悪夢が現実になった。昨日終わった米国大統領選挙でドナルド・トランプ共和党候補が民主党のヒラリー・クリントン候補を抑えて第45代米大統領に当選した。公職経験が一度もない政治アウトサイダーが世界最強大国の米国の次期大統領になったのは常識と通念を破る大異変だ。財閥トップでわいせつな言動と毒舌、奇行を繰り返したトランプ氏が合衆国の最高指導者に選出されたのは「ブレグジット(英国のEU離脱)」とは比較にならない大事件だ。
「黒い白鳥(Black Swan)」のようなトランプ氏の勝利は、政界に対する米国有権者の不信感がどれほど大きく深いかを克明に表した。新自由主義とグローバル化の波で流され、恩恵から疎外された低学歴・低賃金白人勤労者階層の積もった不満が、トランプ氏という「異端児」を通じて革命のように爆発した様相だ。庶民の心を正確に読み取れない主流政界と主流メディアの盲点もそのまま表れた。1人1票に立脚した手続きを踏んだ民主主義の限界と西欧式民主主義の危機をめぐる論争がさらに激しくなるしかない。
クリントン氏の当選を期待した全世界が大きな衝撃に包まれ、当惑している。第2次世界大戦後に維持されてきた米国中心の政治・経済秩序の不確実性が高まり、世界はこの先を予想するのが難しい混沌に陥った。トランプ氏は「米国優先主義(America First)」を主張し、新孤立主義と保護主義的な性向を見せてきた。その波紋がどこまで及び、どこに飛び火するのか予測しがたい。
特に韓国は今、国内政治的に未曾有の危機状況を迎えている。大統領の国基紊乱と秘線国政壟断スキャンダルの「朴槿恵(パク・クネ)・崔順実(チェ・スンシル)ゲート」のため事実上の国政まひ状態だ。トランプ氏の当選という外部の変数までが重なり、韓国はまさに「内憂外患」の二重の危機に直面することになった。
尹炳世(ユン・ビョンセ)外交長官はトランプ氏が当選しても韓米同盟を重視する基調に変わりはないと述べたが、楽観はできない。ビジネスマン出身らしくトランプ氏は同盟関係にも損益を基準とし、防衛費分担金の大幅引き上げ要求が受け入れられなければ同盟関係を見直すという立場だ。米国がシステムで動く国であり、上下院を掌握した共和党に主流政治家が布陣しているとしても、大統領の認識は政策に影響を及ぼす。韓米同盟の動揺の可能性を懸念するしかない理由だ。
北朝鮮の核問題も心配される。米国が公約した拡張抑止力に対する信頼が揺れる場合、北朝鮮の核問題を原点から見直すことになるかもしれない。トランプ氏の突出的な性格を勘案すると、武力を通じた北核問題解決や韓国を無視して北朝鮮とビッグディールをする極端な選択の可能性も排除しがたい。場合によっては韓半島(朝鮮半島)を含む北東アジアの秩序そのものが変わる状況も想像できる。
国政が正常という状況でも対処が容易ではない局面だが、いま韓国はリーダーシップも空白の状況だ。誰がトランプ氏に電話をかけるのか、電話がかかってきても誰が受けるべきかも不明だ。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議欠席という決定が象徴するように、それが朴大統領でないというのが国民的コンセンサスだ。国政のコントロールタワーを整備することが急務である理由だ。実権を持つ責任首相を選び、一日も早く内政と外治を含むすべての国政を任せなければいけない。
今は国家的に非常状況だ。もしトランプ氏の当選という外的挑戦を国内政治的に利用しようという動きがあれば大きな国民的抵抗に直面することになるだろう。こうした二重の危機を克服する第一歩は「ゲート」の当事者である朴大統領が自ら後退し、国政委譲の意思を明確にするところから探さなければいけない。
「黒い白鳥(Black Swan)」のようなトランプ氏の勝利は、政界に対する米国有権者の不信感がどれほど大きく深いかを克明に表した。新自由主義とグローバル化の波で流され、恩恵から疎外された低学歴・低賃金白人勤労者階層の積もった不満が、トランプ氏という「異端児」を通じて革命のように爆発した様相だ。庶民の心を正確に読み取れない主流政界と主流メディアの盲点もそのまま表れた。1人1票に立脚した手続きを踏んだ民主主義の限界と西欧式民主主義の危機をめぐる論争がさらに激しくなるしかない。
クリントン氏の当選を期待した全世界が大きな衝撃に包まれ、当惑している。第2次世界大戦後に維持されてきた米国中心の政治・経済秩序の不確実性が高まり、世界はこの先を予想するのが難しい混沌に陥った。トランプ氏は「米国優先主義(America First)」を主張し、新孤立主義と保護主義的な性向を見せてきた。その波紋がどこまで及び、どこに飛び火するのか予測しがたい。
特に韓国は今、国内政治的に未曾有の危機状況を迎えている。大統領の国基紊乱と秘線国政壟断スキャンダルの「朴槿恵(パク・クネ)・崔順実(チェ・スンシル)ゲート」のため事実上の国政まひ状態だ。トランプ氏の当選という外部の変数までが重なり、韓国はまさに「内憂外患」の二重の危機に直面することになった。
尹炳世(ユン・ビョンセ)外交長官はトランプ氏が当選しても韓米同盟を重視する基調に変わりはないと述べたが、楽観はできない。ビジネスマン出身らしくトランプ氏は同盟関係にも損益を基準とし、防衛費分担金の大幅引き上げ要求が受け入れられなければ同盟関係を見直すという立場だ。米国がシステムで動く国であり、上下院を掌握した共和党に主流政治家が布陣しているとしても、大統領の認識は政策に影響を及ぼす。韓米同盟の動揺の可能性を懸念するしかない理由だ。
北朝鮮の核問題も心配される。米国が公約した拡張抑止力に対する信頼が揺れる場合、北朝鮮の核問題を原点から見直すことになるかもしれない。トランプ氏の突出的な性格を勘案すると、武力を通じた北核問題解決や韓国を無視して北朝鮮とビッグディールをする極端な選択の可能性も排除しがたい。場合によっては韓半島(朝鮮半島)を含む北東アジアの秩序そのものが変わる状況も想像できる。
国政が正常という状況でも対処が容易ではない局面だが、いま韓国はリーダーシップも空白の状況だ。誰がトランプ氏に電話をかけるのか、電話がかかってきても誰が受けるべきかも不明だ。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議欠席という決定が象徴するように、それが朴大統領でないというのが国民的コンセンサスだ。国政のコントロールタワーを整備することが急務である理由だ。実権を持つ責任首相を選び、一日も早く内政と外治を含むすべての国政を任せなければいけない。
今は国家的に非常状況だ。もしトランプ氏の当選という外的挑戦を国内政治的に利用しようという動きがあれば大きな国民的抵抗に直面することになるだろう。こうした二重の危機を克服する第一歩は「ゲート」の当事者である朴大統領が自ら後退し、国政委譲の意思を明確にするところから探さなければいけない。
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