができただろう。だが、北朝鮮はそのような行動をしていない。代わりに脅して脅迫している。さらに、安置所から遺体を奪取しようとした。非常に挑発的な行動だった。北朝鮮はいくら残酷に聞こえるといっても一つの歌しか歌おうとしない。

しかし、北朝鮮がマレーシアとぎくしゃくした関係になることで被った被害は、中国を怒らせて被った被害に比べると微々たる水準だ。中国は、北朝鮮の唯一の同盟国であり、主要な講演者だ。金正男氏は中国の保護を受けたこともある重要な存在だった。したがって、金氏を暗殺することは中国のプライドに対する侮辱だった。そして、中国は空港でVXを使ったように安全に問題が生ずる状況を望んでいない。さらに、中国は金正男氏暗殺前日にあったミサイル発射ですでに不快感を覚えていた。事件発生4日後には、トランプ政府のレックス・ティラーソン新任国務長官と中国王毅外相が北朝鮮について意見を交換した。詳しい内容は公開されていないが、ティラーソン氏は北朝鮮政権に向かった強力な措置を中国側に働きかけただろう。



【コラム】金正男氏暗殺で大きな代価を払う北朝鮮(2)

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