北朝鮮の核とミサイルの脅威に対応するための韓米定例安保協議（ＳＣＭ）が２０日（以下、現地時間）、ワシントンで開かれた。

韓民求（ハン・ミング）国防部長官とカーター米国防長官はこの日の会議で、対北朝鮮抑止力の強化に向けて米軍戦力資産を韓半島（朝鮮半島）に常時循環配備する案を議論、「危機管理協議体（ＫＣＭ）」を新設してこれを具体化することにした。ＫＣＭには国防部政策室長と米国防次官補が参加する。

この日の議論の核心は、北朝鮮の攻撃に対応して戦略爆撃機や原子力潜水艦など米国の戦略武器を循環で韓半島に常時配備するというものだ。韓半島に対する米国の拡張抑止力を強化する狙いがある。拡張抑止力とは、同盟国が核の脅威を受ける場合、自国が脅威を受ける状況と見なして核の傘などを提供する戦略だ。大規模な反撃能力を備えたということを示し、敵の攻撃を抑止する効果がある。国防部の当局者は「韓米が拡張抑止力の実行力を高めて具体化する案の一つとして、米軍戦略資産の常時循環配備を推進することになった」とし「米国の戦略資産が韓半島と近隣海域、上空に留まり、有事の際には大々的な反撃に出ることになるだろう」と説明した。カーター長官は「米国は同盟国（韓国）に対するいかなる攻撃も撃退する。北朝鮮はいかなる核兵器を使用しても、効果的かつ圧倒的な対応に直面することになるだろう」と強調した。


韓半島に循環配備される武器は米国戦略司令部所属の戦略爆撃機と艦艇、潜水艦などが挙がっている。特に航空機の場合、滞空時間に限界があり、核ミサイルなどを搭載した艦艇や潜水艦が韓半島領海の外に留まって待機する案を検討することにした。

米国は１月と９月にそれぞれ実施された北朝鮮の４回目、５回目の核実験の直後、グアムのアンダーセン空軍基地にあったＢ－５２とＢ－１Ｂ戦略爆撃機を韓半島に送って武力示威をした。政府当局者は「北の核・ミサイル脅威が現実化し、奇襲攻撃の可能性が予想されるだけに、強力な対応体系が必要な状況」とし「年初から米側に戦略資産の常時配備を要求したし、米国はいくつかの戦略資産を循環で韓半島に配備する方式を好んだ」と伝えた。これは、国内の一部から最近出ている核武装と戦術核再配備の代わりに、米国の戦略資産配備で北朝鮮に対応するということだ。核拡散を懸念する米国との妥協点と見ることができる。

これとともに韓米は、北朝鮮が核兵器など大量破壊兵器（ＷＭＤ）を使用する兆候が明白な場合、自衛権レベルで先制打撃をすることも軍事的オプションの一つとして維持することにした。また両国海軍間の協力を通じて北朝鮮の海上挑発に対応する案も模索した。韓長官は１９日、バージニア州にある米海軍特殊戦センター（ＮＳＷＣ）を訪問し、電気の力で砲弾を撃つレールガン（ｒａｉｌ　ｇｕｎ）などを視察した。

ＳＣＭに先立ち１９日に開かれた韓米外務・国防相会談（２プラス２会談）で韓米は両国外務・国防次官級が参加する「拡張抑止戦略協議体（ＥＤＳＣＧ）」を新設することにした。この日の会談では、軍事的な対応とともに北朝鮮の核放棄に向けた対北朝鮮制裁を強化するツートラック戦略が協議された。

ケリー米国務長官は「北朝鮮が核プログラムを追求すれば国際社会で淘汰されるだろう」とし「（国連の対北朝鮮制裁決議案２２７０号の例外条項である）民生と関連した穴（民生関連の輸出許容）を埋めるための案を国連レベルで議論する」と述べた。特に「朝中間の石炭取引などは変化させる必要がある」と強調した。ただ「（北朝鮮と取引する第３国の企業と金融機関を制裁する）セカンダリーボイコットは長期的な目標でもなく、現在の時点でも追求していない」と話した。