北朝鮮は核実験を４回した。このうち３回をオバマ大統領の任期に実施した。その中でも２回はオバマ大統領の一般教書演説の直前に敢行した。２０１３年、平壌（ピョンヤン）は演説の前日夜に核装置（ｎｕｃｌｅａｒ　ｄｅｖｉｃｅ）を爆発させた。オバマ大統領は翌日の演説で北朝鮮の挑発を取り上げた。しかし今年は北朝鮮の核実験どころか、北朝鮮に言及もしなかった。どういう意味だろうか。

まず、「戦略的忍耐（ｓｔｒａｔｅｇｉｃ　ｐａｔｉｅｎｃｅ）」政策に基づくという解釈がある。この戦略は北朝鮮の挑発の後に交渉するという悪循環を断ち切ろうとする。米国の関心を引こうとする動きにいちいち反応しない。したがってオバマ大統領は意図的に北朝鮮を無視したということだ。オバマ大統領は注目を引こうとする平壌の渇望に背を向けた。

２つ目の主張によると、戦略的忍耐でなく、演説の性格のために北朝鮮が抜けた。すなわち伝統的に一般教書演説は外交政策より国内政策を主な内容とする。演説の対象は世界の人でなく米国国民だ。火曜日夜、オバマ大統領の任期最後の一般教書演説で外交政策が登場したが、その目的は自身が経験した困難ではなく成就したものを強調するためだった。歴史家がオバマ大統領の政治的遺産を記憶しやすいよう、イラン、環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）、ミャンマーなどが取り上げられた。対北朝鮮政策はオバマ大統領にとって勝利とは距離があったために抜けた。


３つ目の理論によると、米国のアジェンダの優先順位で北朝鮮は後回しにされている。オバマ政権はイスラム国（ＩＳ）、健康保険改革、ウクライナ、南シナ海などの問題に追われ、北朝鮮問題を真剣に考える時間がない。北朝鮮の４回目の核実験にもかかわらずだ。

この３つの理論にはそれぞれ一理ある。４つ目の理論を提示する。オバマ政権は北朝鮮の核問題を極めて重視する。しかし７年にわたる努力の末、オバマ大統領は任期最後の年に北朝鮮問題の突破口を開けなかったという事実を受け入れることになった。北朝鮮が抜けた理由は希望が消えたからだ。終盤にもイラン・キューバ・ミャンマーで成就した外交的な突破口を開くことができるという希望を捨てたのだ。このため言及する必要を感じなかった。

信じられないだろうか。オバマ大統領の２０１３年の一般教書演説を見てみよう。オバマ大統領は北朝鮮の３回目の核実験を相当なレベルで重視した。次のように述べた。「北朝鮮政権はただ自らの国際的義務を履行することによってのみ安保と繁栄を達成することができるという事実を知らなければいけない。昨夜我々が目撃したような挑発では、北朝鮮の孤立が深まるだけだ。我々は同盟国を変わりなく支持し、ミサイル防衛体制を強化し、こうした脅威に対応して我々は世界が強硬な行動を取るよう指導力を発揮するからだ」。



【コラム】オバマ大統領の演説から北朝鮮が抜けた理由（２）