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【中央時評】金正恩委員長はなぜ残忍なのか(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
最近、時代を知るために指導者の精神状態を見なければいけないという話をよく聞く。ある大統領がおかしいのは過去のトラウマのためであり、ある大統領は長期にわたり不動産事業をしたからそうなったということだ。このような解釈は直観的で明快だ。しかし問題は指導者の選択をすでに固まった性格と結びつける瞬間、前向きな目的のための努力自体を放棄することになりかねない。

世界で最も予測しにくく危険な人物は金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長だろう。自分の叔母の夫を処刑したうえ、今度は異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏を暗殺したという証拠が出てきている。その間100人以上の幹部を処刑し、軍幹部の階級章を外しては付けることを趣味のように繰り返す。こういう人物が統治する北朝鮮は核実験を5回もし、大陸間弾道ミサイルが完成する日も遠くはないようだ。さらに核先制攻撃も可能と言って脅迫する。メディアはあたかも「狂人」が核爆弾を握って揺さぶるように金正恩委員長を描写したりもする。

金正恩委員長は残忍だ。しかし狂人ではない。残忍な性格を統制できず国を食い尽くす可能性が見えたとすれば、父が彼を後継者にしなかっただろう。そして経済政策だけをみると全くのでたらめではない。金正日(キム・ジョンイル)総書記の時とは違って市場活動も認め、むしろこれを利用して税収を増やす瞬発力を見せたりもする。なら、金正恩委員長の精神的欠陥が残忍性につながり、これが北朝鮮を不安定にさせるという解釈には無理がある。これは我々の対北朝鮮政策を一つの方向に追い込む誤った結果につながりかねない。


残忍は彼の選択だ。金正恩委員長は残忍な性格を持つが、さらに重要なのはこれを権力の維持に合理的に利用することができるという点だ。おそらくそのために権力の座を受け継いだだろう。いわゆる計算された残忍、残忍な合理性だ。では、彼は何のために合理的に行動するのか。当然、権力の維持だ。スターリンがそうだった。スターリンはソ連の人口の5%以上を殺すよう命令したり死亡する政策を進めた。1937-38年には70万人の一般人を処刑した。これ自体を見ると「狂った行為」だが、スターリンには権力維持のために極めて正常な行為だったのだろう。スターリンに関する秘密記録を検討した最近の研究は、彼も権力維持という観点では極めて合理的な独裁者だったという点を明らかにしている。



【中央時評】金正恩委員長はなぜ残忍なのか(2)

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