大統領が保身に入った。他の手がないなら、あと最長465日、大統領としてお仕えしなくては(?)ならない。その間、大韓民国はどうなるだろうか。経済記者の本能とも言えようか。まずは数字で確かめてみたいと思った。「ろうそくデモの社会的費用」から推算してみるべきだろう。その前に国策・官辺研究所に連絡した。予想していた答えが返ってきた。「素晴らしいアイデアだがわれわれができることではないのではないか」として首を横に振った。何カ所に尋ね回ってみたがあきらめた。計量モデルによって変わるので、正確な数字を算出するのは簡単ではなかったためだ。
2008年BSE(牛海綿状脳症)ろうそく集会の時と比較してみることにした。当時、韓国経済研究院(韓経研)は「ろうそくデモの社会的費用」を細かくまとめて本としても出版した。直接被害費用6685億ウォン(現レートで約637億円)+国家的損失1兆9228億ウォン=合計2兆5913億ウォンだった。デモは5月2日から7月1日まで61日間続いたが、全国で計1736回開かれ、参加人員77万3794人、動員された警察兵力は105万6060人だった(警察推算)。直接被害費用には全国民主労働組合総連盟(民主労総)のストライキに伴う生産損失356億ウォン、警察力動員に伴う公共支出585億ウォンが含まれた。国家的損失には社会不安によってマクロ経済が払った費用1兆3520億ウォンと公共改革遅延に伴う費用5707億ウォンが加えられた。交通統制に伴う損失とデモ近隣商店の営業支障は含まれているが国民の心理的負担費用などは除外されている。当時、韓経研は「デモが1年間持続した場合、直接被害を除く社会的費用だけで7兆ウォンを越える」と予想した。デモの規模が拡大し期間が長期化すればするほど、国政空白に伴う国家の損失も雪だるま式に増えるということだ。
崔順実(チェ・スンシル)のろうそく集会の場合はどうだろうか。先月29日の清渓(チョンゲ)広場から始まったデモ参加者は警察の推算でもすでに100万を越えた。今週末だけで200万~300が集まるとも言われている。大統領がこのまま保身を続け、劇的な解決策が出てこないなら、ろうそくは幾何級数的に増えることも考えられる。週末デモは平日デモに拡散するだろうし、物理的衝突が起きるかもしれない。このような混乱が1年以上続けば、韓国社会が負うべき費用も幾何級数的に増えるだろう。8年前のろうそくデモ費用の研究を主導した韓経研側は「ろうそくデモの性格が違う」とし「推算しにくい」と話した。H研究所関係者は2008年と同じものさしで測った場合、「ざっと10兆ウォン以上、数十兆ウォンの費用がかかるだろう」と見ている。
社会的費用は2008年と比較できないほど増えるだろう。内外の経済環境が当時と比べてはるかに悪いためだ。まず、野党議員数が与党を上回る「与少野多」国会、大統領が保身に走れば走るほど行政と議会権力は別々に空回りするほかない。協力政治と和合は失踪して、反目と対立だけが残るだろう。経済を破壊するにはまたとない良い条件だ。すでに兆しは見え始めている。国会が「崔順実予算」としながら「創造」「文化」がついた予算を無差別的に削減していることで創業生態系も枯れつつある。労働改革4法は、事実上、廃棄された。400兆ウォンの来年度予算案審議も上の空だ。このため来年の経済展望はさらに暗鬱だ。企画財政部まで2%台の低成長見通しを検討中という。朴政府に入って初めてだ。
海外事情はもっと良くない。「トランプ恐怖」の手が韓国経済の中まで及んでいる。金利は垂直上昇、ウォンの価値は自由落下中だ。家計負債と為替市場、同時大乱が押し寄せる可能性もあるということだ。庶民家計が没落し、手持ちのドルが足りないために日本や米国に通貨スワップ交渉を“もの乞い”する最悪の局面を迎える可能性もある。その時は防衛費分担額を引き上げ、韓米自由貿易協定(FTA)も再協議し、慰安婦少女像まで撤去しなければならなくなるかもしれない。
朴槿恵大統領が残り465日の任期にこのまましがみつくなら、社会的費用はざっと10兆ウォン、一日215億ウォンがかかる。国民の精神的ショック、「順実症」の治療費用まで加えればその額は計り知れない。大統領一人のために支払う費用としては高くつきすぎる。国をめちゃくちゃにしたくないなら大統領が勇断を下さなければならない。だが心配だ。悪人猛々しく、屁を放ったXがご立腹だと大統領が逆に興奮するようなことがあればどうしよう。「そうだ、なぜろうそくデモで国を崩壊させるのか」と言って。
イ・ジョンジェ論説委員
2008年BSE(牛海綿状脳症)ろうそく集会の時と比較してみることにした。当時、韓国経済研究院(韓経研)は「ろうそくデモの社会的費用」を細かくまとめて本としても出版した。直接被害費用6685億ウォン(現レートで約637億円)+国家的損失1兆9228億ウォン=合計2兆5913億ウォンだった。デモは5月2日から7月1日まで61日間続いたが、全国で計1736回開かれ、参加人員77万3794人、動員された警察兵力は105万6060人だった(警察推算)。直接被害費用には全国民主労働組合総連盟(民主労総)のストライキに伴う生産損失356億ウォン、警察力動員に伴う公共支出585億ウォンが含まれた。国家的損失には社会不安によってマクロ経済が払った費用1兆3520億ウォンと公共改革遅延に伴う費用5707億ウォンが加えられた。交通統制に伴う損失とデモ近隣商店の営業支障は含まれているが国民の心理的負担費用などは除外されている。当時、韓経研は「デモが1年間持続した場合、直接被害を除く社会的費用だけで7兆ウォンを越える」と予想した。デモの規模が拡大し期間が長期化すればするほど、国政空白に伴う国家の損失も雪だるま式に増えるということだ。
崔順実(チェ・スンシル)のろうそく集会の場合はどうだろうか。先月29日の清渓(チョンゲ)広場から始まったデモ参加者は警察の推算でもすでに100万を越えた。今週末だけで200万~300が集まるとも言われている。大統領がこのまま保身を続け、劇的な解決策が出てこないなら、ろうそくは幾何級数的に増えることも考えられる。週末デモは平日デモに拡散するだろうし、物理的衝突が起きるかもしれない。このような混乱が1年以上続けば、韓国社会が負うべき費用も幾何級数的に増えるだろう。8年前のろうそくデモ費用の研究を主導した韓経研側は「ろうそくデモの性格が違う」とし「推算しにくい」と話した。H研究所関係者は2008年と同じものさしで測った場合、「ざっと10兆ウォン以上、数十兆ウォンの費用がかかるだろう」と見ている。
社会的費用は2008年と比較できないほど増えるだろう。内外の経済環境が当時と比べてはるかに悪いためだ。まず、野党議員数が与党を上回る「与少野多」国会、大統領が保身に走れば走るほど行政と議会権力は別々に空回りするほかない。協力政治と和合は失踪して、反目と対立だけが残るだろう。経済を破壊するにはまたとない良い条件だ。すでに兆しは見え始めている。国会が「崔順実予算」としながら「創造」「文化」がついた予算を無差別的に削減していることで創業生態系も枯れつつある。労働改革4法は、事実上、廃棄された。400兆ウォンの来年度予算案審議も上の空だ。このため来年の経済展望はさらに暗鬱だ。企画財政部まで2%台の低成長見通しを検討中という。朴政府に入って初めてだ。
海外事情はもっと良くない。「トランプ恐怖」の手が韓国経済の中まで及んでいる。金利は垂直上昇、ウォンの価値は自由落下中だ。家計負債と為替市場、同時大乱が押し寄せる可能性もあるということだ。庶民家計が没落し、手持ちのドルが足りないために日本や米国に通貨スワップ交渉を“もの乞い”する最悪の局面を迎える可能性もある。その時は防衛費分担額を引き上げ、韓米自由貿易協定(FTA)も再協議し、慰安婦少女像まで撤去しなければならなくなるかもしれない。
朴槿恵大統領が残り465日の任期にこのまましがみつくなら、社会的費用はざっと10兆ウォン、一日215億ウォンがかかる。国民の精神的ショック、「順実症」の治療費用まで加えればその額は計り知れない。大統領一人のために支払う費用としては高くつきすぎる。国をめちゃくちゃにしたくないなら大統領が勇断を下さなければならない。だが心配だ。悪人猛々しく、屁を放ったXがご立腹だと大統領が逆に興奮するようなことがあればどうしよう。「そうだ、なぜろうそくデモで国を崩壊させるのか」と言って。
イ・ジョンジェ論説委員
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