五台山（オデサン）月精寺（ウォルジョンサ）は仏教の知恵を象徴する文殊菩薩の聖地だ。曹渓宗（チョゲチョン）初代宗正を務めた漢岩（ハンアム）、先覚者の呑虚（タンホ）僧侶など時代の愚かさを人々に諭してきた寺院の伝統が現住持の正念（ジョンニョム）僧侶まで受け継がれている。僧侶は住持として赴任した２００４年、一般人も断髪しなければならない１カ月僧侶体験プログラム「短期出家学校」を開設して反響を呼んだ。今まで３０００人が参加し、そのうち１５０人が実際に出家した。

このような月精寺の仏教大衆化の努力がさらにアップグレードする。２０１８平昌（ピョンチャン）冬季オリンピック（五輪）（２月９～２５日）を控えて来年１０月ごろに開村する五台山自然瞑想村を通じてだ。国費・地方費を合わせて２９５億ウォン（約２７億２３００万円）が投じられるこの村のコンセプトは仏教という垣根をも超えるというものだ。仏教の座禅だけに固執せず、多彩な瞑想方法を入所者に紹介して人文学教育も行う。この村を小説家の趙廷来（チョ・ジョンネ）氏（７３）が導く。村長を引き受けて村に留まり、直接人文学の講演を行い小説も執筆する。

熱い現代史を扱った趙氏の小説を火とすると瞑想は水だ。歴史と宗教、現実と彼岸。対立する領域の２人が意気投合した理由は何か。先月２９日、月精寺を訪れた。


－－２人はどのような縁で出会ったのか。どのように村長職を任せ、引き受けることになったか。

正念（以下、正）「趙先生は『太白（テベク）山脈』『アリラン』などの大作を書かれた。韓国社会の知の役割を果たされている。山の中で人々を良い方向に導くことは意義深いことではないかと考えた。３年前に提案した」

趙廷来（以下、趙）「高等学校を卒業した後は寺に入るところだった。僧侶だった父に薦められた。そのため僧籍番号（ソウル曹渓寺１６８番）もある。だが、文学がしたくて結局拒否した。文学の究極的の段階、頂点は“無”の概念を悟って死に対抗することだ。それは何か。仏教の“世界苦”輪廻の領域だ。ヘルマン・ヘッセ、ガブリエル・マルケスのような世界的な作家も仏教に注目した。作家人生最後の目標として、死を第２の人生として受け入れる宗教小説を書きたい。瞑想村でそれを書くつもりだ」

－－村はどのように造成し運営するのか。

正「月精寺入口の３万５０００坪の敷地に６０人が使用可能な瞑想空間「桐林禅院、客室（９８室）、３００～５００人規模の講堂が入る。短くて３～４日、長くて６カ月まで、入村者などの年齢・階層・選好度を考慮して多彩なプログラムを準備する計画だ。仏教座禅が中心となるだろうが、幅広い瞑想プログラムを百花爛漫式に準備する考えだ。趙先生以外に慧敏（ヘミン）・ミサンなど人文学の素養を備えた僧侶も講師に迎えたい」



平昌五輪開催地付近に瞑想村…メンタルトレーニング場として海外も注目（２）