8日、フランス・リヨンの円形劇場野外で上演された国立舞踊団による『墨香』が約3000人の現地観客の熱い歓呼を受けている。(写真=国立劇場)
舞踊家のキム・ウンギョン(写真=国立劇場)
韓国の伝統が欧州に新たな足跡を残した。この日上演されたのは国立舞踊団の『墨香』(演出・デザイン/チョン・グホ、振り付け/ユン・ソンジュ)。3年前に韓国内で初演を飾り、伝統舞踊モダン化の代表コンテンツとして定着してきた。韓国舞踊の幽玄な雰囲気と洗練されたビジュアルが絶妙に重なり合っているという賛辞だった。ことし2月には香港フェスティバルにも招待されて好評を受けた。
特に、この日の公演が格別だったのはひと味違う韓流の一面を提示したからだった。それは観客の反応にそのまま現れた。リヨンでずっと暮らしている50代女性のレベックさんは「ワンダフル」を連発した。「K-POPのせいで韓国文化はストレートで情熱的な興奮剤ばかりだと思っていた。このように幽玄で高級なものがあるとは全く予想外だった」と話した。
リヨン郊外周辺から来た20代青年もまた、「パンソリなど韓国の伝統を十分に知っていたつもりだったが今回は違った。まるで最高級フランス料理の『フィネス(繊細さ)』を味わったかのような感じだった」と話した。公演の間、30分ほど雨が降り注いだが観客は微動だにしなかった。幕が降りると座っていた席の座布団を舞台側に力いっぱい投げて歓呼した。
『墨香』の公演はリヨンの「フルヴィエールの夜」フェスティバルの一環だった。ことしで70年目を迎えるこのフェスティバルは、フランスで最も長い歴史を誇る芸術祭だ。韓国の公演がこのフェスティバルの舞台に上がったのは今回が初めて。ドミニク・ドゥロルム芸術監督は「韓国のテクノロジーは十分に知っていたつもりだったが韓国文化はよく知らなかった。だが、『墨香』の映像を見て伝統と現代がうまく溶け合い、繊細さと優しさが調和を織りなしていてすぐに夢中になった」と話した。ドゥロルム氏はK-POP以外の韓国文化コンテンツを紹介したいという意欲も示した。
昨年このフェスティバルを訪れた人々は19万人。少なくない数字だ。「伝統のモダン化」や「韓流のグローバル化」は、大げさでなくても、またむやみに観客を立ち上がらせなくても可能ではないだろうか。韓国文化の支流がどれくらい多彩か、我々自身が自信を持つ時だ。
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